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サーベイとは。意味や間違えやすいリサーチとの違いについて徹底解説

企業内で行われるサーベイというものがあります。サーベイとは一体何なのでしょうか。この記事では企業の経営において行われるサーベイとは何か解説し、その目的やメリット・デメリットなどをご紹介します。

サーベイとは

「サーベイ(survey)」という英単語には調査や測定、測量などの意味があり、アメリカが月面着陸に使っていた探査機は「調査をする者」という意味の「サーベイヤー(Surveyer)」という名でした。英語で監視カメラはこのサーベイから派生し「サーベイヤンス・カメラ(surveillance camera)」と言われています。

日本でこのサーベイという単語を利用する時は、一般的に物事の全体像を捉えるために広い範囲で行う動向調査という意味になります。この広い範囲というところがポイントで、日本でサーベイという単語を使う場合は大規模なアンケートであることが多くなります。

英語で、同じような意味で使われる言葉として「リサーチ(research)」があり、日本では通常、サーベイでないものがリサーチと解釈されています。それではサーベイはリサーチと比べてどこが違うのでしょうか。

サーベイは大規模の調査やアンケートを指します。リサーチも大規模である場合がありますが、特にその規模の大きさを強調したい場合はサーベイという単語を使います。もう一つサーベイの特徴として、売上のためではない調査やアンケートを指すという点があります。

リサーチの場合、主に顧客を獲得する目的が含まれます。例として、スマホのメーカーが街頭で欲しいスマホの特徴をアンケート調査したとしましょう。この場合、街の需要を知ることによって自社の売上を伸ばしたいという目的が含まれます。したがってこのアンケートはリサーチに分別されるでしょう。

それに対してそのスマホ・メーカーが全国の都道府県別のユーザーの数を調査したとします。この調査に売上を伸ばす目的がなく、主に全国の分布を知るためだけの調査であればサーベイといえるでしょう。

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併せて知っておきたい「エンゲージメントサーベイ」とは

企業経営の現場で行われるサーベイに、エンゲージメントサーベイと呼ばれるものがあります。「エンゲージメント(engagement)」とは約束や契約、婚約を指す言葉です。経営の現場でのエンゲージメントサーベイとは、その会社や商品に対する愛着度を調べるアンケートを指しますが、特に前者である場合が多いようです。

かつて日本企業のスタンダードな雇用体制であった終身雇用制も、近年では崩れてきています。それに伴い会社の離職率も増加。各企業としてはなんとか人をつなぎとめるために、従業員の会社に対する愛着度を知る必要が出てきました。その一環として行われることが多いのが、エンゲージメントサーベイです。

この記事で取り上げているサーベイはこのエンゲージメントサーベイにあたります。エンゲージメントサーベイの具体例として、「自分の会社で働くことを知り合いにどの程度勧められるか」という質問があり、10点満点で評価した時に、結果は以下の3つに分けられます。

●9~10点:推奨者
●7~8点:中立者
●0~6点:批判者

エンゲージメントサーベイと似たものに従業員満足度調査がありますが、この2つは区別されています。従業員満足度調査は給与や有休日数、福利厚生の充実など、待遇に対しての満足度調査。それに対してエンゲージメントサーベイは会社の体質や人間関係、雰囲気などに対する愛着度調査です。

サーベイを実施する目的

企業がサーベイを行う目的は幾つかに分けられます。まずは会社と各従業員の関係をしっかりと捉えることです。サーベイを行うことによって、従業員が抱いている理想と会社の現実にどの程度のギャップがあるか分かります。その結果は会社の体制を改善するための指標として用いられます。

2番目の目的は組織の隠れた課題を確認すること。売上や利益率は現在の会社の状態をあらわす重要な指標となりますが、それだけで会社のすべての状態を把握することはできません。次世代のリーダーが育っていないため今後の成長が見込めない、部署の人間関係が悪く離職を考えている者が多いといったトラブルは売上からは見えないものです。

各従業員の会社に対する愛着度や仕事に対するモチベーションを調べることで、こういった隠れた課題やトラブルが見えてきます。サーベイで得られた結果は人事の対策として活かされ、各従業員への面談や必要な施策を行う際の大きなヒントになるでしょう。従業員の会社に対する思いをさらに具体的に把握するのにも有効です。

その結果、会社の制度について見直したり、モチベーションが下がっている従業員を別の配属に移すといった対策も取れるようになります。さらに詳細は部署やチームにフィードバックされ、さらなる対策を考えることができます。部署内での担当業務の変更や配分の見直しなどもできるようになるでしょう。

サーベイは会社が従業員の意識を汲み取り、会社の改善に活かそうとする取り組みです。この取り組みを行うことによって社内の人間関係に深いコミュニケーションが生まれます。このコミュニケーション自体が会社の雰囲気をよくする原動力にもなるのではないでしょうか。

サーベイの実施で得られる効果について

目的に続き、実際にサーベイで得られる効果について見てみましょう。効果として、まずはモチベーションの向上があげられます。サーベイでは各従業員の会社に対する評価やモチベーションが調査されます。そしてそこで評価が低かった従業員に対しては、改善対策が練られます。

従業員のモチベーションを上げる方法としては、部署の雰囲気の改善や業務の変更などがあり得るでしょう。モチベーションを上げることができれば、生産性も自然と上がります。自発的な勤労意欲が強まれば、それが周りへも影響し、会社全体のパフォーマンスが向上していくのではないでしょうか。

サーベイから望まれる最大の結果は、離職率を下げることかもしれません。成績のよい従業員や、辞職すると思っていなかった人材の突然の退職は、会社にとって大きな痛手。その退職が別の従業員の退職を生み、負の連鎖として大きな打撃を与えることも。サーベイを上手く活用すれば、こういった退職を未然に防ぐことが可能です。

サーベイによるメリットの一つに、有望な人材を新規で確保できるという可能性があります。サーベイでは、知人に自社を紹介したいかどうかという質問が設定されていることがあります。有望な人材は広いネットワークを持っていることがあるため、紹介によって人材が見つかることがあります。

サーベイで期待できる最後のメリットとして、社内トラブルの防止があげられます。セクハラ、パワハラ、いじめなどの問題は大きな社会問題となっています。裁判になれば会社にも大きな痛手となるでしょう。こういったトラブルもサーベイによって未然に防ぐことが可能になります。

実はサーベイにはデメリットもある

このように多くの効果が期待できるサーベイですが、反面、デメリットも存在します。一つにはコストの問題があるでしょう。そのためにはまず、質問のフォーマットを考えなければなりません。各従業員がサーベイに答えるための時間もないがしろにはできない点です。

サーベイの実施は従業社員全員にある程度の負担がかかります。さらに、答えを集計して発表することにも手間と時間が必要。加えて、サーベイを効果的に行うには定期的な実施が欠かせません。

サーベイの実施は、回答する従業員にとっても大きな負担となるので、従業員の間で反発が起こることも。質問に無回答であったり、いい加減な回答をされたりすると、せっかく実施しても効果が出ない可能性があります。この場合はサーベイにかけた膨大なコストが無駄になってしまいます。

サーベイを実施する流れをチェック

従業員の会社に対する意識を調査するサーベイ。最後にそのサーベイの実施手順を解説しましょう。サーベイではまず、調査対象を決めます。もちろん、全員に行うサーベイもありますが、サーベイの内容によっては特定の部署や従業員のみを対象とする場合もあります。

新入社員の早期退職を防ぐためのサーベイであれば、入社1年未満を調査対象とします。調査が決まったら次に質問内容を決めましょう。負担にならないよう、場合によっては質問項目を最小限にすることも必要です。また、定期的に行う場合は適宜質問の見直しを行いましょう。

質問内容やフォーマットが決定したら、サーベイの実施を社内に周知させなければなりません。社内サイトへの表示やメールでの通知など、その手段はさまざま。併せてサーベイを行う目的や期待できるメリットを必ず説明しましょう。

サーベイを実施してその結果が回収できたら、集計を行わなければなりません。集計は手間がかかる作業なので、なるべく合理的な方法を取る必要があります。集計に便利なサーベイ専用ツールをあらかじめ用意しておくなどの準備が必要でしょう。

集計を行った後は、獲得したデータの分析を行います。データの分析は、数値の高低による評価、部署ごとの特性の把握、複数のデータをクロス集計するなど、効果的な方法を検討しましょう。内容によっては早急な対処が必要なものもあるので、重要度によるデータの選別も必要かもしれません。こうして得られたサーベイの結果を元に、改善策を決定していきます。

サーベイとは。意味や間違えやすいリサーチとの違いについて徹底解説

まとめ

この記事では社内の環境改善のために有効なサーベイについて取り上げました。サーベイは従業員の離職率を下げ、会社全体のモチベーションを上げるために効果的な手段。しかし同時に大きなコストと時間がかかるので、最も効果的な方法を選ばなければなりません。

会社でサーベイを実施する場合は質問とその対象者をよく検討し、効率よく行う必要があるでしょう。