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都心のオフィスを解約しオフィスレスへ。ボイスチャットアプリを武器に完全リモートへ移行

中小企業やベンチャーを全面的にサポートするコンサルティングファーム、白潟総合研究所株式会社(以下、白潟総合研究所)。同社の代表である白潟敏朗氏は、優秀な人材確保の新たな方法として注目されているリファラル採用のオピニオンリーダーとしても注目され、2019年7月にHR BLOG編集部でも取材させていただきました。

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人材不足に悩む企業が多いなか、着々と新たな人材の確保・育成に成功してきた白潟総合研究所。その同社が新型コロナウイルスの感染拡大を機に完全リモートへと移行しました。それだけでなく、一等地に据えていたオフィスの解約まで決断されたと聞き、早速取材を依頼。代表の白潟氏自らがその経緯や現状について詳しくお話しくださいました。

この記事は2020年6月に取材した内容をもとにしております。

新型コロナウイルスから従業員を守る!完全リモートの即時導入

今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、私たち白潟総合研究所に大きな変化をもたらしました。それがテレワークへの移行です。そもそも中小企業のコンサルティングを事業の主軸とする弊社にとって、「いつでも企業へ顔を出せるフットワークの軽さ」「都心に構えたオフィス」は業務の前提ともいえるもの。「オフィスを持たない」なんて想像したこともなかったのです。

しかし、今回のコロナ禍を受け、緊急事態宣言が出る前の3月下旬には全従業員にテレワークを指示しました。もちろん、それまでも時差出勤や必要に応じたテレワークは各自の判断で行っていましたし、何よりも大切なのは従業員の安全ですから。緊急事態宣言が発令されるだろうと噂が広まった段階で、即テレワークに切り替えることに何の躊躇もありませんでした。

テレワークへの移行がスムーズに進むなか、オフィス解除の決断は自然な流れだった

緊急事態宣言が発令された4月上旬には紙ベースの書類などはデータに移行し終え、印鑑など書類関係に必要なものは各管理者が保有するようになっていました。3月下旬から導入したテレワークは、大きな問題もなく社内に浸透させることができたのです。

従業員からも特にテレワークへの不安や不満はありませんでした。新型コロナウイルスの感染リスクが大幅に減ったことへの安心感と早々に対応した会社への感謝しか聞こえてこなかったですね。もちろん、いくつか新たな課題はありましたが、それらも特に大きな問題にはならず、随時解決していくことができました。いずれにしてもコロナ禍では安全が第一。完全リモートへの移行に迷いはありませんでした。

そして5月、テレワークで業務を進めるなかで、リアルオフィスを維持するよりもテレワークを継続してオフィスレスにするほうが経営的なメリットがあると判断し、オフィスの契約解除を決めました。そしてこれは、会社だけでなく従業員にも多くのメリットがありました。新型コロナウイルスへの対策はもちろん、通勤のストレスはなくなり、オフィスに近い都心から少し郊外へと引っ越しを決めた従業員や、広い部屋へ移って自分の作業部屋を確保できた従業員もいました。

しかし実をいうと、地方出身者の私にとって都会の高層ビルは憧れであり目標。いつかは「東京駅前の高層ビルに…」という夢もありましたが、今回きっぱりとあきらめたのです。

業務に無駄な忖度は不要!見えないからこそ余計な気を遣わず、即時の問題解決につながる。ボイスチャットアプリ「Discord」

テレワークへの完全移行、そしてオフィス契約まで解除するという決断ができたのは、『Discord』というボイスチャットアプリがあってこそでした。今回のコロナでテレワークが急速に広まり、どの企業もさまざまなアプリケーションやWeb会議システムを使っているかと思います。

Discordはそもそもゲーマーの人たち向けにつくられたアプリケーションです。それをビジネスで活用しているのは弊社くらいかもしれませんね。でも、Discordはテレワークに最適なアプリだと私は考えています。

第一に、Discordは常時接続のボイス・テキストチャットがメインで、基本的にビデオ機能は使いません。お互いの顔や服装、部屋の様子は見えない前提です。これをデメリットと考える上司や経営陣は多いかもしれませんが、実は物理的な距離があるテレワークには大きな利点になり得ると考えています。

なぜなら、上司の様子や表情が見えてしまうと、部下や若手社員は「○○さん忙しそうだな…」「集中されているから今は話しかけないでおこう…」と、どうしても遠慮がちになります。そうすると、質問や確認事項があってもその場で解決できず、後回しにしてしまうのです。朝、上司に聞きたいことがあっても話しかけづらく、結局、夕方まで解決できないなんてこともあります。これは生産性に大きく影響するでしょう。現に弊社では、テレワークになってから若手社員の生産性127%を達成しています。私から見ると、これは驚く数字ではなく、ある意味当たり前のこと。Discordの活用によって上司に無駄な忖度をすることなく、業務に集中できているということなのです。

もちろん、Discordは部下や若手社員にだけ使いやすいものではありません。Discordのサーバー内にボイスチャンネル(部屋のようなもの)をつくり、どこにいるかは各自が作業内容によって選ぶことができます。「オフィスフロア」と名付けた通常業務を行うチャンネル、集中したい人が使う「Theフロー(集中)」、「離席中」「商談中」などのチャンネルを作っています。オフィスフロアにいる上司には気兼ねなく質問できますし、ちょっと集中したい上司は集中ルームに入ればいい。こうしてDiscordによって、リアルオフィスよりも優れたバーチャルオフィスをつくりだすことができたのです。

実は、このアプリケーションを知ったのは今年の2月でした。たまたま社内に詳しい従業員がいて、全社員でテスト的に使い、練習しました。使ってみるとまさに理想的だったので、正式に導入を決定。社内で基本的な運用ルールやマニュアルを用意し、導入もスムーズに進みました。

環境の変化に対する物質的な支援も順次対応し、不安要素は徹底して取り除いていく

テレワークに移行した際に大きな問題はなかったとお話ししましたが、続けていくうちに、従業員から「腰が痛い」「肩が凝る」など、作業環境に関する問題が出てきました。自宅にデスクワークのための設備が整っているはずなどなく、当たり前ですよね。

自宅が仕事場になる以上、こういったケアをきちんとしないと、従業員のモチベーションは下がってしまいます。弊社ではテレワーク前からノートパソコンやテザリング可能なスマートフォンを支給していましたが、テレワークへ移行した後には一時金を支給。机や椅子など必要な備品の購入に充てられるようにしました。

このような流れで私たちは事前にテレワークの準備していたわけではなく、新型コロナウイルスの感染拡大を機に一気にテレワークを取り入れました。そして短期間でオフィスレスという大きな決断もすることができました。それが実行できたのも、今回ご紹介したDiscordの有効活用が大きなポイントになっているといえます。

もちろん、企業によって合うシステムは異なるでしょうし、人材育成やコミュニケーション方法もそれぞれですが、私たちにとっては、Discordが最適解だったと思います。この状況でも生産性を向上させつつ、従業員にも満足してもらえる仕組みが整いました。

まとめ

コロナ禍のなかでも生産性アップと若手の育成を叶えている白潟総合研究所。そのカギは経営者の決断力と行動力、そして自社にマッチしたシステムの導入にありました。次回後編では、テレワークで業務を進めつつ、人材育成の方法として白潟氏が実践している独自の1on1ミーティングや朝礼・昼礼・夕礼など、具体的な育成方法やコミュニケーション方法についてご紹介します。

プロフィール
白潟 敏朗(しらがた としろう)氏

1964年神奈川県生まれ。経営コンサルタント。白潟総合研究所株式会社代表。埼玉大学経済学部を卒業後、1990年よりデロイトトーマツにて経営コンサルタントを経験。IPOコンサルティングなどでキャリアを積み、1998年にISOコンサルティング・審査会社を立ち上げる。3000社以上を支援。2006年にトーマツ・イノベーション株式会社代表取締役就任。7800社のお客様に定額制研修イノベーションクラブで中小ベンチャー企業の人財育成にイノベーションをおこした。2014年10月に独立し白潟総合研究所を設立、2017年にリファラルリクルーティング、2018年に1on1株式会社、2019年にソーシャルリクルーティング株式会社を設立。現在、バーチャルオフィス視察会も開催している。
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