会社の倉庫にある商品を整理していた従業員が、重い荷物を持ったことにより急性腰痛症、いわゆる“ぎっくり腰”になってしまいました。動けなくなってしまうほどの激痛だったらしく、病院に搬送されたのですが、この場合は労災として認定されるのでしょうか?
腰痛が労災認定されるかは2つの判断基準から考えられる
厚生労働省では、労働者に発症した腰痛が業務上のものとして労災認定できるかを判断するために、「業務上腰痛の認定基準」を定めています。
認定基準では、腰痛を「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」の2種類に定義し、それぞれ対象とする要件を定めています。
「災害性の原因による腰痛」には2つの要件があり、どちらも満たしている必要性があります。
ひとつは「仕事の突発的な出来事が原因によって腰が負傷したことが明らかに認められる」で、もうひとつが「腰痛の既往症・基礎疾病を著しく悪化させたと医学的に認められること」です。持ち上げるものが予想に反して重かったり、運搬作業中に転倒したりして、急激な力が腰にかかった場合などが事例として挙げられます。
「災害性の原因によらない腰痛」とは、突発的な出来事が原因ではなく、日々の業務による腰部への負荷が徐々に作用したことによって発症した腰痛を指します。例えば、長距離トラックの運転業務や約20キログラム以上の重量物を労働時間の半分程度以上におよんで取り扱う業務などです。
まとめ
今回の事例は「災害性の原因による腰痛」に当たりますが、ぎっくり腰は日常的な動作の中でも生じますので、仕事中に発症したとしても労災補償の対象と必ず認められるわけではありません。
発症時の動作や姿勢の異常性などから労働基準監督署長が判断します。
今回と似たようなケースだと、狭いスペースで荷物の運搬をしていた際に発症した腰痛が、労災として認定されています。身動きがとれない状態で腰に無理のかかる姿勢をしていたからだということです。
記事提供:助成金・給与労務手続センター本部
社会保険労務士法人HRサポート