従業員を即日解雇したい場合、解雇通知と同時に30日分の解雇予告手当を支払えば可能です。しかし、即日解雇を言い渡した社員が未消化の年次有給休暇が40日残っていて、「未消化分の有給休暇を買い取ってほしい」と請求してきました。この場合は未消化分の有給休暇を買い取るか、有給休暇を消化してから解雇したほうがいいのでしょうか?
雇用契約が切れれば有給休暇も消滅する
結論からいうと、即日解雇が有効になされて、その雇用契約が消滅した後に未消化分の年次有給休暇を請求してきても、応じる義務はありません。
年次有給休暇は、労働契約が切れれば消滅してしまうからです。どんなに未消化分の年次有給休暇が残っていようとも、解雇とともに消えてしまいます。
解雇については、解雇通知と同時に30日分の解雇予告手当を支払うか、30日以上前に解雇通知を出せば、労働基準法違反とはなりません。年次有給休暇が
残っている社員を解雇するときは、30日以上前に解雇通知を出し、そこから解雇日までの間に有給休暇を消化してもらうことも可能です。
また、解雇日以降に有給休暇が残っていたとしても、与える義務はありません。
まとめ
本来、年次有給休暇は、雇用契約を前提とした労働者の権利です。通常の退職を予定している場合は、残っている年次有給休暇を消化した後に退職日を設定することができます。
有給休暇の買い取りは、原則として認められません。有給休暇の本来の目的は、労働者に対して、「心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するため」だからです。
しかし、退職時においては、「引き継ぎが長引き、有給休暇を消化し切れずに退職する」「退職後すぐ転職するため、有給休暇を消化できずに退職する」という状況も想定されます。
よって、退職時に限り、例外的に年次有給休暇の買い取りを行っても差し支えないとされています。
記事提供:助成金・給与労務手続センター本部
社会保険労務士法人HRサポート