オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
HRの基本
公開日:2021.2.19
人事部門の業務は、企業に勤める誰しもに関わるものばかりです。「1~4月編」、「5~8月編」と2度に渡ってスケジュールについて見つめ直し、最終回となる本記事では「9~12月」の人事部門のスケジュールを掘り下げます。
人事部門の業務は、採用から教育・研修、人事考課、給与関連、異動など、多岐に渡ります。期限を守らなければならない業務も多いため、年間のスケジュールを把握し、効率よく仕事を進めなければなりません。
新入社員の受け入れ準備や入社後のフォロー、新人研修などが続く3~5月、そして年末調整をはじめとする多くの労務処理が重なる11~12月が、人事部門にとっての繁忙期です。その一方で、役所への提出期限に追われるような業務の少ない1~2月、8~9月などは、比較的スケジュールに余裕がある人事部門が多いと言えるでしょう。
スケジュールに余裕がある時期は、就業規則や福利厚生の見直し、各種研修の企画、繁忙期に備えた情報整理などに時間をあてていきます。この機会に、人事部門の担当者が、どんな時期に、どんな仕事をしているのかを改めて把握して、社内で連携を取っていきましょう。
この記事では、人事部門の年間スケジュールについての最終回として、9~12月の流れを確認していきます。1~4月のスケジュールは前々回の記事を、5~8月のスケジュールは前回の記事を参考にしてください。
9~10月は内定式関連の業務、11~12月は年末調整をはじめとする労務処理がメインとなります。特に11~12月は労務処理が1年を通じてもっとも増える時期となります。
【9月】
内定式の準備を進めながら、秋採用の内定を出していきます。必要に応じて、翌春に向けた社宅や社員寮の物件探しなども始めます。
【10月】
秋の人事異動がある企業では、辞令を出します。冬季賞与の計算、額面決定などの業務もスタート。年末調整の準備を始める時期でもあります。書類の配布と回収、内容のチェックとデータ入力を行っていきましょう。
翌年度入社予定の新入社員を対象とした内定式を実施。内定者のフォロー業務も本格化していくでしょう。翌年度の新人研修も、この時期から計画を立てていきます。
【11月】
秋の人事異動があった企業では、それに伴って必要となる社員研修を行います。その企画運営は人事部門が担います。
所得税の過不足を精算する年末調整が本格化します。生命保険料の控除証明書をはじめ、員の個人情報を扱うことになるため、業務の進行には細心の注意が必要です。
採用面では、翌年度入社の従業員を対象にした入社前健康診断の実施や、社員証の発行といった業務を行います。
【12月】
住民税の特別徴収額納付、社会保険特別徴収額納付、年末調整、賞与計算および賞与支払届提出、源泉徴収票の作成・発行、健康保険料・厚生年金保険賞与支払届の作成・提出など、労務処理が集中します。集中的に業務を進められるよう、数カ月前から段取りや根回しなどを済ませておくと、現場の混乱が少なくて済むでしょう。
採用面では、必要に応じて、内定者研修をはじめとするフォロー策で、自社と内定者のパイプ役を果たしていきましょう。
毎月の業務の他に、人事部が通年で取り扱う労務処理も数多くあります。必要に応じて、次のような処理を随時適切に行っていきます。
また、適切なタイミングで従業員の健康診断を行い、診断結果を労働局に提出、医療機関への支払いを行うといった仕事も、人事部門の担当業務です。社会情勢の変化や、法律の改定などがあれば、それに対応していくことも求められます。
人事部門は、自社の従業員が目の前の仕事に集中できるように、さまざまな労務処理を集約的に担ってくれる重要セクションです。経営陣も、また他の部門も、その重要性を理解したうえで、連携を取っていくべきでしょう。
10月の内定式とその後の内定者フォロー、11~12月の年末調整業務など、秋から師走に向けて人事部門の仕事は多忙を極めます。その間に月間の業務や、随時必要となる手続きや届け出なども処理しなければなりません。業務量が増える想定のもとで、いかに業務効率を上げていくかは、部門として、企業としての取り組み次第です。
今回を含む、全3回に渡って人事部門の年間スケジュールを見直してきました。人事部門は従業員全員が関りのある業務をこなしているセクションです。そのスケジュールを全社で理解すれば、社内の連携も良くなり、いま以上に人材が生きる企業を目指せるようになるでしょう。
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