オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HRの基本
公開日:2021.8.10
会社で働いていると「これは誰に尋ねればよいのか」「誰の指示で動けばよいのか」などの疑問が出てくることがあるでしょう。特に、入ったばかりの従業員の多くはこの問題に直面します。そんな時に、人事担当者として伝えなければならないのが、組織の仕組みについてです。
この記事では、業務を進めるうえで重要な組織というものについて、その意味から作り方まで解説をしていきます。
目次
改めて知っておきたいのが、組織とは何なのかということです。まず、組織の定義は、ある目的を達成するために、役割や機能を分化した集団とされています。
会社という組織が作られている意味は、企業理念という目的を達成するために従業員それぞれに与えられた業務を担当し、力を合わせて仕事を行う必要があるからです。
組織というのは、同じ目的に向かい達成するために作られています。会社であれば企業理念や経営理念を従業員が共有し、目標達成を目指すのです。そんな組織は3つの要件で成立しています。ここからは各要件がどのようなものかを解説していきましょう。
組織には共通の目標や目的があることが前提となります。会社の場合は「企業理念などの目的を達成するため」であると解説をしました。
このように、会社という組織はそれぞれが共通の目標に向かっている必要があります。
組織運営がうまくいくかどうかは、会社で働く従業員に企業理念や、経営ビジョンなどが浸透しているのかどうかが重要にもなるでしょう。もし、ここが浸透していなければ組織が目指す方向が不透明になってしまい、生産性も下がってしまう可能性があります。
逆に、会社全体にビジョンなどが伝わっていると、各部署が明確化されたビジョンに向かって進むことができ、各部署ごとで目標を立てることもできるでしょう。
会社の組織に所属をするということは、一人で仕事をするわけではありません。組織で仕事を進めることになるため「協力をすること」が求められるでしょう。そのため、組織を構成する要件の中には「協力する意思を持つこと」が入っており、これを貢献意欲という言葉で表しています。
「協力をする意思」とはどのようなものかというと、組織を作る理由にもなっている企業理念やビジョンといった目的を達成するために手を取り合う関係性ができている状態を指す言葉であると覚えておくようにしましょう。
組織に所属をしていても、実際のところ個人プレーになってしまうこともあるはずです。しかし、一緒に動いている組織は同じ目的に向かい進んでいることを認知することは重要になりますし、組織作りをするのであれば、こういった考えができる従業員を育てていく必要があるでしょう。
3つ目の要件である「意志疎通」は言葉の意味通り、社内でコミュニケーションをスムーズに取ることができており、情報共有なども円滑に行われている状態を指します。
ここで指す「意思疎通」という言葉は、組織内でコミュニケーションから情報共有までがしっかりと行われている事を指しています。したがって、同期とだけできていれば良いわけでもありませんし、上司と部下のコミュニケーションだけがうまくいあっていても意思疎通ができているとは言わないのです。
「自分はこの人とだけコミュニケーションを取れているからいいや」などの考えをしていると、組織全体が悪い雰囲気に包まれてしまう可能性もあることを覚えておくようにしてください。
会社の組織は大きく分けて2つに分かれます。ここからは、各組織の基本形を解説するのでぜひご参考にしてみてください。
ライン組織というのは、リーダー(トップ)が権限を持ち、各部署に直接指示を行う形です。ライン組織はリーダーが直接命令を下すことが多く、どちらかというと小規模な会社が作っているケースが多くなります。
ピラミッド形の組織図を頭の中に思い浮かべると、組織の形がイメージしやすいのではないでしょうか?ピラミッドの一番上がリーダーだとすれば、そこから各部署の長に命令が下り、部下に伝わる流れです。
こちらの組織は、ライン組織と形は似ていますが、リーダー(トップ)と部下の間にリーダーをサポートするスタッフを入れる形です。例えば、会社の広報担当などは、このスタッフに分類されることが多いでしょう。
広報の仕事はリーダーの想いを受け取り、それを外に伝えることです。また、サポート役と考えると秘書なども間に入るスタッフの立ち位置といえます。本来、リーダーが一人で背負わなければならない問題をスタッフの介入により、削減することができるメリットがあるでしょう。
しかし、この組織形態を作って失敗をしてしまう会社は意外と多いです。例えば、スタッフが権限を持ってしまい部下とのやりとりがぎこちなくなることや、スタッフの人数を増やすことで、スタッフ側が多くの仕事を作り、会社としてしなくてはならない仕事が増えるケースもあります。
組織作りは会社を作っていく上でも重要になります。ここからは、そんな組織構造の種類を3種類紹介するのでぜひ参考にしてください。
機能別組織というのは、会社内でどのような行動を行うかによって分けた組織です。例えば「営業」「生産」など、組織の専門性を高めるために作られるケースが多くなるでしょう。
環境に変化があまり起こりにくい組織でもあるため、長く続けられる組織ともいえます。
また、何かを決定する際は各組織のトップに任せることもできるなど、役割分担が明確になるでしょう。
様々な製品を作成している会社や、多くの顧客がいる会社はこちらの組織を作っていることが多いです。こちらは、製品や顧客に分けて担当する組織を作っています。
顧客によって、ビジネス方法が変わることは結構あるはずです。例え、同じ製品を提供していても、ビジネス方法が変わると、一つの組織ではカバーできないことも出てくるでしょう。そういったことを防ぐために、このような組織をつくることがあります。
同じ事業ではありますが、複数の顧客などを抱えることになり事業間での伝達漏れが発生するデメリットも考えられますが、事業別に組織を作っているため、業務プロセスを完結することができるでしょう。
マトリックス組織は、機能別組織と事業部制組織をマトリックスにさせた組織です。各組織の権限を両立させることができるのが特徴的。しかし、業務プロセスが多くなってしまうことから、組織内での調整回数も多くなり「面倒だ」と思う従業員が出てくる可能性がかなり高いです。
ここまで組織を構成する要件から、組織の種類まで詳しく解説をしてきました。では、実際に組織を作るとなった場合、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。ここからはそのポイントをご紹介いたします。
組織を作る目的は「企業理念などの目的を達成するため」です。これは、組織の大元でもある「会社で働く上で目指していくこと」すなわりゴールでもあると考えることができるでしょう。
このゴール地点がバラバラだと組織を作っても、うまく動かすことはできません。また、目的や目標が社員の共感を得られないものだと、そのゴールを目指したいとは思ってもらえないでしょう。したがって、組織を作る前はまず社内で働く従業員と一緒に目指せるゴールの設定から始めてみてください。
組織を作ったらすぐに目的が達成できるわけではありません。作り出してすぐの期間は「土台作りの期間」とも呼べるでしょう。したがって、実際に結果が出る前に5ねん程の時間は必要になるのです。ここを社員全体で共有できていないと、何も起きない結果にばかり捉われてしまうはず。
長い目で未来を見つめることは会社を運営していくにあたり何より必要になることでしょう。
組織を作るとなれば、目標に向かって引っ張ってくれる存在であるリーダーは必要不可欠といえるでしょう。ここで重視をしなければならないことは「スキルだけで判断をしないこと」です。もちろん、会社で働く以上スキルは必要ですが、会社の理念に共感をしていて「ここで頑張りたい」という姿勢が見える社員ほど、長く会社で働いてくれるでしょう。
したがって、目標への共感が高く、またコミュニケーション能力に長けるなどの「リーダーの素質がある人材」を探すことが大事になります。
もし、組織が大きいのであれば、精神的な面で引っ張ってくれるリーダーと、タスク管理などを行うマネージャーの役割をしっかりと分けて作ることが大事です。
会社という「組織」とは一体どのようなものであるのかをご紹介してきました。組織の役割は、会社の理念といった目的を達成するために作られています。まずは従業員が共感し共にゴールを目指したいと思うような企業理念やビジョンの設定を始めることが重要になることを覚えておきましょう。
そして、組織を作る際は「リーダー」となる人材を探すよう、意識してみてください。
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