サイトアイコン HR BLOG | 経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする

タバコ休憩の時間は、労働時間から控除できるか?

弊社では、タバコ休憩を給与から控除する(給与を支払わない)ことはしていません。しかし残業が発生している要因の一つとして、残業を見越して終業時間前にタバコ休憩を取っていることが判明しました。そのため、労働時間からタバコ休憩を控除したいのですが、可能ですか?

控除できるかどうかはケースバイケース

タバコ休憩をどのように扱うかについては、『職務専念義務』とその許容範囲との関係で悩ましい問題です。職務専念義務とは、業務時間中は仕事に集中する義務のことです。その考えでいうとタバコ休憩そのものは、認める必要のないものです。しかし、業務に支障のない範囲であれば、トイレに行くことや水分摂取のためにドリンクを飲むことなどと同様に認められる行為になります。ただし、業務に支障が出る場合は、会社が何らかの対応を取る必要があるでしょう。

では、労働時間から控除ができるかという問題ですが、『ノーワークノーペイ』という考えからいくと、タバコ休憩の時間は働いていないので、給与を控除することは可能です。ただし、もし喫煙中の時間が、『使用者の指揮命令下に置かれた時間であれば、労働時間と見なされ、賃金を支払う必要があります。つまり、喫煙中でも指示があればいつでも仕事をしなければいけない状況であれば、それは労働時間になるということです。労働時間外とするためには、完全に解放された時間であることが必要になります。

タバコ休憩には明確なルールづくりを

タバコ休憩の扱いについては、あいまいな状態のままにしておくことは危険です。なぜならば、タバコ休憩の間、喫煙者は仕事をしていないからです。たとえば、7時間勤務の会社で1時間につき10分のタバコ休憩を取っているとすると、7×10分=70分で、1日当たり1時間10分もの間、仕事をしていないことになります。そのため、場合によっては業務に支障が出ることもあるかもしれません。また、非喫煙者は喫煙者に対して、「働かなくてずるい」といった感情を持つことになり、両者の間にわだかまりができるかもしれません。

こうした事態を防ぐためにも、まずはタバコ休憩に関するルールを作成し、その回数や取り方などを明確にしておくことが大切です。そのうえで、非喫煙者にも不公平感が出ないように同じ程度の休憩を与えるようにしていく方がいいかと思います。
また、喫煙者は採用しないことも解決方法の一つです。



まとめ

今回の相談に関しては、“終業前のタバコ休憩を廃止し、その代わり定期的に喫煙者のタバコ休憩と非喫煙者の休憩を取ることにする”という解決方法が考えられます。

どのような解決方法を取るにしても、タバコ休憩への対応を明確化し、従業員に周知しておかないと、会社全体の士気に影響し、生産性の低下につながりかねません。現在、何の対応も行っていない企業は、一度タバコ休憩のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。