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似ているようでだいぶ違う「企業文化」「企業風土」「社風」の違いを理解する!

企業と従業員をつなぎ、対外的なイメージにも直結することで知られる企業文化の醸成は、継続的な企業活動のために欠かせないものです。企業文化と似た言葉に、企業風土、社風などがありますが、その違いをご存知ですか? 意味の違いを理解し、言葉を使い分けて、さらなる企業文化の浸透を目指しましょう。

デザイン可能な企業文化、無意識に伝承される企業風土

企業と従業員が共有している価値観や行動規範、それが企業文化です。経営陣が理想とするビジョンを描き、ミッションやバリューを発信することによって意図的にデザインすることが可能であり、同時に外部の影響を受けて変化することがあるのも企業文化の特徴と言えます。

企業文化が、企業全体を包括する文化を指す一方で、部門ごと、プロジェクトチームごとの価値観を示す組織文化という言葉もあります。会社内において、企業文化は同一であっても、営業部と開発部で組織文化が異なるようなケースもあるため、言葉の使い分けには注意が必要となります。

企業文化、組織文化と混同されやすい、企業風土、組織風土という言葉についても、正しい意味を理解しておく必要があるでしょう。

風土とは、土地に根付いた独自のルールや価値観、地域ごとに異なる生活習慣などを指す言葉です。自然発生的であると同時に、その地域で暮らしている人にとっては当たり前の事柄として伝承されていきます。時代の流れや外部からの影響を受けにくいのも特徴です。

企業風土という言葉は、すなわち企業内で自然発生して定着した暗黙のルールや習慣であり、外部の人から見ると独特であっても自社内においては当たり前の事柄や、時代が変わっても受け継がれる価値観などを指しています。企業と従業員の“示し合わせ”によって根付いていく企業文化とは、成立の過程や、成立後の様相が異なるのです。組織風土も、組織に根付いた風土であり組織文化とは異なる意味を持っています。

企業文化、企業風土、社風を人間でたとえると……!?

社風という言葉についても、企業文化や企業風土との違いを整理してみましょう。社風とは、従業員が無意識のうちに感じている自社の雰囲気や空気感などを指す言葉です。活発、温かみがある、おおらか……といった、従業員が共有する自社に対する感覚を表現したものが社風です。

人間に例えるなら、社風とは「人柄」のようなものだと考えられます。「なぜかわからないけどウマが合う」「あの人とはどうしても気が合わない」といった、理屈を超えた部分で感じる雰囲気のことをイメージしてもらえれば分かりやすいでしょう。

企業風土「くせ」や「気質」にあたります。人それぞれの無意識的な行動や考え方などは、いつの間にか身に付き、他人から指摘されてもなかなか変えにくいものです。企業風土も同様だと言えます。

企業文化は人間にとっての「哲学」のようなものです。どうあるべきか考え抜き、自分の目指すべき方向へと進み、自己実現を目指すために必要な「理念」に相当するとも言えます。哲学や思想は、思考や学びのなかから生まれるように、企業文化は経営者が考えた理想を研ぎ澄ましていくなかで社内に浸透していくのが特徴です。

くせや気質、ましては他人が漠然と感じ取る自分自身の人柄は、簡単には変えられません。それは企業にとっても同じことです。しかし企業の哲学や理念は、経営者の働き掛けによって変えていくことができます。企業文化・組織文化は随時見直して、状況に応じてブラッシュアップを図るのが望ましいでしょう。

違いを理解し正しく使い分ければ業績アップに!

言葉の意味や本質を誤って捉えていると、従業員に向けて発信するメッセージも説得力の弱いものになってしまいます。企業文化、企業風土、社風の意味を、正しく使い分けることが、自社を狙いどおりに発展させていく第一歩となるでしょう。

社内で問題が発生した時は、その原因が企業文化にあるのか、企業風土にあるのか、社風にあるのかを見極めることで対策を打ち出しやすくなります。

企業文化に問題がある場合は、経営者が中心となって、企業のビジョン、ミッション、バリューを見直すことによって改革を進めていきます。新たな価値観が慣習のレベルにまで社内に浸透する頃には、問題は解決しているでしょう。

業務スピードが遅い、作業効率が悪いといった問題を抱えた企業では、企業文化の見直しが功を奏する確率が高いでしょう。適切な企業文化が浸透すれば、価値観や判断基準が均一化されるため、多くの局面で迅速な判断が行えるようになります。また、何をすれば会社に貢献でき、自分の評価があがるのかも明確になるので、自発性やモチベーションも高まるのです。その結果、業績アップにもつながります。

さらに、人材面に悩む会社、特に採用コストの課題を抱える会社には、企業文化の醸成がメリットを生んでくれます。明確な企業文化が社内外に打ち出されていると、自社にあった入社希望者が集まりやすくなるのです。相性のいい従業員は、離職率が低いため、長期的な視点で人材活用が可能になり、経営的には採用コスト、教育コストが軽減されるのです。

企業風土や社風に問題がある場合は、従業員たちにとって無意識レベルの要素に何らかの手を加えてみるのが得策です。自社では当たり前となっている事象が、実は一般的には特殊であるかもしれません。
上司や部下の呼び方やメールの書き方といった社内ルール、評価基準社内制度を見直し、無意識下にあった価値観や行動規範が表面化するような施策を講じてみましょう。



まとめ

企業文化、企業風土、社風は、企業イメージを形成する重大な要素であり、対外的にも大きな意味を持ちます。よいイメージの会社となら安心して取引ができますし、悪いイメージの会社との取引には不安が生じるのは自然なことですから、好印象につながるイメージを打ち出す努力は企業にとって欠かせないものです。言葉の違いを理解し、正しく使い分けていきましょう。