オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
エンゲージメント
公開日:2019.5.29
2017年に第2回HRテクノロジー大賞を受賞し、いま最も注目を集めているエンゲージメントクラウド『Talknote』。2011年6月にサービス提供を開始して以来、現在の導入企業数は24,000社を超えています。企業のITリテラシーのレベルに依存せず、誰にとっても使いやすい社内SNSとして市場に浸透。まさに国内導入実績トップクラスのコミュニケーションツールといえるでしょう。
その『Talknote』を提供している企業―Talknote株式会社の働き方にも注目が集まっています。例えば、社員とのコミュニケーションを深める「ハッピーアワーホリデー制度」を実施することで、まるで社員同士が親友のような関係に。一時は50%を超えていた離職率も、2017年には0%となりました。このようにTalknote株式会社では、社員同士のプライベートでの交流を会社全体で推奨し、密度の高いコミュニケーションを実現しています。
今回は、Talknote株式会社 取締役 和田郁未氏に、Talknote株式会社の「ワークスタイル」と「サービス」について、それぞれ詳しくお伺いいたしました。
まずは前編、「ワークスタイル」についてです。
目次
現在、新卒採用を中心に行っているというTalknote株式会社。2016年の新卒1期生から今に至るまで、新卒の離職者はなんと1名。理念への共感を重視した採用活動を行っているそうです。それは一体なぜなのでしょうか。
また、かつてはスキル重視の中途採用に振り切っていた時代もあったとのこと。和田氏は採用基準の変遷を振り返ります。
和田氏:
私たちが大切にしているのは、その人の『素直さ』です。過去にはスキルや経験を重視し、即戦力の中途採用に振り切っていた時期もありました。しかし、うちではスキルはあとから誰でも身につけられるものだと考え、そのスキルを身につけるために必要なものが『素直さ』だと捉えました。また、自分をどれだけ信じられるか、という『自己肯定感』も大切にしています。
また、中途採用者に関しては、『想像と違った』という理由でやめていく方が結構多かったです。変化が激しい会社なので、短期でPDCAを回しているため、『これがやりたい』『このスキルを身につけたい』という方ですと、入社後の業務内容の変動にもギャップを感じることが多いようです。なので、そういう方はあまり採用しないですね。あくまで会社の思いやビジョンというものは変わらないので、そこに共感を得られているかどうかを大事にしています。そこに共感がある方なら、入社後にギャップを感じることは少ないと思います。
過去には、20人入社して1年で半分以上が去っていき、離職率が50%を超えていた時期もありました。そういった過去から、離職率0%を目指して達成したこともありました。そのときは理念を変えたり、社内研修を増やしてみたり、お互いを知るための取り組みなどをプロジェクトとして行っていました。ただ、定着率だけにこだわるのも違うな、と。離職率0%という状態は、あまり良くないと思うんですよね。
Talknoteという会社はベンチャー企業で、業績を拡大させるフェーズにあります。その中で、社員満足度や従業員のESは必要な要素のひとつではありますが、会社の成長に合わない人というのは一定数必ず出てくるはずなんですよね。そういう人を無理に引き留めてでも離職率を0%にするということが、必ずしもいいことではないと思っています。もちろん業績がすべてではありませんが、そのためには社員が生き生きと働ける環境がいいと思っています。
社員同士の密度の高いコミュニケーションを重視するTalknote株式会社では、どのような制度・イベントで、それらを体現しているのでしょうか。
和田氏:
イベントは結構頻繁に行っています。『達成会』という形で、一軒家を借りて全社員でパーティーをしたこともありました。あとは『ハッピーアワーホリデー』という制度があります。これは従業員同士がプライベートで交流することを会社として支援するというもので、1人あたり2,000円の補助をしています。条件は『Talknote』上に遊んだ仲間の写真を載せること。社員同士の親睦を深めることが目的です。もちろん強制するものではなくて、自然発生的に起こる社員同士の交流を支援するためにあるものです。会社から提供されるイベントも大事ですが、重要なのは従業員同士が自ら網の目のように良い人間関係を築いている状態だと考えています。そうすることで、普段の業務のやりやすさも変わってきます。
また、『六本木手当』といって、従業員が本社のある六本木周辺に住むことを奨励するための手当もあります。そうすることでプライベートでも集まりやすいですし、コミュニケーションがとりやすくなると考えています。今年の新卒も地方から来ている方は、全員六本木近辺に住んでいますね。
他にもウェルカムバルーンで新入社員をあたたかく出迎えたり、『Love&Happyだった出来事の共有』といって、自発的に自分の内面を話してもらう時間を作っていたりします
各賞の受賞により、世間的にもその働き方が注目されているTalknote株式会社。どのような経緯で受賞に至ったのか、和田氏はこう振り返ります。
和田氏:
まず、弊社から自発的に応募しました。ただ、受賞を目標にしていたわけではなかったです。ここ数年、社員が生き生きと主体性を持って働ける会社にするための施策として、理念をみんなで見直したり、その理念を浸透させるためのプロジェクトなどを行っていたりした時に『うちって良い会社だよね』と自分たち自身も認められるようになってきたんです。そこから自分たちの会社が『世の中的にはどういう評価をされるのか』が気になって応募しました。
『ホワイト企業アワード』では『理念共有部門』で受賞をしました。理念の共有のための施策などは、社内で自発的に生まれたものではなく、はじめは代表からの指示がきっかけでした。離職率が高かったときは、『理念』がある、という状態がどれだけいいものなのか分からなかったので、当時は『理念』を持つという考え自体が自発的に起こることはなかったです。ただ、代表の言葉をきっかけに社員同士で『理念』の共有のための施策が始まってからは、少しずつみんなの気持ちが変わっていきました。そこから自発的なプロジェクトがどんどん増えていき、今につながっています。
ちなみに、『働きがいのある会社ランキング』への応募は代表のアイディアでしたが、『ホワイト企業アワード』への応募は社員のアイディアで決まりました。他に社員発で始まった制度には、社員同士で感謝の気持ちを伝えあう『サンクス制度』などがあります。
「理念への共感」、そして「社員同士のコミュニケーションの密度」を重視するTalknote株式会社。「ハッピーアワーホリデー制度」や「Love&Happyだった出来事の共有」など、それぞれの特徴的な制度一つひとつが、”社員同士のコミュニケーションを深めるため”に作られていることがよくわかりました。
また、「ホワイト企業アワード」「働きがいのある会社ランキング」の受賞など、社会的にもその働き方が評価されている同社。その理由には、社員から会社への高いエンゲージメントを維持していることが背景にありました。イベントや制度を通して社員がお互いを理解することで、自然と会社へのエンゲージメントが高まり、さまざまな賞を受賞するに至ったのだと思います。
代表取締役 小池温男氏のメッセージにもあるように、「社員、顧客、パートナー、Talknoteに関わるすべての人の人生を、愛し愛され夢と希望にあふれたハッピーな人生にする」ことをミッションに掲げているTalknote株式会社。事業拡大のフェーズにありながら、従業員のエンゲージメントを同時に満たしていくことを可能にしたその働き方。その秘訣は、徹底した「社員同士の自発的なコミュニケーション」にあります。みなさまも、社内コミュニケーションについて今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
次回はTalknoteの「サービス」についてご紹介いたします。
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