上司であれば皆、「部下に成果を上げてもらいたい、もっと成長してもらいたい」と思うものです。ただ、その思いが強すぎて部下にあれこれ細かい所まで指示していないでしょうか?
これが行き過ぎると「マイクロマネジメント」となってしまい、かえって部下の成長を阻害しかねません。ここでは、「マイクロマネジメント」の意味と、部下の成長を促すための具体的な行動をご紹介します。
目次
「マイクロマネジメント」の意味と弊害
マイクロマネジメントとは、一言で言うと「上司による部下への過干渉」です。
具体的には、部下の仕事すべてを把握しなければ気が済まない、部下の仕事に必要以上に口を出してしまう、些細なミスに対しても細かく追及してしまう、などがあげられます。
仕事に強いこだわりをもっている人、部下に仕事を任せることに不安を感じている人、なんでも完璧にしたい完璧主義者はマイクロマネジメントをしがちです。
マイクロマネジメントが引き起こす弊害
上司によるマイクロマネジメントが続くと、部下は「どうせ自分から行動しても、また上司に何か言われてしまうだろう」と感じ、自発的に物事を考えなくなってしまいます。その結果、「上司に言われたことだけやればいい」と思うようになるでしょう。
自分の提案が受け入れられない状況は達成感も得られず、とても辛いものです。ますます提案しなくなり、自分の意見も言わなくなり、やる気そのものが失われてしまうでしょう。
その結果、上司は「自分でやったほうが早い」と自分で仕事を抱え込み、部下が成長する機会をはく奪し、チーム・会社全体としてのパフォーマンスを低下させてしまうことにつながりかねません。
マイクロマネジメントをしないための5つのコツ
それでは、マイクロマネジメントに陥らないようにするためには、具体的に上司はどのように行動すればいいのでしょうか。ここでは、部下の成長を促す5つのコツをお伝えします。
1. 部下に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える
この話は有名なので、これまで耳にしたことがある方も多いと思います。上司が仕事のやり方すべてを命令して、そのとおりに部下を動かし成果が出たとしても、部下が自分で考えることをしなければまた同じようにすべてを指示しなければいけません。いつまでも上司がいないと仕事ができない人になってしまうでしょう。仕事を1から10まですべて教えるのではなく、1を教えたら10ができるようになるまでサポートするのが上司の仕事です。そうすることで部下は上司がいなくても、自ら考え動ける人になっていくでしょう。
2.「オープンクエスチョン」で部下に考えさせる
部下に質問をするとき、「はい」か「いいえ」で答えられる二択の「クローズドクエスチョン」ばかりをしていると、部下の返事は一言で終わってしまいます。例えば、「この案件、できるか?」と聞くのではなく、「この案件、どうすればいいと思う?」と聞くと、部下はどうすればいいのか自分で考えるようになります。このようなオープンクエスチョンを繰り返すことで、部下も上司もお互いの考えを知ることができ、コミュニケーションにも広がりが生まれます。
3.とにかく自分の考えを話してもらう
部下に「何か意見を言って」と言っても、緊張したり不安に感じてしまったりし、部下によってはフリーズしてしまって答えが出てこない場合もあります。質問が抽象的であればあるほど、答えにくいものです。そんな場合には責任を伴う「意見」ではなく、「気づき」や「思いつき」など簡単なところから部下の考えを引き出し、伝える習慣を身に付けさせましょう。
4.命令ではなく部下に頼る
部下に仕事を指示するとき、「この仕事をやってくれ」と言ってしまうと、人によれば一方的に上から命令されたと感じる場合があるかもしれません。「ぜひ君にこの仕事をしてもらいたい」「今この仕事をしてもらえるととても助かる」というように、部下の意欲を引き出すようにすると効果的です。あくまでも「部下を信頼しているからお願いしている」という伝え方をしましょう。
5.会議の場では全員から発言してもらう
会議とはただ上司の話を聞く場ではありません。チームの目標に向かってそれぞれの意見を出しあう場です。最初は緊張して自分の意見を言えない部下がいたとしても、会議に参加した全員から意見を引き出すようにしましょう。その際注意しなければいけないのが、「どんな意見でも否定しない」という姿勢です。発言をしたこと自体を認め、その状況に慣れてくれば、チーム全体で活発な意見交換をすることができるようになるでしょう。
まとめ
部下は上司のロボットではありません。上司、部下というのはあくまで「役割」であって、共に成果を上げるためのチームメイトであり、仲間です。部下をチームの一員として尊重し、時には部下を信頼し思い切って仕事を任せましょう。指示やアドバイスをする際にかける言葉や態度を意識するだけで、部下のモチベーションやパフォーマンスは向上します。部下を仲間として信頼し、チームの目標達成に向けて一緒に取り組んでいきましょう。