「人材配置」とは、従業員に適した仕事を割り当てて業務の効率化や最適化を図る、人事マネジメントのひとつです。適切な人材配置や異動を行なうことで、会社が得られる成果も最大値に引き上げられるでしょう。
では、「適切な人材配置」とは、どのようなものを指すのでしょうか。この記事では、人材配置がもたらすメリットや最適な配置方法についてご紹介します。
目次
人材配置を最適化するメリット
人材配置の目的は、冒頭で述べたとおり「従業員の異動を行なうことで、会社の目的を実現させること」です。
適切な計画で従業員の部署異動を行なった場合、業務や経営にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
生産性の向上と人件費の削減
数字にわかりやすく表れるのが生産性の向上と人件費の削減です。適材適所に配置することで業務を効率よくこなすことが出来、生産性が向上します。結果、人員数を増やす必要はなく、絞ることも可能になります。最終的に人件費の削減にもつながるわけです。
優秀な人材の流出抑制
人材と業務内容がうまくマッチングしていることは、その従業員のモチベーションの維持・向上に影響を与えます。適した仕事内容に従事することで能力が発揮でき、人事評価のアップにもつながるでしょう。
このようなことの積み重ねが、優秀な「人財」が他社に流出したり離職してしまったりすることを防ぐのです。
従業員のストレス軽減
組織に属する人のストレスの原因は、「人間関係」、「業務量」、「業務の質」に分けられます。これらのストレスの原因は、人材配置によって軽減させることが可能です。別の部署へ異動することで、その人材に合った職務・裁量が可能になり、人間関係も良好になる場合があります。
人材配置計画の考え方
人材配置を行なう際に必要な考え方として、以下の4つがあります。
- 定員計画
- 要員計画
- 人員計画
- 代謝計画
定員計画
年度目標を達成するために必要な人員構成の計画を立て、人員数を見込みで計画して取りまとめることを指します。人員数が決まれば、人件費の試算も可能になります。経営計画だけではなく、給与として従業員のモチベーションにも直結する重要なポイントです。
要員計画
要員計画とは、事業内容によって人員の補充や他部署への異動、増減を考えることです。一部業務を外注化することなども含まれます。
人員計画
要員計画を個人単位にまで落とし込んだものが「人員計画」です。誰にいくら人件費を支払うのかを決定します。
代謝計画
代謝計画は、要員計画と人員計画との差を埋めることです。計画を進めるなかで、結果的に人手が足りない状況になることがあります。新卒・中途採用や部署異動などで不足分を埋めていくのが「代謝計画」です。
最適な人材配置を行なう方法
では具体的に会社に利益をもたらしてくれる人材配置は、どのように進めればよいのでしょうか。
課題と能力の明確化
管理職への辞令を出す場合、必ずしも同部署の従業員を引き上げなければならないわけではありません。部署内の人間関係にひずみがある場合は、むしろ他部署の人間を管理職においた方が、風通しが良くなる可能性があるでしょう。
管理職に必要な能力は、その部署の仕事だけではありません。管理しているメンバーが問題なく業務を遂行し、成果を上げられるようにする人材マネジメント能力も求められます。そのため、部署が抱える課題を解決できる適任者を探し、検討することが最適な人材配置のひとつなのです。
多角的な評価
評価者が異なれば、同じ人間に下される評価は大きく異なるものです。上司から見ただけの人事評価よりも、部下、同僚、他関係部署の担当者や取引先の担当者など、多角的に評価してもらうことで、よりその従業員を公正・公平に判断できるでしょう。このような背景から、360度評価(多面評価)を導入する会社が増えています。
偏った見方で人材配置をしてしまわないよう、幅広い視野で人事評価を下すことが大切です。
従業員の意思・適性の確認
従業員本人や他人から指摘されている不得手なことを避けたり、多少能力不足であったとしても、本人の希望する職種に就かせることも有効な人材配置のひとつの方法です。
人材配置はモチベーションの向上に活用できるほか、結果として生産性の向上にもつながります。
人材配置の事前説明
当然、本人の希望どおりに配置できることばかりではありませんし、会社・経営者側が考える適材適所と本人の期待とが合致しないこともありえます。
不平不満が溜まらないよう、事前に本人に説明し、理解・納得してもらうことが大切です。
人材配置支援システムの活用
適切な人材配置を行なうためには、膨大な個人情報の管理・分析をしなければなりません。従業員数が多い会社ほど、Excelなどで管理するのが困難になります。情報サービスや人材配置支援システムを導入すると、効率的に管理・検討ができるようになるでしょう。
まとめ
人員数・人件費には限りがあります。最大限に活用するためにも、適材適所に従業員を割り当てることが重要です。人材配置を行なうことで従業員の専門的なスキルを取得・磨くことができ、外部に委託しなければならなかった業務が社内で回せるようになる可能性もあります。最適な人材配置は、生産性の向上はもちろん、外部委託業務の内製化による経費削減も可能とするものなのです。