オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
パフォーマンス管理
公開日:2020.8.31
チームビルディングにはどのような目的があり、実際にどのような効果があるのかを見てみましょう。
どのような研修を受けることでチームビルディングに効果があるのかについても解説します。
目次
チームビルディングとは、今よりもチームの結束力を高め、各々のスキルを充分に発揮させ、サポートしあえる関係を築く取り組みです。
どんなに優秀な人材が集まったチームでも、目標を統一できていなかったりお互いを支え合える関係、刺激しあえる関係でなければ、チームの成長にはつながりません。
チームビルディングをおこなうことでチームの目標が一つになり、全員が同じ方向に向けて走っていけるようになります。
目標を達成するために自分の力を最大限に発揮し、メンバーの苦手な部分を補い、新しいことにチャレンジしていくことは、結果的にチーム全体の成長、企業の業績アップにつながります。
チームビルディングをおこなう前に、チームビルディングの目的を確認しましょう。
チームや企業、組織によってチームビルディングをおこなう一番の目的は違いますが、その中でも多いのがチームの関係の強化、業績の向上、目標の統一などがあります。
チームビルディングをおこなうことでチーム全体を強化できるだけでなく、人材のスキルを伸ばしていくことも可能です。
一人ではできないような目標にチーム全体で取り組み実現することにあります。そのためには、それぞれがスキルや能力を発揮するだけでなく、全員がメンバーとしてこのチームで目標を達成したいと強く思い、ビジョンを共有し、一体感を醸成し、何のために動くのかという目的を明確に持つことも大切になってきます。
チームビルディングをおこなうことでチームの人間関係の強化ができます。
チーム間のコミュニケーションが気軽に取れるようになれば、仕事のちょっとした報告もしやすくなります。
何気ない会話から目標達成のためのヒントを得られたり、業務を効率化するための方法を編み出したりできます。
お互いの意見を尊重しあえるチームでは各自が自分の意見、考えに自信を持てるようになり、堂々と発言ができます。
その結果さまざまな意見が出て、新しいアイデアが出てきやすくなります。
チームビルディングによって良好な環境ができあがると、業績アップを期待できます。
チームが向かうべき目標が統一され、自分の役割、すべきことが明確になることでスムーズに仕事を進められます。
今何をすべきか、次に何をすべきかがわかり、さらにチームメンバーもお互いのことを理解しあえるので、結束が高まります。
その結果個人プレーよりもチームプレーを発揮でき、効率的な仕事ができるでしょう。
チームの業績がアップすることでさらにその上の組織、企業の成長にもつながり、売り上げアップなどの効果が期待できます。
チームビルディングをおこなうことでチームの目標の統一ができます。
優秀な人材が集まったチームでも、目標が不明確だったり各々がそれぞれの目標を立てているだけだと、仕事に統一感がなくなりムラができてしまいます。
一方でチームの目標を統一すると、その目標を達成するためにそれぞれが自分のできることを考え、自発的に動けるようになります。
自分一人の力では達成できないような目標でも、チームで一丸となればクリアしやすくなります。
目標について話し合う機会を多く設ければ、自分の仕事内容だけでなくチームの進捗状況や、よりスピーディーに目標に到達するための方法、効率的な作業の方法なども全員で考えていくことができるでしょう。
チームビルディングは若手の社員や新入社員の育成にも役立ちます。
チームで仕事をした経験がない人材にとって、全員で一つの目標に向けて走ること、チームの中で自分の役割を見つけること、チームの苦手な部分をフォローすることは難しいです。
そのまま仕事を続けていてもチームの関係が崩れたり、士気が下がったりしてしまいます。
新入社員の研修の一環としてチームビルディングを取り入れることで、コミュニケーションの取り方、相手の意見の受け取り方、そして仕事に対する考え方などを教えられます。
スキルが高い人材でもチームでの仕事の進め方がわからなければ仕事に支障が出てしまいます。
人材の育成のためにも、チームビルディングを取り入れることは非常に大切です。
チームビルディングはチーム一人ひとりのスキルを伸ばすだけでなく、チームをまとめるリーダーを育てることにも役立ちます。
入社してから数年経過した社員は、今後昇格しチームのリーダーとなっていくことも多いです。
そんなときにリーダーシップを取れるスキルがなければ、下の人材はついてきてくれません。チームの統率が取れず、いくらチームビルディングを計画しても思うようにならないことも増えてくるでしょう。
チームビルディングの取り組みでは、経営理念を理解してチームで共有したり、チームとコミュニケーションを円滑に取れるようにしたり、チームの仕事を確認して遅れの原因を解明、改善したりするといった力も身に着きます。
指導力や統率力のある人材を育成したい場合にも、チームビルディングの取り組みは役に立つでしょう。
チームビルディングにはどのような効果があるのかについて解説します。
チームビルディングをおこなうことでチーム内のコミュニケーションが円滑になる、チーム一人ひとりのモチベーションがアップする、業務が効率化する、生産性がアップするなど、さまざまな効果があります。
ビジネスシーンで役立つことばかりですので、今一度チームビルディングの重要性を確認してみてください。
チームビルディングをおこなうとチーム間のコミュニケーションが活発になります。
コミュニケーションが円滑に取れているチームは雑談から仕事の話までスムーズにしやすく、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。
自分の意見を否定されない、バカにされない、無能だと思われない環境では、自分の意見をしっかり伝えられます。また、チームで出た意見を自分の考えに取り入れたり、認めたりすることでよりよい仕事に繋げられます。
ただ「コミュニケーションを取ろう」と言っても今すぐ簡単に取れる環境ではない場合も多いです。そのため、ランチを一緒にしたり、レクリエーションやゲームを通して親交を深めたり、体を動かしながらコミュニケーションを取ったりといった方法がおすすめです。
コミュニケーションを取る手段としてビジネスらしいかしこまった状況を取り除くことで、よりチームの心を開いていけます。
チームビルディングをおこなうと、チーム全体のモチベーションのアップにつながります。
自分の仕事や発言がチーム内で認められる、自分の成果が組織の成長につながっていると明確にわかる、さらに良好な関係のチームのメンバーが目標に向かってがんばっているところに接すると、自分も目標達成に向けてがんばろうと思えるようになります。
また、モチベーションが下がっているメンバーがいる場合もポジティブな言葉で励まし合って前に進んでいけます。
個人プレーで仕事をしていると、一度下がったモチベーションを再び自力で上げるのは難しいです。周囲に認められた実感もなく、なかなかモチベーションを維持しにくくなってしまいます。
チームビルディングはチームの結束を強めるだけが目的ではなく、個人個人の能力を高めるのにも役立ちます。
自分の能力を充分に発揮できる環境なら、否定される心配をせずにいきいきと仕事ができます。
個人の能力を底上げできるので、結果的にチームの能力も上がっていきます。
業務をスピーディーに正確に、効率的にこなせるようになれば、生産性もアップし、チームだけでなくより大きな組織、企業の成長にもつなげていけます。
チームビルディングの一環で、チームメンバーの意見を尊重する力が身に着けば、自分から発言することの恐れもなくなります。
また、チーム全員で一つの課題をクリアしよう、一つの目標を達成しようという気持ちが生まれます。そのためには何ができるかを、チームの全員が自分の言葉で伝えられるようになります。
従来のやり方を覆すような斬新なアイデアが生まれたり、より業績をアップさせるための方法を一緒に作り上げていけたりといった効果があります。
そのためには普段から円滑なコミュニケーションを取れるように工夫しておくことが大切です。
チームビルディングによってチームの結束が強くなると、外部からの刺激に強くなるという効果もあります。
仕事を続ける中で、競合他社や社会情勢の変化の影響を受けることは避けては通れません。
ですが、チームがしっかりまとまっているとそんな中でも自分たちは何をすべきかを明確に保ったまま仕事ができます。
外部からの刺激によってどうしても形態や業務内容を変えなければならない場合でも、ブレない目標があるので対応もしやすくなります。
誤った方向性に進んだり、チームの方向性がバラバラになったりすることを防ぎ、最小限の負担で、最短で新しい目標を見つけて、それに向かって進んでいけます。
一つ、また一つと困難を乗り越えるごとに強い達成感が生まれ、さらにチームの結束も強くなっていきます。
チームビルディングを取り入れたいけど具体的に何をすればいいかわからないという方に向けて、具体的な研修方法を紹介します。
いきなり会議室でミーティングをすると言っても、チームの団結力は高まりません。
体を動かしたりゲームをしたり、楽しみながらチームを育てられる研修を取り入れましょう。
屋外で体を動かしながらチームの力を育てる研修では、アスレチックなどを使って遊び感覚でチームビルディングができます。
一つの目標が定められており、それに向けてチーム全員で作戦を考えたり、一緒に作業をすることで、知らず知らずの内にチームの結束を高められます。
オフィスや会議室にこもっているだけでは気づかなかったチームメンバーの意外な一面に気づけたり、新たな表情を見られたりすることで、コミュニケーションも取りやすくなっていきます。
まだチーム内のコミュニケーションが充分でない、チームのマネジメント能力を高めたいというときにおすすめの研修です。
数日間宿泊施設を利用して合宿形式でおこなう研修もあります。
研修の内容はさまざまですが、屋外で活動したり、室内でゲームをしたり、料理を作ったりキャンプの準備をしたりといった内容もあります。
ちょっとした作業も共同でおこなうことで、そして数日間を一緒に過ごすことで、よりチームの親交を深められます。
一緒にいる時間が長くなればなるほどトラブルも起きやすくなりますが、そんなときにも一緒に解決策を探したり、助け合ったりすることで研修が終わったあとには達成感を共有することも可能です。
新型コロナウイルスの影響により、複数人で集まることがはばかられるようになりました。
そこでオンラインでできるワークショップも人気を高めています。
離れた場所からでも、ビデオ通話でお互いの表情を見ながら研修を進めていけます。
社内や宿泊施設などでおこなう研修よりも、自宅などリラックスできる空間から参加できる分より心を開きやすいというメリットもあります。
また、このワークショップやゲームの研修は数時間で終わるものがほとんどです。
一日かかる屋外活動や数日間を要する合宿をする余裕がない場合にも取り入れやすい研修です。
研修内容はさまざまあり、全員で目標に向かって作業を進めたり話し合ったりするゲームやレクリエーションが人気です。
チームビルディングを考える際に注意しておきたい点について解説します。
ただ居心地がいい空間を作るのではなく、お互いが尊重し合い、成長しあえる環境を作るのがチームビルディングにとって大切です。
この注意点は一人だけが意識するのではなく、メンバー全員がしっかり意識して取り組まなければなりません。
チーム内の関係を良好にするためには、お互いの意見、考えを尊重することが大切です。
相手の意見を否定したり、「そんなことも知らないのか」とばかにする態度を取ったりすると、相手は萎縮してしまいます。
そうすると円滑なコミュニケーションを取れなくなり、チームの関係の悪化にもつながります。
チーム内に一人でもこのようなメンバーがいるとどれだけコミュニケーションの場を設けても親交を深められないので注意しましょう。
「こうしなけらばならない」「ああすべきだ」など、目標を強制しすぎないようにしてください。
チームビルディングに取り組む際に目標の設定は大切ですが、それは全員が納得して目指せる目標であればこそです。
チームの誰かにだけ利益が多くなる、損な役割を担う人が多くなるといった目標では、チームのモチベーションを上げられません。
どのような目標にしたいのか、チーム全員で話し合って決めたり、一人ひとりの考えをヒアリングしたりしてから目標を決定することが大切です。
どんなチームを組んでもチームビルディングをすれば結束が強くなるというわけではありません。
チームを編成する段階である程度しっかり考えて配置することは大切です。
優秀な人材を揃える、頭数を揃えるだけでは不十分です。メンバー一人ひとりの特性、得意な業務、苦手な業務を分析し、適切な場所に配置しましょう。
配置を間違えると、苦手なことをやり続けなければならない、本来のスキルを発揮できないメンバーが出てきて、業務に支障をきたしてしまいます。
チームビルディングで活用できるフレームワークを紹介します。
タックマンモデル、GRPIモデル、MBTIモデル、そして心理的安全性を簡単にチェックしていきましょう。
それぞれの詳しい内容については関連記事を参考にしてください。
タックマンモデルとはチームビルディングの過程を5段階に分類したものです。
チームができたばかりの形成期、チームの方向性が明確に定まっていない混乱期、方向性が定まり始める統一期、さらに各々のスキルを伸ばし、チームが成熟していく機能期、そして目標を達成し、チームが解散する散会期です。
この段階をきちんと把握しておくことで、現状何をすべきなのか、いつ次のステップに進むべきなのかが見えてきます。
GRPIモデルはチームをより健全な状態にするために考えられた枠組みです。
4つの段階を重要度でランクづけし、重要度の高いものから組織の状態を見極めていきます。
GRPIモデルでもっとも重要なのは目標です。明確な目標をチームで共有できているか。
次に大切なのが役割です。チームのそれぞれが自分の役割を理解し、チームで共有できているか。
次に手順です。目標を達成するためにはどのような手順を取るべきかをチームで共有できているか。
最後に関係性です。チーム内で良好な関係を築けているか、円滑なコミュニケーションができているか。
MBTIモデルとは性格検査のひとつで、世界で最も活用されています。MBTIモデルでチームメンバーの性格を検査することで、キャリアの育成やリーダーシップの適正を見られます。さらにチームビルディングの際の役割分担、配置などにも活用できます。
MBTIモデルではそれぞれの性格を感覚内向タイプ、感覚外向タイプ、直感内向タイプ、直感外向タイプに分類していきます。さらにそこから情報の受け取り方や外部との接し方、情報の処理の仕方に分類します。
心理的安全性とは、チーム内で自分の意見が非難されない、受け入れられると信じられる良好な関係を築くことで、安心して自分のスキルをしっかり発揮できる環境のことです。
心理的安全性が高いチームはより生産性が高くなりますが、心理的安全性が低いチームは生産性が下がるだけでなく各々が自分を非難されたりばかにされたりすることを恐れて本来のスキルを発揮できません。また、ストレスを強く感じやすく、離職にもつながりやすいです。
チームビルディングについて解説しました。
チームの人間関係を良好にし、各々のスキルを最大限に伸ばすことで、より高い成果を上げられるようになります。
チームビルディングをおこなうためには目的や効果をまず明確にする必要があります。
その後どの方法を取り入れるかを考え、段階を踏んでチームを育てていきましょう。
チームビルディングを構築するためにシステムを導入するのも一つの方法です。
ここでは、チームビルディングに活用できるHRテックをいくつかご紹介します。
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各部門の部門長やリーダー、部下を持つ上司の方は、成果を最大化し、会社へ貢献できるようなチームを構築することが重要です。
そのためにもHRシステムなどを導入しながら、チームビルディングの構築に取り組んでみてはいかがでしょう。
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