新入社員が入社後すぐに退職してしまうことは、企業にとっても新入社員にとっても大きな損失です。採用や研修にかかった費用が無駄になるばかりでなく、業務が増えることで別の社員へも負担がかかってしまいます。離職が影響し他の社員の士気が下がってしまうと、退職の連鎖が加速してしまう可能性もあります。新入社員の状況をいろいろな方面から把握しておけば、事前に対策を取ることも可能かもしれません。
ある会社では、福利厚生の一環とHRの取り組みとして、新入社員のモチベーション向上のためにランチタイムを有効活用しています。この記事では、どのようにランチタイムを活用するとよいのか、具体的な方法やメリット・デメリットについてご紹介します。
目次
ランチを通じて他部門の幹部社員と交流を深める
新入社員が別部門の幹部社員とランチの約束を取り、お互いに交流を深めることを目的として一緒にランチをとります。ざっくばらんな会話を通じて、新入社員と幹部社員双方のエネルギーが引き出され、モチベーションアップにつながります。また、基本的なランチをセッティングして、その後の会計処理やお礼メールなどの流れを学ぶことで、社会人としての基礎を学ぶこともできます。
効果的なランチタイムのために必要な手順
それでは、具体的にどのようにしてランチを進めるのか見てみましょう。
1.新入社員へ連絡
会社の人事部門から新入社員へ、「〇〇さん(=別部門の幹部社員)とランチの予定を組んでください」と連絡をします。ここでのポイントは人事部門から幹部社員に連絡するのではなく、新入社員に主体的に動いてもらうような働きかけをすることです。また、同部門ではなく別部門の幹部社員と一緒にランチに行くことが重要です。普段は話しにくいことも、ランチという場を一緒に過ごすことで比較的相談しやすくなる状況をつくることが目的です。
2.予定の調整
新入社員が別部門の幹部社員に自ら連絡をし、ランチの予定を調整します。
3.ランチタイム
ランチタイムでは、新入社員が幹部社員にざっくばらんに会社への疑問や働くことへの不安などの悩みを相談できます。幹部社員も新入社員の日頃の様子などを聞き出します。仕事についてだけでなく、休みの日の過ごし方や趣味などプライベートなことにも触れると、より緊張がほぐれます。堅苦しい面談とは違い、食事をしながらコミュニケーションがとれるので、相談しやすくなるのがポイントです。
4.領収書提出
福利厚生の一環でもあるので、費用は会社がもちます。新入社員が領収書を提出し、経費精算をします。領収書の処理は社会人にとって必ず発生する業務です。会社のお金で何かする時にはどんな手続きが必要なのか、一連の流れを自分で会得しながら学べます。
5.新入社員の情報共有
幹部社員は、面談でどんな話があったかを他の幹部社員に共有します。もし、新入社員が不安を抱えていたり、働くことへのモチベーションが低下していたりした場合、早期に幹部社員内で共有し手立てを打つことができます。
6.幹部社員へのお礼
新入社員は幹部社員にお礼メールを送ります。先ほどの領収書の提出と同様、お礼メールを出す流れも、取引先と会食をした場合などにも活かされますし、社内外問わずお礼メールをどう書いたらよいか身に付きます。このメールは直属の上司にも共有され、上司は会話内容や本人の考えなどについてフィードバックします。
7.不安点は直属の上司に直接共有
もし新入社員・幹部社員ともに気になったことがあれば、直属の上司に直接共有します。直属の上司が不安点を知っていることで、日々の業務をサポートできます。
ランチタイム活用のメリット
ランチタイムに他部門の幹部社員と交流することのメリットは
・新入社員のサプライズ早期退職を予防できる
・直接上司には相談しにくい新入社員ならではの不安を確認できる
・お互いの話をすることで双方刺激になる
・新入社員が別部門の仕事を理解できる
・新入社員の直属の上司が確認できなかった、何に不安を感じているかなどの細部まで確認できる
・幹部社員のコミュニケーション能力を向上させることができる
などです。
ランチで話す内容によって、メリットも多岐にわたります。
新入社員を入社直後から精神面でもフォローアップすることで、会社に対する満足度を高め、本人の不安を早期にしっかり排除することができるでしょう。
ランチタイムの交流はメリットが多く、これといったデメリットはありません。
強いて言うなら、
・初めて話す幹部社員の場合、新入社員が緊張してしまいランチ自体を不安に感じるケースがある
・新入社員が100名以上いる場合はランチ代が総額20万円以上かかる(1,000円/人)
といったケースくらいです。
まとめ
ランチタイムのコミュニケーションは、新入社員のサプライズ退職を防止し、双方のコミュニケーション能力の活性化につながっています。実際にビジネスエグゼクティブ層でも、ランチタイムの会食をビジネスに活かしているケースがよくあります。おいしい食事を共にすることで、新たな発想が出たり、相手への理解を深めたりと、多くのメリットや効能があります。
会社において同部門の幹部社員だけではなく、別部門の幹部社員に相談できる相手がいるというのはとても心強いものです。ぜひ自社用にカスタマイズして、新入社員のサプライズ退職防止に役立ててみてはいかがでしょうか。