オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
給与制度・設計
公開日:2019.10.7
優秀なエース社員が突然辞めてしまうこと、残念ながらありますよね。突然の退職の主な理由として、「なんでもかんでも任せられてしまう体制」、「劣悪な職場環境」「不満だらけの人事評価」など、環境を含め給与・評価などが本人の成果に見合ったものでないということがあげられます。
それでは、エース社員が突然退職してしまう会社にならないために、見直すべきポイントをお伝えします。
目次
昨今では、同じ会社に一生勤めるという終身雇用制はもはや崩れ去ってきています。転職は珍しいものではなくなってきているものの、その理由は重要です。
特に優秀な人材が突然退職の意思を示してきた場合には、なぜ退職しようと思ったのか、きちんと理由を把握しましょう。「独立起業したい」「自分の力を試したい」などの前向きな理由であれば問題ありませんが、「やりがいが感じられない」「成長の機会がない」などのネガティブな退職理由でしたら要注意です。
まずは、優秀な社員が退職の意思表示をしてきたとき、前向きな退職にするための組織づくりのポイントをお伝えします。
優秀な人材であればあるほど、将来その人材がどの選択をしたとしても困らないように、その道のプロとして育成するよう心がけておきましょう。退職した会社について、感謝している状態であればあるほど、その企業の価値は上がります。良い関係を続けていれば、今後もビジネスで関わる可能性もありますし、その人を目標にした人が入社する可能性もあります。組織として部下の独立をサポートできるようにし、退職しても困らない体制を用意しておきましょう。
優秀な人材であればあるほど、抜けた時の穴は大きくなってしまいます。しかし、同時に時期エースの成長の機会でもあるのです。優秀な社員が在籍しているうちに、次世代のエース層を意識して育てておきましょう。優秀な社員の仕事ぶりを間近で日々見ることは、効果的な育成手段です。時期エースが揃っていればいるほど、職場は活気に溢れ、離職率も低くなる傾向にあります。
採用は、すなわち経営にも直結するという意識を持つようにしましょう。採用段階でミスマッチを防げていれば、入社後のギャップも最低限で済みます。「採用は人事の仕事」だと任せっきりにせず、経営層の意図をきちんと伝えて理解してもらい、相互に協力して人事戦略を練ることが組織の発展にもつながります。
優秀なエース社員が突然辞めるということは、中小企業にとっては特に大きな痛手です。この場合、注意しなければいけないのは「突然」だと経営者が感じてしまうことです。退職を決意するまでには、さまざまな原因があったことでしょう。これらの原因を改善することで、エース社員が突然辞めることを防げるかもしれません。それでは、そんな状態にならないために、気を付けるポイントを3つご紹介します。
いくら優秀であったとしても、業務範囲が広すぎたり、責任を負わされすぎたりすると、転職を考え始めるのは当然です。日本の優秀な管理職は、ただチームを管理するだけでなく、自分自身も数字を上げなくてはならないプレイングマネージャーとしての働きを求められている場合が多いです。
また、難しい業務や新しい仕事を優秀な部下に任せきりにしてしまうのもいけません。リスクのある仕事を任せるのであれば、その責任は上司や社長がとるということをきちんと伝えておきましょう。安心して働ける環境があれば、自分の力を最大限に生かして生き生きと働くことができます。
特に中小企業の場合、人事評価の基準が曖昧で、時には社長の好き嫌いによって左右されてしまうケースもあるようです。たとえば、部下の育成はできないけれど自分の結果は出す人がいた場合、その数値だけを見て優秀な社員と判断して出世させてしまうことなどがあります。そういう人が出世した場合、部下の育成ができないままですので、誰もついてこない上司になりかねません。
客観的要素ではなく極めて主観的な要素や数値のみで評価された場合、職場の働く意欲は低下する一方です。人事評価の基準を明確にし、社長のみではなく多方向から評価するような組織づくりが必要です。
管理職になった途端、残業代が出なくなり以前より手取りが減ってしまうということもあるようです。管理職になり責任が増える一方で、成果に見合った給与が支払われなかった場合、会社への不信感へと直結します。お金だけが仕事のやりがいではないですが、お金がなければ安心して生活・仕事をすることができません。「とりあえず管理職は残業代無し」と決めつけてしまうのではなく、自社の制度を専門家の意見を取り入れつつ見直してみましょう。
社員本人が何も不満を言ってこないからといって、その給与や評価に満足しているとは限りません。社内のコミュニケーションを活性化させ、日ごろから小さな疑問や不安を解決するようにしましょう。その上で、各人の働きや貢献を適正に評価し、その成果に見合った報酬を支払うべきです。安心してはたらける職場環境づくりが、優秀な社員の定着につながります。
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