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労務110番

深夜勤務を導入する際に知っておくべきこととは?

公開日:2019.9.27

    コンビニやスーパー、ファミレス以外にもドラッグストアやレンタカー、ファストフードなど、さまざまな業態で24時間営業が行われている昨今。
    個人店でも24時間とはいわないまでも、営業時間を延ばし、深夜営業にふみ切る店舗も少なくありません。
    そんななか、セブンイレブンの24時間営業が社会問題化するなど、その是非についても注目が集まっています。
    そこで今回は、深夜営業を導入する際の注意点をご紹介します。

    深夜労働を行う際の賃金の決めごと

    労働基準法では原則的に1日に8時間、1週間に40時間までしか従業員を働かせてはいけないという規定があり、この労働時間を超えた場合には、時間外労働になります。

    時間外労働の場合には残業代や、割増賃金を支払わなくてはいけません。
    では、深夜労働の場合はどうなるのでしょうか?
    注意点は四つあります。
    一つひとつみていきましょう。

    1.深夜手当を支払わなければならない

    深夜営業を導入する場合は、『深夜手当』という割増賃金を支払う必要が出てきます。
    労働基準法の第37条第4項では、午後10時から午前5時までの時間に課せられた労働を『深夜労働』と定義し、この時間に働いた従業員には、通常の労働時間の賃金に2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

    つまり、通常時給1,000円のアルバイト従業員が、午後10時から午前5時までのシフトに入った場合には、2割5分以上の率、25%を加えた、1,250円以上の時給を支払わなければいけないというわけです。

    ちなみに、深夜営業を想定していない会社が、時間外労働として深夜の仕事を従業員に課す場合は、『深夜手当』に加えて、さらに25%割増しした賃金を支払わなければならないので注意してください。
    たとえば、自社の所定労働時間を朝の8時から夕方の午後5時までと定めているとします。
    この場合、休憩1時間に実働8時間なので、この所定労働時間内に各従業員の仕事が終われば、割増賃金を支払う必要はありません。

    しかし、多くの会社では、多少の残業があるのは当たり前です。
    従業員を残業させる場合は、やはり通常の労働時間の賃金に2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
    この例の場合では、午後5時からの労働に割増賃金が発生します。

    では、その残業が午後10時を超えてしまった場合には、どうなるのでしょうか。
    午後10時以降は深夜営業になってしまうので、残業代の25%に加え、さらに『深夜手当』の25%を支払う必要が出てきます。
    つまり、所定労働時間を超えて、さらに午後10時以降に従業員に働いてもらうには、通常の50%割り増しした賃金を支払う必要が出てきます。
    いくら仕事が多い、納期が短いからといって、従業員を午後10時以降も拘束して働かせるのは、会社にとっても従業員にとってもあまりよいことではありません。
    仕事の分担や調節などで、対策を講じる必要があるといえるでしょう。

    2.基本的に18歳未満の『年少者』は働かせてはいけない

    労働基準法では0歳~満15歳のいわゆる『児童』を雇用することは禁止されていますが、満15歳に達し、最初の4月1日を迎えた人物に関しては雇用が可能になります。
    しかし、18歳になるまでは年少者として深夜労働や時間外労働をさせることが禁止されています。
    18歳から20歳未満の『未成年』であれば、深夜労働を行うことができます。
    ただし、『年少者』でも、労働基準監督署長の許可を得れば、午後10時30分までであれば、時間外労働をさせることが可能になります。
    また、『年少者』であっても工場などの交代制の仕事の場合は、満16歳以上の男子であれば、深夜労働が可能です。

    3.妊娠中の女性は働かせてはいけない

    実は、1999年4月の労働基準法改正以前には、女性の時間外労働は規制されていました。
    しかし、改正後は男性と同じように、女性も深夜労働を行うことが可能になりました。
    男女平等の観点からも、女性にも男性と同じような労働を求めることができるというわけです。
    ただし、妊娠中の女性に対しては、その女性の求めに応じ、時間外労働はもちろん、休日労働、深夜労働をさせてはいけないという規則があります(労働基準法第66条)。
    これを無視して妊娠中の女性に深夜労働を課したりすると罰せられますので、注意してください。

    4.女性には防犯面などの配慮が必要

    労働基準局では、女性に深夜労働をさせる場合、防犯面の安全を確保したり、子どもの教育、または家族の介護などに配慮したりする必要があるとしています。
    たとえばコンビニなどでは、女性に一人だけでの勤務(ワンオペレーション)をさせることはできませんし、子育て中の女性に深夜労働をさせる場合は、しっかりと事情を聞き、本当に問題がないのかを確認する必要があります。

    いずれにせよ、深夜労働の導入には予想を超えた人材や経費が必要になってきます。
    本当に自社の事業にとって深夜営業がメリットになるのかどうか、よく考える必要がありそうです。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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