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長距離通勤による高額の交通費! 通勤手当はどこまで支払うべき?

都内にある会社ですが、ある社員が結婚を機に他県へ引っ越しました。

新幹線で1時間ほどの距離になります。この場合、どのくらい通勤手当を支払うべきでしょうか? これまでは社内の規定によって全額支給していましたが、金額を考えるとそうもいかなくなり、困っています。

“全額支給”も“支給なし”も会社が決められる

最近は、避暑地やリゾート地などに家を構え、そこから都市部に通勤するという人も増えつつあるようです。とはいえ新幹線で1時間といえば、定期券でも1カ月で13万円ほどかかる距離。どこまで通勤手当を支給するべきかは、確かに悩ましいところです。

実は、通勤手当の支払いには法律的な取り決めがなく、その会社の判断に任されています。そのため、通勤にかかる費用を全額支給する会社もある一方で、いっさい支給しない会社や、支給の上限を設けている会社も少なくありません。

今回のケースでは、通勤手当は全額支給するとの社内規定を設けていたそうですが、月に13万円をこの先も支払い続けるわけにはいかないでしょう。引っ越した社員と話し合い、新しい規定をつくる必要があります。

基本的に、労働場所の提供は会社側の責任ですが、その場所までの移動は従業員側の責任です。住居および移転の自由が憲法で定められている一方、仕事場への移動は個々の責任において遂行する義務があります。会社の通勤手当は、あくまで通勤にかかる費用を会社が補助するものであることを念頭に置いておきましょう。



多くの意見をふまえて妥当なルールの策定を

通勤手当は、従業員に給与の一部として支払われます。そしてある一定の額までは非課税として計算します。

電車やバスなどの交通機関、または有料道路を利用している人に支給する通勤手当の非課税限度額は、2016年1月より、それまでの月10万円から月15万円に引き上げられ、企業の中ではこれを基準にしているところもあります。

つまり通勤手当に関しては、月15万円までは税金がかからないということです。ただし“経済的かつ 、合理的な経路や方法”に限られるので、グリーン車の料金などは非課税額には含まれません。

非課税限度額を基準に考えれば、通勤手当の支給上限は月15万円。仮に月の定期代が13万円でも十分に収まる額ですが、企業によっては支払いがむずかしい額でもあります。引っ越しする社員に、実際の通勤経路と、使用する交通手段、かかる費用を出してもらったうえで、他の社員や社外などの意見もふまえながら、妥当な額を決めていく必要があるでしょう。

また、これを機会に、交通費の新たなルールや妥当な支給額を社内で策定してみてはいかがでしょうか。