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人材育成・開発・研修

従業員の現在地と将来像を示すミッショングレード(役割等級)とは?

公開日:2018.11.22

    キャリアをベースにした従業員の能力を評価し、給与に反映させる職能給に代わり、近年は職責や成果などの評価から給与を算出する「役割給」が注目を集めています。
    役割給を適切に運用するためには、「ミッショングレード(役割等級)」の設定が欠かせません。

    「ミッショングレード」による序列が組織の骨格になる

    かつて多くの会社が採用していた職能給の賃金制度は、従業員のキャリアをもとに能力をグレード分けした職能等級に基づいて運用されていました。

    年功序列的になりがちで、人件費の高騰を招くリスクのある職能給に取って代わるべく一時期注目された職務給は、従業員が担当する職務そのものの価値を基準に給与を算出する方式でした。職務給においても、仕事の難易度や重要性によって職務のグレード分けがなされています。

    このように等級を定めることは、適切な人事を行ううえで非常に大きな意味を持ちます。何らかの基準によって等級を定め、人材を年功序列にすることによって、従業員の評価や給与が決まり、昇格や異動といった人事が成り立ちます。“等級制度は人事の骨格である”といっても過言ではないでしょう。

    現在注目が集まっている役割給の運用においても、社内各部署で求められる役割をグレード分けした「ミッショングレード(役割等級)」を設定し、その内容に沿って従業員の目標設定や、給与算出が行われるのが通常です。

    ミッショングレードの設定は、責任の度合いや求める成果を段階的に明示していくケースや、役職と職務の掛け合わせによって役割のグレードが示されるケースなど、会社ごとに異なります。独自に制度を構築しなければならない難しさはありますが、会社の実情に合わせた柔軟な運用ができるといえるでしょう。

    また、ミッショングレードを示すことによって、「会社側が従業員に何を求めているか」を明確にできる点も大きなメリットです。目標管理と連動させることで人材育成に役立てることができます。

    「次に何をすればいいか」をグレード設定で伝える

    「次に何をすればいいか」をグレード設定で伝える

    ミッショングレードという言葉が示す通り、制度の上では役割を何段階かに等級分けする必要があります。「7等級がちょうどいいだろう」、「10等級以上に細かく分けた方が良い」など、ミッショングレードを何等級に分割するのがベストかは、会社の方針や設定者によって意見が異なり、実際のところ明確な答えはありません。

    では、どのように設定していけばいいのでしょうか。

    等級分けが大まかすぎると、次の等級に上がるための過程がイメージしにくくなります。次の等級に達するまでに長い時間がかかることにもなるため、「がんばってもなかなか上にいけない」という感情が生まれる可能性もあり、モチベーションへの悪影響が懸念されます。

    一方、等級分けが細かすぎると運用が煩雑になり、等級と処遇の実情にズレが起こりやすくなるといった問題があります。また、短期間のうちに等級が頻繁に変化することにもなりかねず、落ち着いて仕事に取り組めない状況が生まれる可能性もあるでしょう。

    ミッショングレードは、細かすぎず、粗すぎず、適度な等級分割で、従業員が「次に何をすればワンランク上の従業員になれるか」目標を定めやすい内容に設定するのが理想です。設定者には、そのさじ加減が求められています。

    何等級に分割するかはケースバイケースですが、等級ごとに求められる役割を説明する文章は、上下のグレードとの違いが明確にわかるように記述するよう心がけましょう。等級の違いをあらわすキーワードを盛り込んだり、数値を示したりすることで、ミッショングレードを従業員に印象付けることができます。

    特例措置も含め従業員が納得できるグレード設定が重要

    特例措置も含め従業員が納得できるグレード設定が重要

    “役割等級をどう設定するかは会社次第”とお伝えしましたが、逆説的には“従業員がどんな筋道を経て、どれくらいの期間でステップアップしていくのが理想なのか”が目安になるともいえます。

    経営理念や企業風土を理解してほしいとの思いから、全社共通の評価基準を設けている会社もありますが、効果を発揮するかどうかは会社規模や業種などによってケースバイケースです。

    ステップアップの筋道は、業種や部署によって異なります。支社や事業所などによっては、地域差も生じるかもしれません。役割等級は、社内の現状を分析したうえで、必要に応じて部署やチームごとに設定し、従業員の目標設定やモチベーションアップに役立てる方向性を探るのがベストです。

    ときに、急速に能力がアップし、“飛び級”の対象となるような従業員が現れる場合も考えられるでしょう。役割等級制度の秩序を醸成するためにも、段階を踏んで昇級させるのが原則です。

    しかしその一方で、能力に見合った昇級がなさらない場合は“飛び級社員”の不満が募ることにもなりかねません。職責や成果を適切に処遇に反映させることを目的に役割等級が設定されるという視点に立てば、特例的に飛び級が認められる場合もあって然るべきだといえます。
    ミッショングレードを制度として運用していく際には、基本パターンに加えて特例措置のルールづくりも想定しておくのが肝要です。

    まとめ

    ミッショングレード制度は、人事管理や労務管理の根幹となり得る存在です。従業員全員が納得できる等級設定やルールづくりをすることで効力が最大化され、従業員の成長と会社の発展に役立つものとなるでしょう。

    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

    このブログでは、「経営者と役員とともに社会を『HAPPY』にする」 をテーマに、HR領域の情報を発信しています。

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