オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
オンボーディング
公開日:2020.11.4
厚生労働省の調べによると、平成27年に大学を卒業して就職した新卒者の3年後の離職率は31.8%。企業にとって、採用した新入社員や中途社員には早期に戦力になってもらい、活躍を期待するものです。しかしその期待とは裏腹に、社風や仕事になじめずに離職となってしまうケースが増加の一途をたどっているのが昨今の採用状況なのです。
そのような課題に対して、近年注目されている施策がオンボーディングで、企業が新規採用した従業員を対象に行う教育プログラムのことです。ではなぜ、近年オンボーディングが注目されているのでしょう?その理由ともたらすメリットを探ります。
目次
オンボーディングのそもそもの目的は、従業員が仕事の進め方や必要な知識、企業のルールや文化などを早期に身に付け、企業に早くなじんでもらうことです。新卒入社の従業員を対象とした入社後研修など、短期間に集中して行う一般的な新人研修とは異なり、オンボーディングは継続的に実施されるサポートプログラムです。注目される理由は下記の2つが考えられます。
時間とお金をかけて採用した人材が戦力となる前に辞めてしまったり、教育し戦力として成長させたものの定着せず早期離職してしまうケースが多くなっているのが現状。そのため、費用・時間対効果など、採用や育成でのコスト削減の解決策として人事や経営者に注目されています。
日本の採用制度は変化しており、通年採用を取り入れる企業が増えてきています。通年採用は不定期に新しい人材を企業や組織に加入させることができる反面、一括採用と異なり、従業員全員に同じタイミングで教育をすることが難しくなってきた面も。通年採用のための育成、サポートプログラムが必要になりつつあります。
オンボーディングの実施は、企業、従業員側双方にさまざまなメリットがあるようです。大きく分けて5つのメリットが考えられますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
オンボーディングの実施で継続的に従業員をサポートすることで、新入社員を定着させることができます。また、 企業風土や環境に馴染めずに能力発揮まで時間がかかってしまう中途採用者のフォローも行えます。
オンボーディングによって離職率が下がれば、新たな採用費用を削減できます。また、導入することで、入社した従業員は早くから実力を発揮でき、それを継続できれば、企業に対しての貢献度が増し、従業員自身もやりがいを感じられるようになるでしょう。そうなると必然的にエンゲージメントが高まり、企業にとっては人材の定着につながったり、新規採用の必要が減ってコストダウンにつながったりします。
新人研修の場合、人事・採用担当者や、配属先の教育担当者任せになってしまっている企業もありますが、オンボーディングは社内全体を巻き込んで行われます。そのため、新入社員は広い範囲で従業員たちと関わることになり、広範囲に渡るコミュニケーションが増えることで企業への不安、疑問を払拭することが可能になると同時に、従業員同士の結びつきが強まり、企業全体の業績向上も期待できます。
組織における結束力の向上で周囲から認められるようになると、企業に対する愛着心、つまりエンゲージメントが向上します。エンゲージメントが向上することで、従業員は自発的に業務に取り組むようになり、さらなる結束力の高まりも期待できるでしょう。
新入社員の教育を仕組み化することで、従業員や経営者の負担を減らすことができます。また、オンボーディングに必要なマニュアルや制度をつくることで、分からないことの多い新入社員でも自分で答えを見つけられる機会が増え、従業員はより効率的に仕事を進められるでしょう。
オンボーディングは企業にとって今後、新卒、中途入社問わず人材を育成し、定着させるためになくてはならないプロセスの一つになるでしょう。ただし、企業ごとに最適なオンボーディングは異なります。最近では企業のオンボーディングの施策をサポートするような便利なHR Techテックがいろいろ登場してきています。「人手が足りない」「せっかく採用できた人材を手放したくない」「オンボーディングを導入したいが、何から始めていいか分からない」という方はぜひ、HR Techを検討してみてはいかがでしょうか。
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