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ワーカホリック(仕事中毒)とは?特徴とデメリット、対処法を解説
公開日:2022.12.6
企業が従業員の健康状態を管理することも重要な課題の一つです。数ある課題の中でも、注目すべきは「ワーカホリック」。仕事熱心な方だと思っていたら、実はワーカホリックだったということも考えられます。
この記事では、ワーカホリックの意味、原因や特徴、対処方法について詳しく解説します。
目次
ワーカホリック(仕事中毒)とは?
ワーカホリックとは、頭が常に仕事のことでいっぱいで、プライベートでも仕事のことを考えている状態のことをいいます。そういった状態の人は、一見仕事熱心な人と思われます。しかし、仕事のことを優先するあまり、人とのコミュニケーションや自身の健康をおろそかにしている可能性もあるのです。
ワーカホリックの語源は、英語で仕事の意味を持つ「Work」とアルコール中毒を意味する「Alcoholic」を組み合わせたものです。1970年代アメリカのウェイン・オーツという作家が出版した「ワーカホリック 働き中毒患者の告白」で言葉が使用されたのが始まりといわれています。
ワーカホリックになる原因とは?
業務量が増えた、私生活がうまく行っていないなどの理由で、プライベートでも常に仕事のことを考えるようになると、ワーカホリックが引き起こされます。
年齢や経験を重ねるにともない、役職がついてくると仕事量が増えます。こうした方は、「いかに仕事をこなすか」「定時までに仕事が終わらず残業」と知らず知らずのうちに仕事のことで思考がいっぱいになりがちです。仕事に対して全力で取り組むため、自分でブレーキをかけるのを忘れてしまっているのかもしれません。
プライベートでも趣味にかけていた時間が仕事のことで考える時間になり、仕事に関することをやり始めている方が多くみられます。
また、プライベートで悩みがある場合に、仕事をすることで不安を解消しようとする人もいます。しかし、仕事で一時的に不安を発散できたとしても、問題は解決していないことの方が多く、さらに仕事にのめりこむという悪循環になりがちです。
ワーカホリックになりやすい人の特徴とワーカホリックのデメリット
ワーカホリックの意味や原因について理解できたところで、ワーカホリックになりやすい特徴について詳しくみてみましょう。主な特徴は以下の5つです。
- 常に仕事のことで頭がいっぱいになっている
- 何よりも仕事を優先してしまう
- 完璧主義者
- 責任感が強く、自分を追い込みがち
- 仕事以外に没頭できる趣味がない
これらの特徴について詳しく解説します。
ワーカホリックの人の特徴①常に仕事のことで頭がいっぱいになっている
多くの人は、休日になると家族や恋人とのコミュニケーションや趣味に身をおき、心身を癒すことでしょう。
ワーカホリックの人は休日でも仕事のことを考え、休息をする暇があったら仕事をしようと考えます。常に仕事をしていないと不安にかられ、イライラすることも少なくありません。そのため、仕事をすることで安心感が生まれ、休日でも資料作りや次の仕事の準備をはじめたりします。
ワーカホリックの人の特徴②何よりも仕事を優先してしまう
仕事を成功させたい、円滑に進めたいという考えから、何よりも仕事を優先してしまう人もいるでしょう。プライベートだけでなく、仕事の休憩時間にも仕事にあててしまうケースも珍しくありません。
何よりも仕事を優先してしまうあまりに、家族や恋人とのコミュニケーションが少なくなり、家庭内での居場所がなくなる可能性も。他にも友人からの誘いも断るようになり、疎遠になるケースも珍しくありません。仕事での悩みを相手に打ち明ける機会を設けないと、心身ともに崩れ、病気になる方も数多くいます。
何よりも仕事を優先してしまうと、見えない絆や関係性が消滅する可能性も考えられます。
ワーカホリックの人の特徴③完璧主義者
ワーカホリックは、負けず嫌いな方に多くみられます。人よりできないことがあれば、できるようになるまで仕事をします。また、新たにできないことがわかれば、仕事量をこなしてできるため、やりすぎてしまう場合も。
完璧主義者は自分を甘やかさず、常に仕事はミスがなく完璧にしないと気がすみません。どれだけやっても仕事に対する満足感がなくこだわりが強いため、終わりがないというのも特徴としてみられます。
ワーカホリックの人の特徴④責任感が強く、自分を追い込みがち
責任感が強く、自分一人で仕事を成し遂げようする人は、周りに仕事をふったり相談をしたりすること得意ではない場合があります。そのため、体調がすぐれないなど万全でないときも仕事をこなし自分を追い込む傾向もみられます。
仕事量が増えたときも周りに仕事を割り振らないため、自分一人で抱え込みさらに自分を追い込むという負のスパイラルに陥る可能性も。
その結果、仕事を処理する時間が増え、ワーカホリックに拍車をかけてしまいます。
ワーカホリックの人の特徴⑤仕事以外に没頭できる趣味がない
夢中になれる趣味があれば、休日や仕事終わりも時間を費やせます。
しかし、趣味がない人は、休日もやりたいことが見つからず時間を持て余します。持て余す時間があるなら仕事をしようと考え、仕事に取り組む方も少なくありません。
また、趣味を楽しんでいても、頭の片隅で仕事のことを無意識に考えているケースもみられます。十分に趣味を楽しめないため、仕事をしたほうがよいという思考回路に切り替わり、趣味ではなく仕事に切り替わる方も。
常に仕事のことを考えるようになるため、仕事以外に没頭できる趣味がなくなると考えられます。
ワーカホリックの人の特徴⑥プライベートがうまく行っていない
プライベートで何か問題を抱えている場合に、不安から逃避する手段として仕事に打ち込む人もいます。その結果、プライベートの問題の解決が先延ばしになり、状況が悪化し、仕事をしていないと落ち着かなくなってしまい、ワーカホリックになってしまうこともあるでしょう。
ワーカホリックのデメリット
ワーカホリックになると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
考えられるデメリットは以下の2つです。
- 本人のメンタルヘルスや体調への悪影響
- 人間関係への悪影響
2つについて詳しくみてみましょう。
本人のメンタルヘルスや体調への悪影響
仕事を優先するため、健康状態への意識が低下しています。体調がすぐれないときでも仕事をするため、健康状態が悪化しかねません。
また、残業を続けたり睡眠時間を削ったりする日々が続くと、自分でも気づかないうちにストレスが溜まり、メンタルにも影響が出るでしょう。
自身の健康よりも仕事を優先することで、後々取り返しがつかない状態に陥る可能性も考えられます。
人間関係への悪影響
仕事を優先するあまり、家族や恋人とのコミュニケーションの時間が少なくなります。
コミュニケーションが少なくなると信頼関係が揺らぎ、家に帰っても自分の居場所がなく居心地が悪くなる可能性も。家にいたくないから仕事をしようと考え仕事に没頭し、さらに疎遠になるため人間関係への悪影響がより強くなるでしょう。
また、友人との付き合いでも同じことがいえます。友人からの誘いに対し仕事を理由に断り続けると、相手から誘われなくなるでしょう。
友人と話をすることで、日頃抱え込んでいる悩みを口に出し、心身ともに楽になるケースは多々あります。友人と疎遠になることで、悩みや愚痴を聞いてもらえず、自身で抱え込み精神疾患にかかる可能性も。
以上の理由から人間関係への悪影響が考えられます。
ワーカホリックの対処法・抜け出す方法
ワーカホリックは仕事だけでなく、プライベートまで多大なる影響を与えるため、早急に対処しなければいけません。
対処する方法は以下の3つです。
- 他人から客観的な意見をもらう
- 仕事と休日のメリハリをつける
- マインドフルネスなどを通して自分の気持ちと向き合う
これら3つのことを行うことで正しく対処でき、ワーカホリックから抜け出せます。
他人から客観的な意見をもらう
仕事をしているときの様子は自分でもわからないもの。他人から客観的な意見をもらうことで、今後の改善点がみえてきます。
例えば、仕事に集中しすぎて周りとのコミュニケーションが図れていないという指摘があれば、少しずつ周りに話をかけるようにするとよいでしょう。
他人から意見をもらうことで、現在自身がおかれている状況が少しずつみえてきます。決して否定をせず、他人からみられている自身を見つめ直す良いキッカケとなるでしょう。
仕事と休日のメリハリをつける
ワーカホリックを改善するためには、仕事と休日のメリハリをつけることも重要です。
もし休日でも仕事のことを考えるようであれば、車や電車で遠出をして、仕事のことを考えないような環境にしてみてはいかがでしょうか。遠出の他にも映画や運動など他のことを考えるようにし、リフレッシュできる習慣を取り入れることで、メリハリをつけられます。
仕事の場合は、就業時間が過ぎたら仕事を行わないことが大切です。就業時間内で〇時までに〇〇を終わらせるとタイムスケジュールを立て、終わらせられるようにすることで仕事でのメリハリもつけられます。
自身の中でしっかりと線引きとメリハリを行うことで、ワーカホリックの改善につながるでしょう。
マインドフルネスなどを通して自分の気持ちと向き合う
マインドフルネスとは、過去の経験や先入観にとらわれず、体の五感に集中させ、現実をあるがまま受け入れる心をはぐくむ練習をすることです。
よく行われる練習法の一つとして瞑想(めいそう)があります。
瞑想は脳を活性化させたり、ストレスをためにくいようにしたりするなど、仕事のパフォーマンスを上げる効果があるため、多くの企業で導入されています。
瞑想のやり方は以下の通りです。
1.椅子に腰をかけ、脚などは組まず地面に足裏をつけます
2.背筋を伸ばし、腕はおろした状態で肩を3~4回回して胸をはります
3.両手は膝の上におきます
4.目を閉じます
5.呼吸は腹式呼吸(鼻から息を吸う時に腹は膨らみ、吐く時に腹を凹ます)
6.1~5を繰り返し、5~10分行う
マインドフルネスで自分自身と見つめなおす良いキッカケを得られるでしょう。
ワーカホリックの社員がいたら企業はどうするべきか
もし社内にワーカホリックの社員がいた場合、企業はどのように対応をすればよいのでしょうか。
企業側の対応策は3つです。
- ワーカホリックへの正しい理解を持つ
- 業務量を確認する
- ワーカホリックを「見える化」する
それぞれについて詳しく解説します。
ワーカホリックへの正しい理解を持つ
企業側は、ワーカホリックに対する正しい理解を持つことが大切です。
ワーカホリックに該当する社員を、「この人は仕事熱心な人だ」「責任感が強い」と決めつけてしまうと、つぶれてしまう可能性があります。
上記でもワーカホリックの特徴をあげましたが、ここで改めて復習しましょう。
- 常に仕事のことで頭がいっぱいになっている
- 何よりも仕事を優先してしまう
- 完璧主義者
- 責任感が強く、自分を追い込みがち
- 仕事以外に没頭できる趣味がない
これらの特徴に一つでも当てはまる場合は、該当する社員と面談を行います。その際は、現在抱えている悩みや日頃の行動などを聴取し、一人ひとりの人となりや事情を分析することが大切です。
業務量を確認する
ワーカホリックに当てはまる人は、一人で業務を抱え込みがちです。その方の能力地適した業務量なのかを見つめなおすことで、ワーカホリックから抜け出せるキッカケになるかもしれません。
過去に行っていた業務量と現在の状況を比較し、あまりにも量が増えすぎていた場合は改善するようにしましょう。
ワーカホリックを「見える化」する
ワーカホリックの特徴がわかっても、本人が納得してもらわなければ、その先へと進めません。サーベイやストレスチェックなどでワーカホリックに該当するかをテストし、テスト結果で見える化を行うと本人も納得する可能性が高まります。
それによってワーカホリック度合いを本人に自覚させ、状態がひどい場合は面談を行うことをおすすめします。仕事に対する考え方が変化するような声がけなどを心がけ、適切に対応しましょう。
ワーカホリックは本人が自覚しやすい環境の整備とフォローが重要
ワーカホリックは、仕事に没頭しすぎる、仕事とプライベートのメリハリがないなどの特徴がみられます。自身では気づきにくいことなので、周りが本人に自覚させることが重要です。
本人が納得しない場合はテストを行い、ワーカホリック度合いを見える化することで改善がしやすくなるでしょう。
本人だけでなく、周りもワーカホリックに対する正しい知識を持つことが重要です。企業全体で正しい知識をつける機会を設け、互いに寄り添う環境を目指しましょう。
FAQ
ワーカホリックについてのよくある質問を紹介しています。
- ワーカホリックとは?
- ワーカホリックとは、頭が常に仕事のことでいっぱいで、プライベートでも仕事のことを考えている状態のことをいいます。度を超えて仕事にのめりこむあまり、本人のメンタルヘルスや体調への悪影響、人間関係への悪影響が出る場合があります。
- ワーカホリックの原因とは?
- 業務量が増えた、私生活がうまく行っていないなどの理由で、プライベートでも常に仕事のことを考えるようになると、ワーカホリックが引き起こされます。
- ワーカホリックの影響とは?
- 仕事にのめりこみすぎるあまり、私生活がおろそかになって体調を崩す、人間関係が壊れるなどの影響があります。必要以上に仕事にのめりこんでいないか、診断やサーベイなどで客観的に判断することも重要です。
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