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これからの時代に求められるリーダーとは

優秀なリーダーを育成するために、基本や必要なスキルを確認

企業の成長には、目的や目標の実現に向かってチームを束ね、牽引していくリーダーが必要です。役職や職位など肩書きを持っているということではなく、多くの課題や問題を乗り越え、部下が持つスキルを最大限に活かしてチーム全体を引っ張っていくような人が、本当のリーダーなのです。働き方改革やコロナ禍でテレワークが急速に広まっている現代では、優れたリーダーの存在が欠かせません。

ここでは、リーダーの種類や求められるスキル、企業がリーダーを育てるための制度などを紹介していきます。

リーダーとは

リーダーとは会社のなかで部下やチームを引っ張っていく存在です。それにはチームワークや仲間意識、信頼関係が礎になっています。しかし、テレワークが増えた今は、互いに顔を合わせて業務を行う機会が減少したことから、よい関係を保ち続けるのはなかなか難しくなっています。

そんな状況でも質のよいコミュニケーションを心がけ、部下を育て、チームのパフォーマンスを上げていく。さらに会社全体の成長につなげていくことが、これからのリーダーに必要とされています。

リーダーにもいろいろな種類がある

リーダーシップにはいくつかの種類があり、アメリカの心理学者、クルト・レヴィン(Kurt Lewin)が提唱するものと、ニューヨーク・タイムズの元記者で心理学者のダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)が分類するものがあります。

クルト・レヴィンが提唱する3つのリーダーシップ

専制型 決定権がリーダーにある方法。部下は受け身で指示待ちになる傾向があるため、次の世代や自社の成長は難しくなります。
民主型 チームや部下と積極的に話し合ったうえで、物事の方向性を決めるタイプのリーダーです。部下は考える機会が多いため、成長が期待できます。チームの団結も強くなるでしょう。
放任型 方向性などの決定に関与せず、部下やチームに任せきりのリーダーです。全体のモチベーションや団結力が弱まってしまう傾向にありますが、個々のスキルが高い場合は効果的な場合もあります。

ダニエル・ゴールマンが提唱する6つのリーダーシップ

ビジョン型 組織が持つ共通ビジョンによってチームを牽引するリーダーシップ。メンバーにやり方を考えさせ、尊重するのも特徴です。メンバーからの信頼が増し、団結力も高まります。
コーチ型 リーダーのやり方を真似させるのではなく、個人個人に合うスタイルを共に見つけるスタイルです。1対1の対話を大切に長期的な効果を目指します。
関係重視型 関係性を重視するため、部下の感情や考えを優先するリーダーシップです。互いの関係がよくなるメリットがありますが、同時に目標やビジョンがおろそかになりがちなため注意が必要です。
民主型 全体の意見を聞き、過程を重要と考えて物事を進めるスタイルです。意見交換が活発になりやすい反面、意見が分かれる場合もあるため、リーダーによる調整が重要です。
ペースセッター型 自身が成果を出すことで、部下やチームのやる気を引き出すリーダーシップのスタイルです。部下のスキルレベルが届かない場合は関係重視型と併用するのがおすすめです。
強制型 すべての決定権がリーダーにあり、部下は指示や命令に従うのが、強制型リーダーシップです。部下は理由もわからず言われたことをするだけなので成長は難しいですが、短期的な業務には効果的です。



リーダーの役割を理解しよう

リーダーの役割は一つではなく、会社や部下、他社からも多くを求められます。なかでも主な役割としてあげられるのは、目標の設定、人材育成、同僚や部下とのコミュニケーションや環境整備などです。

目標と計画

リーダーは会社の資源を最大限に活用して、設定した目標を達成していかなくてはなりません。そのため、チームが達成すべき目標を定め、KPI(重要業績評価指標)を設定するなどして、詳細な計画を立てていきます。もちろんリーダーとして、チームの目標に沿った個人の目標設定も確認しなくてはなりません。

人材育成

チームのパフォーマンスを上げていくためには、人材育成が欠かせません。会社全体の研修などはもちろん、日々の業務のなかでリーダーが個々の長所や短所、適性を見極めて仕事を振り分け、随時指導をしていく必要があります。

コミュニケーション構築

チーム内の信頼関係がなければ、個人のスキルをいくら高めても、全体のパフォーマンスを上げることはできません。リーダーは個々とのコミュニケーションを大切にするとともに、チームの団結力が高まるような努力をしていかなくてはならないのです。

環境整備

チームのパフォーマンスを最大限に発揮するには、環境の整備も大切な要素です。メンバーが意見を言いやすい雰囲気か、困ったときに助けを求める相手がいるかなど、安心して業務に取り組めるよう、職場環境を整えるのもリーダーの役目になります。また、日々のたわいない会話などを大切にしていると、そこから新たなアイデアが生まれるものです。そういったフランクな雰囲気を作り出すことも必要でしょう。

リーダーには、こうした役割をこなしながら、メンバーの模範となり、チーム全体をまとめながら引っ張っていくことが求められています。

リーダーに求められる資質

人をまとめ、引っ張っていくリーダーには、どういった資質が求められるのでしょうか。

【誠実であること】
どんなにスキルが高くても、不誠実だったり公平さに欠けたりするリーダーだと、部下は付いてきません。能力ではなく人として信じられるかどうかが大切です。

【責任感】
リーダーの責任感の強さはチームメンバーにも伝わるものです。どのような業務に対しても、最後までやり遂げることで部下からの信頼感が増し、自分たちもしっかりしなければとチーム全体のモチベーション向上にもつながります。

【メンタルの強さ】
チームが困難な状況に陥ったとき、メンバーと一緒に落ち込んでしまうようなリーダーでは次へと進めません。また、リーダーは否定や非難されることもあるものです。周りに左右されず、冷静な状況判断ができることが、リーダーには必要です。

【寛容性】
リーダーは、強い意思とともに柔軟性も持ち合わせていなければいけません。チームの目標を達成するための強い意志は大切ですが、頑なに他の意見を聞き入れないリーダーでは、状況の変化にも対応ができないでしょう。

もちろん、すべてを備えていないとリーダーに向いていないというわけではありません。上記はあくまでも例であり、もともと持っていないものであっても、経験や学びによって身に付けることが可能です。これから自社のリーダーを育てていく人事担当は、これらの資質についても十分に考えたリーダー育成をしていきましょう。



リーダーに必要な5つの基本的スキル

リーダーに求められる資質が人間性に関わるものだとしたら、それと併せて必要となるのがリーダーとしてのスキルです。備えておきたい基本的なスキルとして、以下のようなものが考えられます。

【コミュニケーション能力】
チーム全体の人間関係を良好に保つには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。もちろん、個々ともコミュニケーションを取っていくのは、リーダーの重要な業務です。そのためには相手が話しやすいようコミュニケーションスキルを磨いておく必要があります。人間関係を良好に保つことは、リーダーの重要なスキルです。

【状況認識の能力】
リーダーには視野を広く持ち、全体を俯瞰して見られる能力が求められます。目先の仕事や問題ばかりにとらわれていては、チーム全体の仕事や現状を把握することができません。自身の仕事はもちろん、部下それぞれの仕事、チーム全体の状況や変化などに敏感に気づけるようなスキルが必要です。

【判断力と決断力】
ビジネスの場では多くの決断が迫られます。チーム全体が迷っている時、リーダーまで一緒に迷い続けてしまうと、方向性が定まらず業務も滞ってしまうでしょう。必要な情報を収集してそこから判断する能力、そしていくつかの選択肢からどの道へ進むかを決める決断力が、リーダーには欠かせません。

【専門知識や技術】
リーダーとして部下を引っ張っていく立場であれば、業務に関わる知識や技術はある程度知っていなくてはなりません。そうでなければ、メンバーへのアドバイスや指示、現場の状況に合わせた判断も難しいでしょう。実務が少なくなったとしても、知識や技術の勉強は続けなくてはなりません。

【課題解決力】
仕事を進めていると、さまざまな課題やトラブルはつきものです。業務内容が複雑になりがちな現代では、特に解決が難しい場合もあるでしょう。そういったときにこそ、周りの意見を取り入れつつ課題解決を図っていくリーダーの存在が重要になります。

優秀なリーダーの特徴から学ぼう

部下から信頼されるリーダーには、共通する特徴があるようです。具体的な行動をいくつかご紹介しておきます。

部下に仕事を任せられる

優秀なリーダーは、部下に仕事を任せチームの信頼関係や団結力を高めます。人に仕事を任せるのは、なかなか難しいものです。やり方を教えるよりも自分でこなしたほうが楽という場合も多いと思いますが、それでは部下は育ちません。多少効率が悪くても、失敗したとしても、新しい仕事をする機会が必要なのです。

褒め上手

褒め上手になることも、信頼されるリーダーの特徴です。リーダーは部下を指導し育成するのが大切な役割のため、注意ばかりしてしまいがちです。しかし、叱るばかりではなく、失敗したとしてもその過程を褒めたり、モチベーションが下がらないようなタイミングで褒めたりすることはとても大切なことです。

部下に合った役割を与えられる

優秀なリーダーは部下の適正を見極め、スキルを活かせるようなチーム設計を行っていきます。「これが自分の仕事だ」と明確になっていることは、使命感を持って仕事をする動機にもなります。

個々に合わせたアドバイスができる

今は多様性を理解し尊重する時代です。だからこそ、個々の個性やスキルを活かし、ポテンシャルを引き出すような育て方をしていかないといけません。これまでのやり方や自分の考えを押し付けず、部下に合ったアドバイスをするのが優秀なリーダーです。

適切なフィードバックやフォローアップ

部下に仕事を割り振りした後は、適切なタイミングのフィードバックやフォローアップが必要です。もしも間違った方向に進んでいそうなら軌道修正をさせ、必要に応じてフォローを行います。そのために個別の面談や1on1ミーティングを取り入れているリーダーも多いようです。

部下が能力を発揮しやすいリーダーとは

記事の前半でいくつかのリーダーの種類をご紹介しました。さらに、リーダーに求められる資質やスキル、信頼されるリーダーに共通する特徴などの諸条件を合わせて考えると、部下が能力を発揮しやすい優秀なリーダーの特徴が見えてくるはずです。

一般的には、全体の意見を取り入れる民主型のリーダーが部下にとって働きやすいと言われてきました。しかし、働き方や考え方が多様化する現代では、そうとも限りません。だからこそ、リーダーは自分がまとめるチーム全体を見まわし、どういったまとめ方が適しているかを見極めていく必要があります。状況やメンバーに合わせた臨機応変な対応が、リーダーには求められるのです。



悪いリーダーにならないために

残念ながらリーダーの素質があるとは言えない人もいます。理由はさまざまですが、以下のような点には注意し、自分に当てはまるものがないかをチェックしましょう。一つでもあるようなら、考え方や勤務態度を改めて見直す必要があります。

【リーダーとして、してはいけない行動】
□人を公平に評価できず個人的な感情で贔屓などをする
□感情の起伏が激しく態度に出る
□高圧的な態度で部下に接する
□言うことがすぐに変わる人
□部下の話を聞かない
□自分の成功体験ばかり語りがち
□部下に仕事を丸投げする
□言っていることと実際の行動が一致しない
□相手に完璧を求めすぎる
□悪口や愚痴ばかり言う
□部下に仕事を振らず抱え込む
□責任を取らない・取る気がない
□目的や目標もわからず走り続け、周りにも強制する
□思いつきだけで行動し、周囲を巻き込む

リーダーに向かない人でも活躍できる

リーダーの素質は天性のものだけでなく、自分の経験や努力で育てていくことが可能です。しかし、どうしても向かない、リーダーの仕事に興味が持てないという場合でも、その人の個性を活かして社内で活躍してもらえるような仕組みを整えていきましょう。

●会社・リーダーを積極的にサポートする補佐役になってもらう
リーダーにはサポーターが必要で、これはフォロワーシップと呼ばれています。自分の業務をこなしながら部下にも気を配る必要があるリーダーは日々重責を担っています。そこを自主的にサポートしてくれるフォロワーの存在はとても大きなものになるでしょう。

●肩書や役職にとらわれず、プレイヤーとしてのスキルを徹底的に磨ける環境を用意する
リーダーになれなくても、優秀な人、スキルの高い人はたくさんいます。それぞれの能力をさらに伸ばし、社内で力を発揮してもらえば、とても強力な戦力になるはずです。チームにプロフェッショナルが揃えば、リーダーもさらにその力を発揮できるようになります。

リーダーが育つには~社内の仕組みを考えよう

リーダーは会社が「育成する」という意識を持って育てていかなくてはなりません。放っておいても勝手に育つわけではないのです。自社でリーダーを育成するためには、どのようなプロセスが必要になるのかを事前にイメージを固めておく必要があります。

現場の仕事を調整する

リーダーを育成するには、適切な教育を受けるための配慮が必要になります。

教育体制を整えて実施

リーダー研修を実施するにはいくつかのステップがあります。代表的なものが以下です。

  1. 求めるリーダーをイメージして目標を設定する
  2. リーダーになるための条件や必要なスキルの設定
  3. 社内候補者の検討
  4. 育成計画の研修内容検討と決定
  5. 候補者への通知
  6. 研修開始
  7. モニタリングと改善点の見直し

リーダーを育成していく仕組みは、会社が先導して整えましょう。もちろん、ステップや内容については自社に合わせて随時見直し、改善していく必要があります。また、リーダーの育成が必要とはいえ、いきなりすべてを始めるのは難しいという場合もあります。そういった場合でも、せめてリーダーとして欲しい人のイメージを固めておくことや、候補の検討だけでも進めておくことが重要です。そこから少しずつ、リーダーを育成できるような体制を組み立てていきましょう。

また、自社だけで育成制度を整えるのが難しい場合は、外部の研修制度などを利用する方法もあります。

リクルートマネジメントスクール
企業の人材育成に長く携わってきた株式会社リクルートの研修は種類も豊富で、自社に合ったものを選ぶことができます。

Schoo
オンラインでの研修に特化した育成なら、受講者の負担が軽く、費用も抑えられます。Schooのeラーニングは多彩な講師陣と導入しやすいコストが魅力です。

リーダー研修はさまざまな企業が提供しています。自社の目的にあった内容のものを探すことはもちろん、育成にかかる業務負担などをできるだけ軽くしてくれるものを選ぶとよいでしょう。



まとめ

企業の成長にはチーム全体をまとめるリーダーが欠かせません。そして、リーダーに必要なのは優秀なプレイヤーになることではなく、会社やチームで成果を上げるためにマネジメントできることです。そのためにもチームのメンバーを巻き込み、頼り、任せられる部分をどんどん増やしていきましょう。個々人を成長させることにより、チームのパフォーマンス力を高め、変動の激しい時代でも生き残っていける組織になるはずです。