オンボーディング Onboarding 「新卒社員」や「中途社員」が辞めない仕組みづくり
『オンボーディング』とは、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、パフォーマンスを上げさせるための一連の仕組みづくりを言います。この冊子ではHR先進国であるアメリカ企業の事例も踏まえ、人材育成のための最新のメソッドを解説。
オンボーディングの具体的な取り組み方をご紹介しています。
テレワーク
公開日:2021.7.14
在宅ワークを導入する際に必須となるのがパソコンです。現代ではパソコンなしで仕事を進めることはなかなかできません。
しかし、現状ではパソコンはまだ一人一台とはいえない家電です。かつては普及率が大きく上昇していたことから、一般的な家電になると思われていましたが、スマホやタブレットの普及もあり、現状では必須家電というわけではありません。パソコンメーカーの行った調査によると、20代のパソコン所持率は50%以下と、実に2人に1人は自分用のパソコンを持っていないとされています。そしてこのことが、在宅ワークの導入の際の障壁になると考えている方もいるようです。そこでここでは、パソコンを持たない従業員がいる時に在宅ワークを導入する際、意識すべき点をまとめていきましょう。
目次
在宅ワーク用に使える個人用パソコンを持っていないという社員がいる場合も、在宅ワークへの道が完全に閉ざされてしまったわけではありません。会社側がサポートの一つとして、支給をすればよいのです。
在宅ワーク用のパソコンを会社が経費で購入する方法や、もともと会社にあるパソコンの貸与など、在宅ワーク用のパソコンがない場合でもやり方はいろいろとあります。
もちろん、パソコンの購入や貸与にはコストがかかるので、どのような方法を取るのかは検討しなければなりません。全員が自分用のパソコンを持っていればいいのですが、先述のとおり、現代社会ではパソコンの代替機能としてスマートフォンやタブレットが出てきているため、特に若年層の「パソコン離れ」が顕著になっているのです。
実際に、いざ仕事をはじめてから「パソコンの使い方がほとんどわからない」という若手社員もいるそうで、この傾向は今後加速していくことが予想されます。そのため、在宅ワークを導入するうえで、「自宅にパソコンのない従業員」の対処法は、事前にきちんと検討をしておくとよいでしょう。
パソコンのない従業員が在宅ワークをする場合、最も簡単なのは従業員自身にパソコンを準備してもらうことです。スーツや作業着などのように、必要なものとして用意してもらいます。
しかし、今まで必要いなかったものを、ある日突然会社の命令で買わせるとなると、その負担は大きなもの。特にパソコンは決して安くはないため、場合によっては会社に対する印象を悪くしてしまうこともあるでしょう。それ以外にも会社に対して不信感や不満を抱えていた場合、パソコン購入の指示を機に転職を考えてしまう可能性もあります。
そこで、可能ならば単純に購入させるのではなく、会社側が何らかの形で支援を行って、従業員にそのパソコンの使用者になってもらうのがよいでしょう。具体的に、会社が支援する方法は3つあります。
一つめの方法は、会社でその従業員が利用している個人用パソコンを貸し出す方法です。この方法であれば、使い慣れたパソコンで、仕事の勝手もわかっている状態で仕事ができます。しかしながら、この方法は個人用パソコンがノートパソコンなど、携帯性に優れたパソコンでなければ難しい場合があります。
デスクトップパソコンの場合、運ぶのに手間がかかります。そのため、宅配業者を確保し、自宅のどこに置くかも考えなければなりません。完全在宅ワークでないのなら、その都度持って帰るというのも現実的ではありません。よって、この方法は会社で利用しているパソコンがノートパソコン等であることが前提でしょう。
会社に備品として存在しているパソコンを在宅ワーク用として貸与する方法でも、在宅ワークをさせることができます。会社の個人用パソコンを一時的に自宅に移動する方法と基本は同じですが、従業員が慣れるまで少し時間がかかるかもしれない点がネックです。
また、会社の個人用のパソコンを貸し出すときも同様ですが、万が一のトラブルが起きたとき、誰が対応するのか、きちんと取り決めをしておかなければなりません。なぜなら、自宅でパソコンを使うとなると、うっかり落してしまったり、飲み物をこぼしてしまったりなどで、パソコンの修理が必要になる可能性もあるからです。誰に連絡すればいいのか、誰が修理費用を負担するのか、そして修理中の代替機の手配など、事前に決めておくべきことはたくさんあります。パソコンの所有権はあくまで会社にあるからです。
パソコンの購入費用を会社が肩代わり負担するという手段もあります。実際、在宅ワークをはじめるにあたって、仕事用のパソコンを全従業員に配布した企業も存在しているそうです。
この方法の魅力は、万が一パソコンの修理が必要になったとしても、企業が修理などの手配をする必要がないという点です。ただし、従業員が自由にパソコンを使えてしまうので、ネット犯罪にまきこまれたことによる情報の流出などのリスクヘッジもしておかなければなりません。
在宅ワーク導入を検討した際に個人が所有するパソコンがないという状態は、多いものです。そのため、今は従業員全員に在宅ワークに使えるパソコンがあるしても、持っていない場合のフローチャートを事前に作っておきましょう。そうすることで、個人所有のパソコンを持っていない従業員が入社したときにも困らなくて済みます。
ここまでご説明してきたようにしたように、在宅ワークに使えるパソコンを所持していない従業員がいたとしても、決して決定的な障害にはならないことがわかると思います。その時の環境や社内事情に合わせて対応していけばよいのです。ただし、在宅ワークを導入するにあたっての問題はパソコンの有無だけではありません。他にもさまざまな障壁が存在します。
大きな課題になるのは、セキュリティの問題です。在宅ワークをする際、万が一データが流出してしまったら、どのように対処するのか、そもそもデータを流出しないようにするためにはどのようにすればいいのか、そういった対応チャートを詳しく設定しておかなければなりません。
また、セキュリティ面と同様にチェックしておくべきなのが、勤怠管理です。どの程度仕事をしたのか管理し、そしてそれにふさわしい報酬を与えるための管理は、常に上司の目が届く位置にいるオフィスワークと比べると、在宅ワークでは非常にのほうが難しくなってしまいます。よって、勤怠管理の方法を成果方式に変えたり、専用ソフトを導入したりするなど、勤怠管理の方法を考えなければなりません。
このように、在宅ワークをするうえで超えなければならない障壁はたくさんあります。しかしいずれも、しっかりと考察すれば超えられないものではありません。パソコンの問題と同様に、考えていきましょう。
自宅にパソコンのない状態で在宅ワークをしなければならない従業員が出たとき、最も困惑するのは仕事を行う従業員本人です。そのため会社側は、そうした事態をあらかじめ把握して対応策を考えておかなければなりません。
会社側が従業員と同様に焦りだしてしまうと、その焦りが社内全体に広がってしまうからです。そのため、新しいことを導入するときは、出来る限りの事態を想定しておきましょう。パソコンのない従業員については、一番最初に想定すべき事態です。
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