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タックマンモデルでチームビルディングを効果的に行う方法
公開日:2022.3.16
チームの成長、組織の成長に欠かせないチームビルディングですが、それに役立つのがタックマンモデルの考え方です。
チームの発生から解散までを段階にわけて考えることで、よりチームの育成に役立てられます。
タックマンモデルとは何なのかという基本の部分から、タックマンモデルをチームビルディングに効率的に取り入れる方法、実例などを紹介します。
目次
タックマンモデルとは?
タックマンモデルは1965年に提唱されたチームビルディングに役立つ考え方です。
提唱したのは心理学者のタックマンで、チームの育成のために現在でも多くの企業、組織がこの考え方を取り入れています。
タックマンモデルではチームの形成から解散までを5つの段階にわけて考えます。
それぞれの段階に応じて何が必要か、何をすべきかを的確に判断でき、チームをより効率的に育成していけます。
優秀な人材を集めたりリーダーシップの強い人材を投入するだけではチームはまとまりません。個人個人に焦点を当てて、チーム作りに何が大切かを考えることが大切です。
タックマンモデルのメリット
タックマンモデルをチームビルディングに取り入れることで得られるメリットを紹介します。
タックマンモデルを理解することで、チームのそれぞれが自分の役割をしっかり認識できる、効率的にチームビルディングができるなどのメリットがあります。
あらかじめメリットを確認し、上手にチームビルディングに取り入れていきましょう。
それぞれが自分の役割を認識できる
タックマンモデルを理解した上でチームビルディングをおこなうと、チームのメンバーそれぞれが自分の今の役割をしっかり理解できるようになります。
現段階での自分の役割や自分の必要性がわからなくなると、モチベーションが低下したりコミュニケーションを取る機会が減ってしまいます。
ですが、チームの状態がよくない、まだ成熟しきっていないと理解できていれば、その未熟なチームの中で自分が何をすべきか、目標をクリアするだけでなくチームの状態をよくするために何をすべきかが見えてきます。
効率的にチームビルディングできる
タックマンモデルはチームの段階を5つにわけて考えます。
そのため、今チームがどの段階にあるかをすぐに分類できます。
この段階では何をすべきか、どうすれば次の段階に登れるかを判断でき、そのときそのときで目標を設定しやすいです。
チームを育てるには時間がかかりますが、業務を遂行する上で悠長にしていられない場合も多いです。
そんなときにタックマンモデルを取り入れれば、効率的にチームビルディングができるでしょう。
リーダーとして活躍する人材を育成できる
タックマンモデルではチームの段階を分類し、その段階ごとにすべきことを考えていきます。
今何をしなければならないのかをメンバーに伝える、共有するといった力を身に着けることでリーダーとして活躍する人材を育成できます。
目標を強制する、業務をメンバーに丸投げするようではリーダーとしてメンバーを引っ張っていくことはできません。
全員で話し合ったり、現段階の悩みを聞いたりする力を身に着けさせるのも大切です。
タックマンモデルでチームビルディングを効果的に行う方法
タックマンモデルでチームビルディングを効果的におこなう方法を紹介します。
無理のない目標の設定、チーム編成や業務範囲の工夫、そしてお互いの価値観の共有などを通して、チームビルディングを効率的なものにしていきましょう。
無理のない目標を掲げる
チームをまとめるためには目標の設定は大切です。
ですが、その目標が無理のあるものだとチームのモチベーションはかえって低下してしまいます。
与えられた課題、目標をクリアするので精一杯になり、チーム間のコミュニケーションや新しいことを取り入れる余裕がなくなります。
そのため、目標を設定する際は無理のない目標を掲げるようにしてください。
甘すぎる目標でもモチベーションを上げられませんので、チームのメンバーと話し合って何にチャレンジしたいか、どれくらいの目標をクリアしたいかを決めていくこともおすすめです。
チームに課題を丸投げしない
チームに課題を与えてメンバーにクリアさせることで、チームの達成感や結束は高まります。
ですが、リーダーが課題をチームに丸投げするようではかえってメンバーの士気を下げてしまいます。
一人ひとりの能力や進捗状況を見て適切な量の課題を与え、適宜フィードバックして進捗状況を確認、場合によっては変更していくことも大切です。
メンバーの目標がずれていると感じたら、放置せずに軌道修正させる必要もあります。
チーム編成、業務範囲を工夫する
チームの編成や業務範囲も事前に確認しましょう。
一人ひとり得意なこと、苦手なことは違います。適正を見極めてチームを編成することで、より円滑なチームを形成していけます。
メンバーの適正を把握した上でメンバーを形成したら、配置についても考えましょう。それぞれが自分のスキルを最大限に発揮できる環境を作り、困っているメンバーを助け合える余裕を持たせましょう。
そのためには業務範囲も広げすぎず、適切な量を判断する力も必要です。
お互いの価値観を認め合う
チームビルディングのためにはお互いの価値観を認め合うことが非常に大切です。
メンバーの意見を否定したり拒絶したりすることで、コミュニケーションが円滑に取れなくなってしまいます。
一人ひとりのまったく違う考え方、価値観を認め合い、受け入れれば、チーム間の空気はよりよいものになっていきます。
自分と他人は考え方が違って当然ということをあらためてメンバーに認識させる必要があります。
タックマンモデルの「5つのステージ」
タックマンモデルではチームの状態を5つの段階に分類しています。
形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期の5つについて、それぞれの詳細を確認しましょう。
形成期
チームが結成されたばかりの時期を形成期とします。
お互いがお互いのことをあまり知らない段階であり、まず信頼関係を深めていく必要があります。
それぞれがそれぞれの役割、目標を把握し、チーム全体での目標を統一するために、コミュニケーションの時間をしっかり取ることが大切です。
混乱期
チームで作業を進めていくと混乱期に突入します。
それぞれの意見が食い違ったり、目標がずれたりする段階です。
自分と違う考えを持つメンバーを拒絶したり衝突したりすると、チーム全体の方向性がまとまらなくなってしまいます。
混乱期にはこれまで以上にコミュニケーションを取る機会を増やし、お互いが納得できる答えを見つけ出していく必要があります。
統一期
生じた問題を解決し、次のステップに進むと統一期に入ります。
統一期に入るとメンバー全員が自分の役割を再認識でき、それぞれのメンバーの考え方も理解できるようになっています。そのため、自分の仕事を進めつつ、メンバーのことも尊重できます。
メンバー同士の発言は衝突するためのものではなく、現状をよりよくするものという意識に変わっていきます。
機能期
チームがもっとも成熟しているのが機能期です。
これまでの段階を乗り越えてチームで目標を達成できると、より一体感が生まれます。
自分のスキルを最大限に発揮して活躍できるだけでなく、チーム内で生まれたルールも守りながら動けます。
目標を達成したという自信もついており、それぞれが自分の業務に誇りを持てます。
この機能期を長く維持するためには、リーダーが観察して少しの問題も発見し、適宜修正していくことが大切です。
散会期
チームが解散するタイミングが散会期です。
メンバーそれぞれのスキルもアップしており、チームでの動き方も充分に会得した状態です。
メンバー全員が達成感、満足感を感じている状態がベストであり、また新しいチームで業務を進めるときにもこの実績が自信、モチベーションとなってくれます。
混乱期は避けるものではなく、乗り越えるもの
タックマンモデルにおいて一番重要なのが混乱期です。
この混乱期を乗り越えられるかどうか、どのようにして乗り越えるかによって今後のチームの形は変わっていきます。
下記のような点を抑えて、チームの混乱期を乗り越えましょう。
目的を細かく明確にする
混乱期では、チーム全体の大きな目標だけでなく次のステップに進むための小さな目標を明確にしていきましょう。
目標が漠然としすぎていると、一人ひとりが何のためにがんばればいいのかがわからなくなってしまいます。
「自分はこれだけがんばっているのに」などメンバーに対しての不満が募りやすくなります。
小さな目標を積み重ねていくことで、メンバーの役割を今一度明確にしましょう。
個人の役割を明確にする
さらに細かく個人の役割を明確にすることも大切です。
チームでの行動が苦手なメンバーがいると、チーム全体の目標と言われてもピンと来ていない可能性があります。
個人個人の目標を設定してあげることで、そのメンバーにとって最大限の力を発揮しやすくなります。
また、どこからどこまでが個人の責任なのかをはっきりさせることもおすすめです。
「この範囲は自分が請け負う」という範囲が明確になっていれば、一人ひとりが責任感を持って作業を進められ、さらにメンバーと協力しやすくなります。
コミュニケーションを深める時間を作る
混乱期では何度もメンバー間で衝突が起こりやすくなります。
ですが意見の食い違いや衝突は、お互いの理解が足りていないことが原因である可能性が高いです。
そのため、これまで以上にコミュニケーションの機会を増やしましょう。
ただミーティングを増やすだけでは空気が余計に悪くなってしまうかもしれません。
ランチ会や休憩時間に会話をするなど、お互いがリラックスできる状態でコミュニケーションを取ることが大切です。
タックマンモデルの導入と成功事例
タックマンモデルを導入するとチームビルディングにどのような効果があるのか、導入事例から考えていきましょう。
タックマンモデルでは混乱期が非常に重要です。チームがまとまっていないと感じたら、実例も参考にしてさまざまな方法を取り入れていきましょう。
SNSを活用した事例
ある企業では部署と部署のコミュニケーションがうまくいかず、チームごとで仕事に専念するという状態になっていました。
大きな企業ではコミュニケーションを取る機会を作るのも難しく、さらにリモートワークや在宅勤務が推奨される環境だと飲み会などで親交を深めるわけにもいきません。
そのため、SNSを通してコミュニケーションを取る方法を取り入れました。
対面して話すわけではありませんが、文字を通してその人が考えていることがわかり、これまで以上に相手のことを理解し、仕事を円滑に回せるようになります。
目標を統一した事例
混乱期ではメンバーの目標がバラバラになってしまうことは珍しくありません。
ミーティングやコミュニケーションの機会を増やすことで相互理解を深められますが、その中で目標を統一することも目指しましょう。
数字を使ったわかりやすい目標、受け取りやすいキャッチコピーなどを考え、メンバー間で共有できるようにすることが大切です。
あるサッカーのチームでは優秀な選手が揃っているにも関わらず、混乱期に入ったことにより成績が落ちてしまいました。ですが「自分たちのサッカー」という誰にとっても受け入れやすいスローガンを掲げることで、全員が一つの目標に向かって気持ちを統一できました。その結果その年の試合では非常に素晴らしい成績を残せたという実例があります。
タックマンモデルを理解してチームビルディングに活用しよう
チームビルディングに大切なタックマンモデルについて紹介しました。
チームの状態を5段階にわけることで、チームの状態を的確に把握し、現状に必要なことを判断できます。
チームを効率的に育成したい、チームの混乱期を乗り越えたいというときにタックマンモデルは非常に役立つ考え方です。
チームビルディングに上手に取り入れて、よりよいチーム、リーダーを育成していきましょう。
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