オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
エンゲージメント
公開日:2019.6.5
企業の経営者にとって最大かつ共通の悩みは「社内コミュニケーション」と言っても過言ではありません。報連相をはじめとする仕事の進捗確認からワークフローの決済・承認、社員のモチベーション管理、離職防止対策など、すべては「社内コミュニケーション」に起因しています。
このような苦労を経験した経営者から高く評価されているのがエンゲージメントクラウド『Talknote』です。『Talknote』はどんな背景で生まれて、どのように活用されているのか、サービスを開発・提供しているTalknote株式会社 取締役の和田郁未氏にお話を伺いました。
目次
Q.『Talknote』が生まれた背景についてお教えください。
和田氏:
「『Talknote』は弊社代表の小池の体験が元になって開発されました。小池は以前、複数の飲食店と求人サイトを運営する会社を経営していました。合わせて80人ほどの従業員がいたのですが、そのうち求人サイトの事業を行う部門のメンバーが一人を除いて全員辞めてしまう、という事態になってしまいまして…。
5人くらいのメンバーで会社を経営していた時は、みんなと密にコミュニケーションを取れていたのですが、事業を拡大して拠点数と社員数が増えていくと共に、代表と社員、社員同士が直接話す機会がどんどん少なくなっていき、みんなが目指している方向や価値観がバラバラになっていってしまったそうです。
この時の体験から、全社員で共通した理念を持つことの重要性や組織、チームワークの重要性を実感したのだそうです、そのためには社内全体でスピーディーにコミュニケーションの回数を重ねていくことが大事だという思いに至りました。そして、「すべての人をハッピーにしたい」という小池の強い思いも、この時の体験から来きているといいます。
それで、なるべくリアルタイムに大勢とコミュニケーションが取れるツールを探し始めました。『Talknote』の開発に着手する前の2011年頃に存在していた、ありとあらゆるコミュニケーションツールを試してみたのですが、しっくりくるものがなく…。
すでにFacebookはありましたが、社外の人にも内容が見られてしまいますし、プライベートな投稿が見られてしまう、という懸念もありました。メールだと数が多くて埋もれてしまい、結局誰も見ていない…という状態で。組織マネジメントという観点で、社内のコミュニケーションを活性化させるのにちょうどよいツールがありませんでした。
「それなら自分たちでつくってしまおう!」ということで、ITに詳しくない人がいつでもどこからでも、かんたんに見られて投稿ができる、クローズドの社内SNSとして開発、2011年にリリースしたのがエンゲージメントクラウド『Talknote』です」
Q.『Talknote』の開発にあたり、どんなところに注力しましたか?
和田氏:
「とにかく、ちゃんと使ってもらえるよう、『シンプルかつかんたんなもの』を目指しました。使いにくいと結局みんな使わなくなってしまうので、出先でもスマホでログインして、かんたんにみんなの投稿が見られるようにしました。
また、みんなが書き込んだ内容に対して、すぐにフィードバックできる仕組みにしています。
実際に運用されている『Talknote』の画面
※クリックで拡大画像を見る
たとえば、この画面は弊社の新人紹介の投稿なのですが、新入社員にあらかじめ回答してもらう項目を決めておいて、入社したらすぐここに自己紹介を投稿してもらいます。するとこの投稿を見た先輩社員たちがコメントしていきます。出身地が同じだったり、共通の趣味があったり、反応するポイントは人によってさまざまですが、このように『Talknote』上でやりとりすることで、入社間もない人でも自然とコミュニケーションが取れるようになっていきます。
社内のポータルサイトや社内報など、新入社員のリリースを出している会社は多いかと思います。でも、それだと一方通行の発信で誰がそれを見ているかわかりません。『Talknote』だと、このように投稿にコメントが付くことで、自分に興味を持って見てくれる人がいることがわかります。『双方向のコミュニケーション』がとれることを意識して開発しました。
あと意識しているのは『改善スピード』ですね。弊社は自社でサービスを開発しているため、社員の半分近い人数がエンジニアとして在籍しています。お客様からの要望による機能改善はもちろん、市場や技術動向の変化に合わせて、毎週必ず新しい機能をリリースしています。使いにくいとログインされなくなってしまうので、特に見やすさや使い勝手の部分は重点的に改善しています。
また、『Talknote』には、社員の日々のログインや投稿状況などのTalknote上での行動を分析する「アクションリズム解析」という機能があります。解析結果から本人の意欲が低下していないか、会社への興味が失われていないかなどが分かり、社員に離職の傾向があるかどうかを知ることができます。
『Talknote』は業務と密接に結びついているため、ログイン時間が長い人ほど勤務時間が長くなっている傾向にあります。社員がアクセスする時間帯から業務負荷が高まっていないか、睡眠不足になっていないかを把握する「オーバーワーク検知」機能も追加しました。
これらの機能が過労防止、退職防止に役立つと評価されて、「第2回HRテクノロジー大賞 業務変革サービス部門優秀賞」を受賞することができました。ちなみにこの賞は弊社マーケティング部門からの要望もあり、自発的に応募しました。
受賞したことによりさまざまな媒体から取材依頼をいただく機会が増え、すでにご利用いただいているお客様に喜んでいただき、知名度や満足度向上にもつながりました。
また「機能、デザイン、操作性、すべてが使いやすく改善されていた」「従業員のモチベーションを管理できるHR機能などの新機能も追加されていた」という理由で、一度解約したお客様が再び『Talknote』を導入してくださったこともありました。とても嬉しいことでしたね」
Q.実際に『Talknote』を使われたお客様からはどのような反響がありますか?
和田氏:
「よく言っていただけるのが、「社内全体のコミュニケーションが増えた」、「仕事の進捗状況が把握できるようになった」、「情報共有のスピードが上がった」という感想ですね。
特に複数拠点で展開されているお店や、社員数が多い企業の場合、なかなか社員全員が一堂に会する機会がとれないので、会社の理念の浸透や必要な連絡事項の伝達などがスムーズに行かないケースが多いです。その点『Talknote』はすべての情報を一元管理できるので、いわゆる社内の「見える化」が実現できます。
スマホアプリもあるので、立ち仕事の多い方でも空き時間にアクセスができ、移動中でも利用できます。導入前に比べると「○○さんと連絡がつかない…」といったケースがなくなってきたという事例も多いです。
さらに『Talknote』にはチャット機能の他にも、プロジェクトごとにコメントができる「グループ機能」があります。一度に複数案件を稼働させている企業様からは、タスクの見逃しや抜け漏れを防げるようになったとお喜びの声をいただいています。
元は自社でのコミュニケーションに関する課題から生まれた『Talknote』ですが、このように多くのお客様に使っていただき、お喜びの声をいただけるのは何よりの励みになります。これからも「すべての人をハッピーに」できるよう取り組んでいきます」
「すべての人をハッピーに」できるよう、スピーディーにPDCAサイクルを回してサービスの改善に取り組んでいるTalknote株式会社。前回の記事でもご紹介したように、使う人をハッピーにするためには、まずサービスを提供する側の人たちもハッピーでいることを実践されている様子がとても印象的でした。大勢の一斉離職という大変な経験をされたからこそ、経営者の抱える悩みに共感し、なかなか行き届かない所をフォローできるツールを開発し、多くの企業に利用されるサービスにまで成長させられたのでしょう。
社内コミュニケーションに課題があると感じる場合は、同社の取り組みを参考にしてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人