オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
オンボーディング
公開日:2020.2.5
「感謝の言葉を日常的に使い、周囲に伝え合う仕掛け」を社内に多く取り入れている株式会社オウケイウェイヴ(以下、オウケイウェイヴ)。前編では『感謝の言葉が自然に増えるユニークな仕掛け』ついてご紹介しました。引き続き後編では、オウケイウェイヴ独自の福利厚生やスキルアップ制度について、経営管理本部 人事部 部長代理の山本卓也氏に伺いました。
目次
福利厚生に『世界のビール飲み放題』という制度があります。18時以降なら社員はもちろん、社外のお客様も自由に飲むことができます。部署をまたいでの社員同士の交流はもちろん、場合によってはお客様も交えてのコミュニケーションを図ることを目的としています。
はじめは日本のビール(アサヒ・サッポロ、エビスなど)だけでも良いのではと考えていたのですが、なかなか役員からの承認が取れませんでした。役員からは、「もっとインパクトがあって、なおかつ会社のPRにつながるような企画が欲しい」とのことでした。そこで、普段飲まないようなちょっと変わった『世界のビール』を『飲み放題』にしようというアイデアがあがり、承認を得て制度として立ち上げることができました。
例えば、社員がどこかお店を予約してお客様とお酒を飲むとなると、予約するのも大変ですし、お金も結構かかりますよね。この『世界のビール飲み放題』制度があれば、打ち合わせが終了後に、お客様に「社内で一杯どうですか」と声掛けすることで、スムーズに交流に繋げられます。さらにアジア・アフリカ・ヨーロッパなどの、普段なかなか飲む機会のない、ちょっと変わった(?)ビールを取り揃えているので、会話の糸口にもなります。
営業面でも、この『世界のビール』をきっかけに来訪を促しやすくなるので、弊社の様子を知っていただく、良い機会になっています。
また、オウケイウェイヴの福利厚生として2018年10月から新たに始めたのが『月曜午前営業休み』。これは現会長の発案でスタートしました。もともと月曜日の午前中はブルーマンデーなどと呼ばれ、生産性が低いと言われている時間帯。そこで「社員が自分や家族のために使える時間にしたい」という考えでスタートしました。
平日に行きづらい役所や病院に行くことができたり、育児や介護の時間をとれたり、旅行や映画に時間を使ったりと、社員一人ひとりの使い方はさまざまです。月曜日の半日を自由に使えることでプライベートの時間が充実し、社員には大変喜ばれています。会社に集まってゲームをしている社員もいます(笑)。
もちろん、この制度のせいで残業が増えては意味がないので、生産性を上げるような効率化も行いました。あくまで『営業休み』であって『休日』ではないので勤務日数は減ることはなく、社員の給与も変わりません。
会長が「この取り組みをやろう!」と決定したのは2018年7月でしたが、制度の運用開始までたった3ヵ月間しかないなか、私と経営企画室の方の2人だけでこの企画を進めたので、準備がひととおり整うまでは結構大変でしたね。
この3ヵ月で行ったこととしては次の3つ。
以上、3点を行うにあたって、社員にヒアリングをしたり、お客様にご連絡をしたりと、この3ヵ月はとても大変でした。ただ、短期集中で、この制度の導入にフォーカスできたので、制度導入後は社内的な問題も特にありませんでした。
さらに幸いなことに、この「月曜午前営業休み」がメディアに取り上げられたので、会社のPRにもつながって、本当に実施してよかったと感じています。
また、オウケイウェイヴでは人材育成やエンゲージメントのために、スキルアップ制度を設けています。代表的なものとしては、外部講師の方を社内に招き、任意参加で行う『Night Seminar』です。
講師陣は、その時のテーマによって全然違うので、結構バラエティーに富んでいます。名前を聞けばほとんどの人が知っているような著名なデザイナーからデザインシンキングについて学ぶなど、業界を牽引する人物に来ていただいています。こういった研修は社員の参加率も高いですし、社内コミュニケーションをより円滑にしますので、新入社員のオンボーディングもさらに加速させると考えています。
ですが、基本的には個人の時間や自主的に学びたいという気持ちを大切にしていきたいので、強制的な社内研修は最小限に留めています。加えて、各個人が受けたい社外研修などは会社負担で受講が可能。常に最新の情報を必要とするエンジニア職などの社員には特に希望者が多いですし、マネジメントや法務などに参加する社員もいます。
その他、書籍購入などは無制限で購入が可能です。購入手続きもできるだけ簡素化し、利用しやすい仕組みにしていますし、個人ではなかなか手の出せない高価な技術書や専門書なども買えるので、多くの社員が利用しています。
社内制度をつくるときに何より大切なのは『目的』です。オウケイウェイヴの場合、『ありがとう』を生み出すことが柱。多くの『ありがとう』が生まれるように、これからも会社の理念に則り、公私ともに豊かな時間を過ごしてもらえるような社内制度を充実させていきたいと考えています。
何よりも感謝を大切にする文化を持つオウケイウェイヴ。社員の自社へのイメージにも「『ありがとう』をたくさんもらえる会社」という声が多くあるそうです。
こういった常に相手のことを考える社風や実際にもらう感謝の言葉が会社へのエンゲージメントにつながり、プライベートの充実と仕事の効率化、両輪に大きく影響しているのでしょう。
山本氏
この記事を書いた人