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リクルーティング

人材争奪時代が到来!「リファラル採用」が勝ち抜くポイント!(前編)

公開日:2019.10.9

    中小企業やベンチャーを全面的にサポートする総合型コンサルティングファームの白潟総合研究所株式会社。「世界No1.のコンサルティングファームになる」をビジョンに躍進を続ける同社は、今、企業の採用コンサルティングで注目を浴びています。

    代表の白潟敏朗氏が採用方法として勧めているのは、近年注目を集めている「リファラル採用」。リファラル(referral)とは「委託・推薦・紹介」などの意味で、社員の紹介によって採用活動を行う方法。自社にマッチする人材の確保と定着が従来の採用方法に比べて行いやすいということで、徐々に広まりつつあり、白潟氏はその草分けともいえる存在です。

    今回はリファラル採用のオピニオンリーダーである白潟氏に、リファラル採用のメリットやデメリット、導入方法や成功に導く秘訣についてお聞きしました。


    「中小・ベンチャー企業の社長を元気にする!」
    白潟氏がリファラル採用にかけた想いとは

    私は2014年にコンサルタント会社の白潟総合研究所株式会社を立ち上げました。新たに事務所を構えた八丁堀周辺には多くの中小企業が集まっていたので、まずは八丁堀にエリアを絞って営業をしていこうとスタート。周辺の会社を回り、このエリアの中小企業の社長が何に悩んでいるのかリサーチしました。そうすると、社長の多くが「人材不足」に悩んでいるということがわかったんです。ある会社では、採用サイトに多額の費用をかけても収穫はゼロだったと言っていました。

    彼らが抱える課題を解決したいという思いと、弊社の「中小・ベンチャー企業の社長を元気にする!」と掲げた存在意義から、採用に関するコンサルティングをメインに進めていこうと考えました。私たちがお会いした中小企業は、採用にそれほど予算をかけられない会社が多かったです。それなら、紹介でなるべくコストをかけずに人を集めたほうがいいのではないかと考え、新しい形の縁故採用を勧めていました。ちょうど「リファラル採用」という言葉が広がり始めた時期でもありましたね。

    リファラル採用というと、昔から日本で行われていた「縁故採用=コネ入社」と思われがちですが、実は少し違います。紹介からスタートというのは同じですが、無条件入社というわけではなく、きちんと面接を行い、採用・不採用を検討します。すでにアメリカでは、大手IT企業などがリファラル採用での採用人数を増やしています。今後は日本でも主要な採用方法となっていくでしょう。

    リファラル採用を成功させる秘訣は「社長と会社を好きな社員」がいること!?

    私たちが開発した中小・ベンチャー企業向けの「魅力向上型リファラル採用」には大きく分けてメリットが7つ、デメリットが5つあります。それらを正確に把握・理解していなくては、導入したとしても成功には結びつかないでしょう。

    【メリット】

    • 採用コストを大幅に削減できる
    • 社長と会社に合う人材を採用できる
    • 入社後の社員の定着率が向上する
    • 会社の魅力と課題を見える化できる
    • 会社の魅力の継続的向上(経営変革の実現)
    • 幹部と社員が経営者目線をもつ(究極の人材育成)
    • みんなの心が1つになる

    【デメリット】

    • 採用できるまでに時間がかかる
    • 1年以内に大量採用することには向かない
    • 活動してくれる社員に負担がかかる
    • 採用を間違えた場合にやめさせづらい
    • 今いる社員以上のレベルの人材は採用しにくい

    デメリットをきちんと理解していれば、リファラル採用には多くの利点があります。導入に成功すれば会社全体の雰囲気が明るくなり、社内の活性化も促進してくれるのです。そしてその恩恵は会社の知名度や規模に左右されるものではないので、リファラル採用が成功すれば、どんな会社でも必ず先に上げた7つのメリットが得られます。

    リファラル採用を成功させるためには、いくつかの条件があります。そのなかに「3つの前提条件をクリアする」というものがあります。3つの前提条件とは「社長と会社を好きな社員がいる」「嘘をつかない」「社長が耳の痛い提案を聴ける」というものです。これらをクリアできないままリファラル採用を進めても、成功は難しいでしょう。

    前提条件のうち、「社長と会社を好きな社員がいる」について、そもそも社長と会社を好きになってもらうにはどうしたらいいのかわからない、という場合もあるかもしれません。そういった場合も解決方法はあります。

    まずは、社長の譲れない想いや考え方に共感できる人に入社してもらうことです。「社長の指にとまった人」と仕事をすることに例えて、これを「この指とまれ経営」と呼んでいます。経営理念やビジョン、行動指針(ミッション・ビジョン・バリュー)に賛同できる人だけを社員として迎えることで、自ずと「社長と会社を好きな社員がいる」という前提条件はクリアすることができるはずです。それを続けると、社長の思いや考えに共感できない人は段々と自発的に卒業していくことになり、結果、「社長と会社が好きな社員」しか残らなくなります。そのような社員が集まったら、リファラル採用のプロジェクトメンバーとして活動してもらうのです。そうすると、会社のことを想うからこそ、リファラル採用のために社長や上司も巻き込んで、社内の問題を提起してくれるはずです。

    ただし、社員を介した紹介を主とするリファラル採用は、紹介から面接、採用までにある程度の時間が必要で、一度に大量の採用は難しい方法です。だからこそ、今後一般的になると予想されている「通年採用」に向いているのではないかと考えます。特に中小企業にはより有効な採用方法といえるでしょう。

    リファラル採用をする方、される方
    どちらもモチベーション管理が重要

    リファラル採用で入社した社員のモチベーションを上げるためには、社内で抱えている課題をさらけ出すことが重要です。どの会社にも仕事に対して意欲的ではない社員はいるもの。特にリファラル採用で入社された方は、会社への期待度も高い状態なので、意欲的ではない社員を見たときにモチベーションが下がってしまう可能性があります。

    これはもう、事前に包み隠さず、具体的な割合や人数まで「うちには仕事に対して意欲的ではない人がこれだけいます」と、さらけ出してしまいましょう。すべて打ち明けておけば、新入社員も事前に聞いていた情報なので、入社前と入社後のギャップに悩むことは少ないはずです。

    また、同僚だけでなく上司についても同様です。じっくりと人材育成できない、早々に目標達成をあきらめてしまう上司がいるなどの社内の課題は、その数も含めて明確に伝えておく必要があります。もちろん、そういった上司への再教育や相応の対処を行う予定であることも明言しておきましょう。

    ちなみに、私が代表を務める白潟総合研究所では、「チャレンジキャプテン制度」というものを設けています。キャプテン(リーダー)を目指してチャレンジ中のため、まだまだ部下のマネジメントについては未熟ということを、部下になる人にきちんと伝えています。

    そして実は、私自身も部下から課題を与えられています。例えば「若手とのギャップを埋め切れていないので会話に苦労します」なんて言われることもあります。そこで、できるだけ新人でもわかりやすいように話すのですが、まだ足りないと言われています(笑)でも、こうやって率直に意見を述べてくれるのは、会社と社長が好きだからこそだと考えています。

    また、「会社が好きな社員」で組んだリファラル採用のプロジェクトメンバーのモチベーション管理も重要です。やはり時間の経過とともにプロジェクトメンバーのモチベーションが下がる可能性もあります。こういったケースでは、残念ですがプロジェクトから外れてもらうことになるでしょう。

    実際にプロジェクトメンバーが行う作業はとてもシンプルです。まず、知人・友人・親族などを含めた、アタックリストをつくってもらいます。80~150名くらいのリストをつくって、実際に声をかけてもらうんです。声をかけると言っても、リストの人たちを集めるためのイベントなどを企画して呼ぶだけです。入社してもらうために口説く必要はありません。もちろん、呼ばれる人にとっては参加するだけでメリットのあるようなイベントにしています。

    このように、プロジェクトメンバーの作業はとても簡単でシンプルです。それにもかかわらず、しない、できないという場合、その人はもうリファラル採用のプロジェクトが好きではなくなっていると判断します。

    幹部クラスのリファラル採用は最短で半年かかる?

    これは時間とお金をかける必要があります。最短で半年、なかには2年かかることもあり、成功率もそれほど高くなく、5分の1程度だと思います。幹部クラスのリファラル採用の方法としては、まず幹部として欲しい人材を会食に招待します。なかなか行けないような良いお店を予約し、月に一度会うのです。その場で行うことは基本的に相手の話を親身に聞くだけですが、自分の苦労話なら話しても大丈夫です。ポイントは、最初の会食に招待してから半年は一切リファラル採用の話をしないこと。あくまでも聞き手に徹しつつ、4回目くらいからは、相手にとって有益な話を人生の先輩として伝えます。

    これは採用側にとってかなり時間と労力・お金を要します。しかし、採用サイトなどにかける採用費用と比べると、コスト的にはかなり削減できるはずです。
    今回は、リファラル採用を始めたきっかけや導入方法、成功の秘訣などをお話ししました。次回後編では、リファラル採用の「持続的成功の3条件」について、お話しします。

    まとめ

    29年のコンサルタント歴と採用に関する先見の明を活かして、中小企業のリファラル採用を牽引する白潟氏。
    白潟氏のリファラル採用のノウハウについては、著書『知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書』でも詳しく説明されています。中小企業やベンチャー企業の社長・採用担当者必読の一冊です。

     

    プロフィール

    白潟敏朗氏

    白潟 敏朗(しらがた としろう)氏
    1964年神奈川県生まれ。経営コンサルタント。白潟総合研究所株式会社代表。埼玉大学経済学部を卒業後、1990年よりデロイトトーマツにて経営コンサルタントを経験。IPOコンサルティングなどでキャリアを積み、1998年にISOコンサルティング・審査会社を立ち上げる。3000社以上を支援。2006年にトーマツ・イノベーション株式会社代表取締役就任。
    7800社のお客様に定額制研修イノベーションクラブで中小ベンチャー企業の人財育成にイノベーションをおこした。2014年10月に独立し白潟総合研究所を設立、2017年にリファラルリクルーティング、2018年に1on1株式会社、2019年にソーシャルリクルーティング株式会社を設立、現在に至る。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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