オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HRの基本
公開日:2021.3.29
4月に新年度を迎える企業は多く、その時期の大きな会社行事の一つに入社式があります。新入社員を対象に企業によって規模や内容が異なり、時に芸能人を招くなど華やかでユニークな企画が話題になることも。
確かに入社式とは形式的なものではありますが、単に「恒例行事」や「記念式典」ととらえてしまうのはあまりにももったいないのです。せっかく入社式に時間と労力をかけるなら、しっかりと目的を持ち、効果的に開催することがおすすめです。そこで今回は入社式の意義や目的、高価、さらにWithコロナ時代にイベントを行う心がけや、この時代ならではのオンラインを用いた方法などをご紹介します。
目次
4月1日に行われることの多い入社式。実は節目のための式典というだけでなく、大きな目的があります。おおまかに4つの目的が考えられますので、一つひとつ見ていきましょう。
ちなみに入社式に近い式典として内定式がありますが、内定式というのは自社へ入社する意思を確認することが最も大切な目的ですので、それ以外の目的や、それに紐づくプログラムを盛り込まないケースが多いようです。
多くの企業で最も重視されているのが、企業理念の浸透でしょう。新入社員は面接や会社見学、説明会など、入社前に何度も会社を訪れていますが、入社当初はその深い部分までは理解できていないはずです。そこで、より深く会社の事業内容や社風に触れ、理解や愛着を持ってもらうための機会が、入社式といえます。企業の行動指針を早めに浸透させることで、価値観や働き方の方向性を示し、同じベクトルを向く従業員を育てるためにも、入社式は重要なのです。
大きな企業では、新入社員同士であっても内定式以降顔を合わせないというケースがあるでしょう。しかし、せっかく同じ企業に入社したなら、交流を深めておいたほうがよいでしょう。新入社員にとって、同期の存在は慣れない社会人生活の支えになりますし、今後来るであろう仕事上での困難も、励まし合える存在になるはずです。入社式で新入社員が一堂に会し、紹介し合いつながりをつくることで、絆が深まるはずです。
また、つながりという意味では、新入社員と先輩社員も同様です。交流できる時間を用意することも、お互いの関係を構築するうえで必要。入社式はお互いに話しかけやすいきっかけになるため、その後の新人教育にも大いに役立つはずです。
新入社員のなかには、学生気分がまだ抜けていないという人も多いと思われます。働いた経験がなければ、社会人としての自覚を持つことは難しいのではないでしょうか。社会人としての自覚を持ち、少しでも早く戦力になってもらうためにも、入社式で新入社員に決意表明をしてもらったり、先輩社員の話を聞く場を設けたりすると効果的です。そうすることで社会人の自覚が芽生え、実務が始まっても早く仕事モードに切り替えられるでしょう。
既存社員のモチベーションアップのためのプログラムを、入社式に組み込む企業が増えているようです。新入社員の決意表明を聞くだけでも、モチベーションアップに効果はあり、さらに既存社員のプロフィールや業績を紹介することで、仕事に対する気持ちや心構えに変化が生じることも考えられます。モチベーションがアップすれば、今後の生産性の向上なども期待できます。
コロナ禍の今、感染予防の観点から入社式をオンライン化する企業も増えてきているようです。対面での式典とは勝手が異なるため、戸惑う担当者も多いことでしょう。リモートでの入社式に必要な準備や心がけをまとめました。
オンラインで入社式を行う場合、当然ながら参加者のネット環境の整備は必須。加えて、円滑に式が運べるよう事前に新入社員に詳細を連絡し、必要であればセットアップ済みのPCやポケットWi-Fiの支給などもできるようにするとよいでしょう。
WEB会議ツールやビデオチャットツールが必要になるはずです。それぞれスペックが異なりますので、使用期間などを利用しながら、どれが自社に適切か事前に比較検討しましょう。
紙の資料が必要な場合は、事前に送るようにします。もちろん、PCなどのデバイスの支給が必要な場合も同様です。
以上のような事前準備を、遅くとも数週間前には済ませておくように心がけましょう。
一般的な入社式の流れをご紹介します。会社の規模などによって異なってくると思いますので、あくまでも一例としてご参照ください。
会社やチームにいち早くなじんでもらうために、ユニークなプログラムを開催している企業も多くあるようです。例えば、参加者全員で「ラジオ体操」を行ったり、先輩社員からの歓迎の言葉があったり、ゲームやワークショップを取り入れたりなど、さまざまな方法でコミュニケーションを図り、親睦を深める工夫をしています。
新入社員が早く会社に馴染むことができれば、戦力となるスピードも速まるはずです。入社式をそのための最初の大きな施策と捉え、力を入れてみてはいかがでしょう。またWithコロナ時代において、従来の入社式が難しくなっている企業も多いことでしょう。この機会に、入社式の在り方を見直してみてもいいかもしれません。
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