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エンゲージメント

なぜエンゲージメントの向上が従業員のパフォーマンスを高めるのか

公開日:2020.8.17

    会社が従業員を信頼する。従業員も会社を信頼する。そんな強い絆で結ばれた組織「エンゲージメントカンパニー」にこそ、新たな時代を勝ち抜くヒントがある。国内はもとより、米国の人材開発、HR tech事情にも詳しいアックスコンサルティングの広瀬元義社長に、これからの働き方、企業と従業員の関係について聞いた。

    米国人が考える、リーダーシップで最も重要なこと

    米国の人材開発やHR techを長く研究されてきて感じることは何ですか?

    広瀬元義(以下、広瀬) 20年ほど前、ワシントン大学でリーダーシップの研修を受けたときは、日本とは全然違うなと感じました。
    ワシントン大学で学んだリーダーシップとは、目的・目標に向かってフォロワーを動機付けること。そしてリーダーシップで最も重要なことは、一にも二にも「信頼」だと言うのです。三、四がなくて五にも「信頼」だと。驚きましたね。米国人のイメージがひっくり返りました。

    現在の日本の企業が重視すべきキーワードも、やはり「信頼」なのでしょうか?

    広瀬 例えば先日、あるホテルで食事をしようとしたのですが、なかなか注文の品が出てこない。そこで注文はいったん断り、先に出ていた酒だけを部屋に持ち帰ってもいいかと聞いたんです。その後、「ちょっとお待ちください」と15分も待たされました。恐らく上司に聞きに行ったのでしょう。
    また別の話ですが、リモートワークで便利になった半面、書類に押印するためだけに会社に出社しなければならない。そんなことも実際にあると聞きます。
    この2つの話は全く違う内容ですが、根っこは同じです。つまり「会社が働いている人を信頼していない」ということです。それで客が不愉快な思いをしたり、従業員が無駄な時間を使わなければならなくなっているんですね。

    放っておかれることで会社を辞めてしまう新入社員もいる

    人材開発の分野では今、「エンゲージメント」という概念が注目されています。

    広瀬 エンゲージメントとは、会社と従業員の絆のことです。そしてそれを裏打ちしているのが信頼です。権限委譲というのは、会社が従業員を信頼していることの一つの形といえるでしょう。
    例えば情報漏えいの問題でいえば、いくらシステムを堅牢にしても、情報を盗もうと思えばやり方はいくらでもあります。そうではなく、信頼で鍵をかけるしか情報を守る方法はないのです。

    このたび上梓された書籍『エンゲージメント カンパニー』(ダイヤモンド社)でも、その部分を強調されています。

    広瀬 まさに強調したいのは「信頼」ですね。エンゲージメントがなぜ大事なのか。会社と従業員が固い絆で結ばれたエンゲージメントカンパニーをどのようにつくり上げれば良いのか。それがこの本で伝えたかったことです。
    体系的かつ、面白く読めるように、架空のセミナー形式でストーリーが進行していきます。

    従業員との信頼関係構築のためには、特に「入社時」が重要とのことですね。

    広瀬 新入社員は、初めて会社に来た日こそ形ばかりの歓迎を受けますが、後は放っておかれるケースも少なくありません。それが原因で辞めてしまう場合もあります。
    そこで「オンボーディング」が大事になります。チームの一員として迎え入れられることで新入社員の緊張が緩み、その後の社内での良好な人間関係構築につながる。そして会社での安心感(心理的安全性)を得た従業員は、ミスを恐れることなく、伸び伸びと仕事ができるようになるでしょう。組織の価値観を共有できるようにもなります。

    エンゲージメントの向上で競争を勝ち抜くためには

    エンゲージメントの向上のために、具体的なヒントは何かありますか?

    広瀬 当社の提供するサービスに「MotifyHR」という人材開発プラットフォームがあります。人材開発、エンゲージメント、オンボーディング、1on1ミーティング(上司と部下との1対1の定期的ミーティング)などの機能が集約されたサービスです。
    ある大手企業では新入社員の精神的ケアに用いていますし、人材派遣会社では、派遣先で孤独になりがちな従業員のコミュニケーションのサポートツールとしても成果を上げています。
    また仕事の場面ばかりではなく、従業員の誕生日を全員で祝うというような使い方もできます。日常的なさまざまな施策が、エンゲージメントの向上につながります。

    エンゲージメントと生産性の向上を実現する人材開発プラットフォーム「MotifyHR」のエンゲージメント機能では、社員の「働きがい」や「エンゲージメント」を「会社全体」「部署単位」「個人単位」など、さまざまな単位でグルーピングして可視化できる(画像は一例です)

    日本の企業でもエンゲージメントは根付くでしょうか?

    広瀬 かつて米国のマイクロソフトを訪ねたとき、会社を「キャンパス」と表現していました。創造していく所、という意味ですね。
    これからは、いかに創造的に仕事ができるかが大切で、それによって競争を勝ち抜けるかどうかが決まります。そのためにもエンゲージメントを高め、従業員が能力を存分に発揮できる環境をつくる必要があるでしょう。
    日本人は新しいものを取り入れることが得意です。形だけでなく、正しく変わり、定着させるために、まずは経営幹部や人事担当者の皆さんがエンゲージメントを理解することが重要だと思います。

    ≫≫≫書籍『エンゲージメント カンパニー』広瀬元義著(ダイヤモンド社)についてはこちら
    ≫≫≫「MotifyHR」の詳細はこちら
    ※この記事はダイヤモンド・オンラインより転載しております。

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    広瀬 元義(ひろせ・もとよし)
    株式会社アックスコンサルティング代表取締役

    1988年「株式会社アックスコンサルティング」を設立。会計事務所向けコンサルティング、一般企業の経営支援、不動産コンサルティングを中心にさまざまな事業を展開。会計事務所マーケティングの第一人者。米国会計事務所マーケティング協会の正式メンバー。 米国HR tech事業に詳しく、ブーマーコンサルティングタレントサークル正式メンバー。HR関連のセミナーで多数講演。著書は45冊以上、累計発行部数は48万部を超える。

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    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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