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社員が雇用後早々に出社しなくなり退職に……  その際の離職証明書の提出は必要?

採用した社員が試用期間も終わらないうちに出社しなくなり、最終的に自己都合退職することになりました。当然、雇用保険(基本手当)の受給資格は満たしていません。この場合、ハローワークに離職証明書の提出は必要でしょうか?

【結論】原則として離職証明書の提出は必要となります。

退職者は貴社の雇用期間だけでは雇用保険の受給資格を満たしていなくても、複数の会社の被保険者期間を通算できるため、会社としては離職票を本人に交付するのが原則です。

雇用保険の資格喪失手続きは必要

今回のご相談では、当該社員は正社員のため、入社時には雇用保険の資格を取得したはずです。そのため、その社員が退職した場合にはハローワークに資格喪失の手続きに行く必要があります。

被保険者が資格を喪失した場合、事業主はその翌日から10日以内にハローワーク所長に資格喪失届を提出します。その際、契約書、労働者名簿、賃金台帳その他被保険者でなくなったことの事実を証明する書類を添えます(雇保規7条1項)。

資格喪失の理由は、離職(会社都合、それ以外)と離職以外(死亡、在籍出向など)に分けられます。離職であれば、原則的に離職証明書や賃金台帳等も提出する必要があります。ただし、『被保険者(59歳以上の者は除く)が離職票の交付を希望しない』ときは、添付の必要はありません(雇保規7条2項)。不要の際は、資格喪失届の『離職票交付希望欄』に『2(希望なしの意味)』と記載します。

自己都合退職は『離職』に該当するので、本人が「希望しない」と意思表示しない限り、ハローワークへの離職証明書の提出が必要となります。

受給資格を満たさない場合でも原則は離職票の交付をするべき

離職票は、基本手当の日額や所定給付日数等を決定する資料となります。しかし、自己都合退職の場合、原則として過去2年間に被保険者期間が12ヶ月以上なければ雇用保険の受給資格を得られません(雇保法13条)。

今回のケースでは、この要件を満たさないため、離職証明書を提出しても意味がないと考えがちですが、今後、当該社員が再就職し、新たに雇用保険資格を取得する可能性もあります。もし再就職先でその社員が再び離職した場合、貴社の離職票と再就職先の離職票を合わせて、被保険者期間を通算できるため、受給資格を得られるケースもあります。

そのため、貴社の雇用期間単独では受給資格を満たさない場合でも、会社としては離職票を本人に交付するのが原則です。

なお、退職時に本人が離職票の交付を希望しない場合でも、後日、本人が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、交付する義務があります(雇保規16条)。