オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
オンボーディング
公開日:2020.1.22
「感謝の言葉を日常的に使い、周囲に伝え合うちょっと変わった仕掛けを社内に取り入れています」と語るのは、株式会社オウケイウェイヴ(以下、オウケイウェイヴ)経営管理本部 人事部 部長代理の山本卓也氏。
Q&Aサイトを主軸にサービスを提供しているオウケイウェイヴでは、人と人とが助け合える「場」を提供し、そこから生まれる「ありがとう」を大切にしています。
とはいえ、感謝の言葉を直接相手に伝えるのはちょっと恥ずかしいもの…。感謝の言葉を素直に相手に伝えるにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、感謝することを会社の理念とするオウケイウェイヴの山本氏に「感謝の言葉が自然に増えるユニークな仕掛け」や「社内コミュニケーションの方法」ついてお伺いしました。
目次
私たちオウケイウェイヴは、Q&Aサイトを主軸にサービスを提供しています。そして、そのいずれも社会貢献性を重視したものです。その理由は、「互い助け合いの場の創造を通して、物心両面の幸福を実現し、世界の発展に寄与する」という弊社の理念に沿って事業を展開し、常にミッションに則ったサービスによって、助け合える「場」を提供し、そこで生まれる「ありがとう」を大切にしているからです。何よりもこの理念を重視しています。
社内の個室にはすべて名前が付いています。今お話ししているこの部屋は「オークン」と呼ばれています。カンボジア語(クメール語)で「ありがとう」という意味です。その他にも「Thanks」「謝謝」「Gracias」など、世界各国の「ありがとう」を室名として使っています。
「ありがとう」という言葉というのは不思議なもので、感謝する場面でなくても言われるだけでなんだかうれしくなるもの。この仕掛けによって、意識しなくても社員の会話の中にたくさんの「ありがとう」が生まれます。感謝の言葉を日常的に使い、周囲に伝え合うちょっと変わった仕掛けとして取り入れています。
「ありがとう」という言葉はとてもシンプルですが、単なるお礼のセリフではなく、心理的な安全性なども生み出す特別な言葉なのです。
最近、私が受け取った「ありがとう」のメッセージでとてもうれしかったのは「会社移転プロジェクト」
弊社では2020年1月に本社を移転するのですが、会社移転プロジェクトは会社の売上に直結するものでもないし、あまり目立つことがないプロジェクトです。ただそんなときにプロジェクトの推進に関して、プロジェクトメンバー以外の社員から「いつも会社移転のプロジェクトお疲れ様です」と気を遣ってもらって『ありがとうのメッセージ』をもらったときはとてもうれしかったですね。
長期のプロジェクトなどでは結果ではなく、そのプロセスに対して、なかなか「ありがとう」を言う機会がなく、タイミングを逃してしまうということが結構あります。でも私たちはゴールまでにいろんなマイルストーンがあってそれを毎日こなしています。だからこそ、このプロセスに関してプロジェクトメンバー以外から『サンクスカード』をもらえたのはとてもうれしかったですね。
特に『サンクスカード』は、内勤部門など、売上や営業成績に直結しないところでも頑張っている人にスポットライトを当てることができ、またモチベーションが低くなっているときに過去のメッセージを読み返すことで勇気が湧いてきます。こうして受け取った『サンクスカード』は、その人の仕事のプロセスや結果に対するものですから、人事の立場で考えると大変有効な客観的評価になります。社員のオンボーディングにもつながりますよね。
面と向かってお礼を言うのが恥ずかしいという人でも、『サンクスカード』なら伝えやすいですし、季節の写真やオリジナルのデザインなど、その人なりのエッセンスを加えると、受け取った人もより楽しい気持ちになりますよね。贈るほうも楽しめます。
今はまだ実現していませんが、将来的に「サンクスカードを就職活動に使ってもらう」という方法も可能かもしれません。特に中途採用などでは有効なのではないでしょうか。「ありがとうの履歴」として就職活動に活用すれば、その人がどうやって仕事をして、どう周りから評価されていたのか。そのプロセスや結果を客観的に見ることができます。『サンクスカード』の活用の幅が広がるといいですね。
次回後編では、オウケイウェイヴ独自の福利厚生や個を大切にしつつ成長を支援するスキルアップ制度についてお伝えします。
山本氏
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