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人材育成・開発・研修

管理職育成の難しさ、その傾向と対策を探る!

公開日:2019.2.5

    多くの会社が人材育成に積極に取り組むなかで、管理職教育が注目を集めています。管理職の育成は、新人研修やキャリアアップ研修とは違った難しさが付きまとうものです。従業員を束ねる管理職は、どのように育成していくべきなのかを考えてみましょう。

    なぜ管理職が育たないのか?

    経験を積み会社に貢献した従業員が、昇進して管理職へ。一般的には“出世”として歓迎される展開ですが、プレーヤー時代とは異なる知識、スキルも必要となりますし、マインドの切り替えも簡単ではありません。

    管理職としての未熟さから、プレーヤー時代のやり方を部下に押しつけて煙たがられたり、時代の流れについていけず“お荷物扱い”されてしまうケースもあるでしょう。管理職候補者が就任前の準備を怠れば、従業員にも会社にも痛手となります。

    半人前の管理職の元では、その部下の仕事も低調になり、次の管理職候補が育たない状況に陥ります。逆に、管理職が育つ会社では、部下の成長が促され、次の管理職候補も容易に選べるでしょう。

    プラス成長が当たり前だった高度成長期には、昇進へのあこがれが強い従業員が多く、優秀な管理職が生まれやすい状況にありました。しかし、現代のような低成長社会においては、昇進できる従業員は一握りに過ぎません。会社側も、管理職育成にコストや時間を割けないというのが現実です。
    また、景気の低迷で働き方が変わり、管理職もノルマや実務を抱えているという現状があります。部下の面倒を見ながら、自分自身の実績をも上げなければならないとなると、率先して管理職になろうとする人材も現れにくいでしょう。

    こうした背景から、管理職育成が上手くいっていない会社が増えています。「管理職育成が上手くいかない」と感じている会社は、自社の問題点を洗い出しながら、具体的な育成計画を練っていってください。管理職という仕事の魅力や価値を見つめ直す必要もあるでしょう。

    体制整備が管理職育成の第一歩

    管理職を育成するためには、まず求められる役割を整理し、その上で育成体制を整えていきます。

    管理職の役割は、主に情報管理、業務遂行、対人コミュニケーション、コンプライアンス、という4つの仕事に大別できます。

    1.情報管理

    業界動向や社内外の情報収集、周囲との情報共有、問い合わせや要請への対応など。目配せする範囲は、プレーヤー時代よりも広範に渡ります。経営陣がかかげる方針を部署に浸透させる、チームの方向性を社内に示すといった仕事も必要です。

    2.業務遂行

    チームの業務を滞りなく回すためのPDCAや、プロジェクトの推進、新企画の立案、イノベーションの創出などが、管理職に求められます。そのうえ、自分自身のノルマを抱えている場合もあるでしょう。

    3.対人コミュニケーション

    人間関係トラブルの発見や対処、モチベーション向上の施策、チームや部署間の連携強化など、働きやすい職場づくりの実現も、管理職が中心となって行います。

    4.コンプライアンス

    個人情報や機密情報の管理、労働基準法の遵守、業務に関連する法律の遵守など、管理職には厳密なコンプライアンス意識が欠かせません。近年はチェック項目が増加傾向にあるため、管理職の負担が増えています。

    一般職から管理職になると、上記のような役割が一気に増えます。熱心な現役管理職が、次代の管理職候補に日頃からOJTを行っていけば、管理職育成は円滑に進むでしょう。しかし、管理職の育成スキルには個人差がありますし、多忙なスケジュールのなかで満足な教育ができない場合も考えられます。

    管理職を育成するためには、まず育成担当者の仕事量を見直す必要があるでしょう。育成のための時間や、育成スキル、ティーチングやコーチングなどのスキルを身につけるための支援制度なども有効です。

    あらゆる局面で仕事が多様化、複雑化するなかで、会社側がどれだけ体制を整えられるかが管理職育成の鍵になるでしょう。

    育成プログラムを組み合わせて効果を上げる

    管理職候補の育成は、一朝一夕には進みません。さまざまな手法を検討し、時間をかけて行っていきましょう。

    まずは、研修やセミナーといったOFF-JTを強化することで意識の変革を促していく方法があります。アセスメント研修を行えば、課題への取り組み方や自分の強みについての理解が深まり、管理能力を身につけられるでしょう。時間確保が困難な場合は、e-ラーニングも活用できるでしょう。

    もちろんOJTも重要です。一例としては、管理職に就く前にプロジェクトのリーダーや、大きな仕事を任せるという方法があげられます。実体験によって管理業務の醍醐味を体感し、管理職に興味を持つようになる例が数多く報告されています。

    短期的に結果が求められる風潮や、従業員の立場がフラットになりがちな現代では、管理業務を経験する機会そのものが乏しく、「人を動かして仕事を完遂する」という管理職の醍醐味を知ることができません。早い段階でリーダーを任せることは、そうした状況を打破する良策です。

    大きな仕事を任せるほかに、戦略的な配置転換によって新たな能力を開花させる方法もあります。異なる視点で会社を見渡すこともできるようになるため、管理職育成の有効な手段として知られています。

    まとめ

    キャリアアップ転職が当たり前になり、一企業内での出世へのあこがれが薄れる現代は、自然と頭角を表す従業員が出にくい状況です。5年先、10年先を考えると、30代の中堅社員が少ない会社では、特に早い段階で管理職候補の発掘と育成が必要となります。

    管理職育成をまっとうするためには、育成担当者のスキルアップや業務見直しを含む社内体制の整備と、候補者向けの研修プログラムや働きかけの充実が両輪となります。そのためには、経営者が育成計画に参加し、社内にメッセージを発信していくことも重要になってくるでしょう。

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    この記事を書いた人

    HR BLOG編集部

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