オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HRの基本
公開日:2021.2.24
新たに人を迎える際、必要なアイテムの準備や、育成計画の進行、書類作成や届け出など、やるべきことがたくさんあります。新入社員を迎え入れるためには、抜かりない準備が必要。まずは何が必要なのかをチェックしていきましょう!
新入社員の受け入れを控えるこの季節は、人事部門の担当者はさまざまな業務に追われることになります。新入社員がいち早く自社になじみ、一人前の社会人として活躍できるように、そのフォローやバックアップを担います。
経営陣や他部署の既存社員も、積極的に新しい仲間を迎え入れるムードをつくり、人事部門と連携を取っていく必要があるでしょう。それが自社を盛り上げ、業績をアップさせることにつながっていきます。
新入社員を万全に受け入れるために必要となるのは、次の4つです。
(1)すぐに働ける環境づくり
(2)研修やOJTをはじめとする人材育成プログラム
(3)行政機関への手続き
(4)必要書類を作成し取りまとめる
すぐに働ける環境を用意することは、新入社員を「わが社の仲間」として受け入れるうえで非常に重要です。社員証、名刺、デスクなど、必要な備品や席を用意して、新入社員を迎え入れます。業種によって異なりますが、一般的に準備するものは
などで、その他必要に応じて
などが考えられます。自社の状況や、新入社員の配属先に応じて、必要なものを一式用意。それらが一揃い整えられていることが歓迎の意味ともなり、新入社員はモチベーションを下げることなく、仕事に取り組んでいけるでしょう。
新入社員の育成を行う際、「いつまでにどの程度まで習熟するべきか」というゴールを設けて取り組んでいきます。研修でもOJTでも、ゴールを明確にすることで、成長するべき方向性が定まり、意欲を持って学習できるようになります。
育成担当者の選任は、年齢の近い従業員か、またはベテランのスタッフか、教える内容によって使い分けます。担当者が決まったら新入社員とのコミュニケーションを重視し、質問を受け付ける時間を設けるようにしましょう。また、企業側は新入社員の受け入れに伴い、行政機関に次の届け出を行います。
新入社員はいくつかの書類を作成し、企業や行政機関に提出しなければなりません。同時に、企業側から新入社員に届ける書類もあります。取りこぼしのないように、新入社員に向けて丁寧にアナウンスし、一通りの処理を進めていきます。
【企業から新入社員に送る書類例】
入社誓約書は内定通知書と一緒に送付し、署名・捺印のうえ返送してもらいます。返送用の封筒も同封するのがマナーです。
労働条件通知書には、労働契約の期間、就業に関する事項、就業場所、従事する業務に関する事項、始業および終業の時刻、所定労働時間を越える労働の有無、休憩時間・休日・休暇に関する事項、賃金に関する事項、退職に関する事項などを明記します。昇給に関する事項や、細かな労働規則を盛り込む企業もあるようです。
雇用契約書は、民法および労働契約法に従って、使用者と労働者の間の合意確認として取り交わします。作成義務はありませんが、企業側の保管用と、社員側の保管用に同じ書類を2部作成するのが基本です。
【従業員から企業へ提出する書類例】
新入社員が用意する書類は、上記のとおりです。企業によっては、写しでいい書類や、提出の必要がない書類もあるでしょう。自社で定めた規定に従って必要な書類を用意してもらい、人事部門で情報を管理していきます。個人情報のため、管理には細心の注意が必要です。
新入社員の受け入れ体制が整っていないと育成計画に遅れが出ます。新入社員をいち早くひとり立ちさせることは、経営的な視点から見ても重要。企業側は、新入社員が入社初日から、社会人としての自覚を高められるような状況を準備しておきましょう。
入社初日の第一印象がよければ「この会社で頑張っていこう!」と思えますが、逆に第一印象が悪ければ「この会社で働いていけるかな?」「この会社に自分の居場所はあるのだろうか」と不安が芽生え、早期離職につながってしまう可能性があります。
新人教育においては、いつどんな研修があって、何をゴールとなるかを伝えます。そうすると、今やるべきこと、この先取り組むべきことを意識できるようになり、不安を感じる機会を減らせます。同時に「誰に質問していいかわからない」という状況をなくしていきましょう。
自分の居場所が整備されていて、仕事に対する不安や不満を感じずに済めば、離職率が低下し、企業経営の安定にもつながります。新型コロナウイルスの影響で、テレワークが主流となっている現代だからこそ、新入社員をどう受け入れ、定着させていくかは非常に重要な問題。計画的な取り組みで対処していきましょう。
企業側がいかに新入社員を迎え入れるかは、離職率低下につながる非常に大きな課題です。人事部門のみならず、経営陣がリードして、全社の取り組みとして歓迎ムードをつくり、新しい仲間がいいスタートを切れるような状況を整備してください。それができる企業の未来は明るいと言えるでしょう。
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