概要
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
従業員数
連結:16,220名 単独:4,787名(2021年12月31日現在)
エンゲージメントプラン
利用者数70名(2020~2022年度新卒入社)
※2022年から中途入社も利用予定
導入の目的
- エンゲージメント向上
- 新入社員との関係構築、状況把握、接点強化など
MotifyHRがもたらした主な効果
- コミュニケーションの円滑化
- 心理的安全性の担保
- 新たなサポート、フォロー施策の実施
離れていても接点を持ち続けられる体制が、エンゲージメントを高める
多くの企業では入社後に育成期間が設けられます。しかし、社会人としてのビジネススキル、その企業ならではの仕事のノウハウを伝えたとしても、従業員自身に最大のパフォーマンスを発揮していこうという気持ちが育たなければ、戦力とはならず、人材育成の成功とは言えません。特に今はキャリアアップや条件によって転職のしやすい時代。優秀な人材を確保し、定着させていくには、エンゲージメントや人と人とのつながりがより大切になってきているのです。
今回お話を伺ったキヤノンマーケティングジャパン株式会社でも、大企業特有の人材育成の課題を抱えていました。それは、大人数、そして物理的な距離のある従業員に対する育成をどうするかということ。入社時の研修を終えて各地へ配属された後の様子はなかなか把握できず、事業部ごとの育成の状況、従業員の不安や悩みなどに対応できていないのではないかという懸念があったのです。
そこで、同社のエリア事業戦略本部で部内全体の人材育成を担う橋本和也(はしもと かずや)氏が新たに取り組んだのは、専用HRシステム「MotifyHR」の導入。自社に適したシステムを効果的に取り入れていった、施策の経緯をお聞きしました。
全国各地へと配属となる新入社員たち。
彼らを長く見守っていくための仕組みづくり
離れると同時に接点も減る、大企業ならではの育成課題――――
私が所属するエリア事業戦略本部は、キヤノンマーケティングジャパンでビジネスパートナーを介してキヤノンの入出力機器やソリューションの間接販売を担う部署で、1,000名ほどが在籍しています。私はそこで、新入社員含めすべての人材の育成を担当しています。新入社員は研修後、全国各地へ配属となるため、どうしてもコミュニケーションが少なくなり、目が行き届かない状況になりがちです。会社自体の離職率は決して高くはありませんが、状況の把握不足に危機感を覚えていました。
理不尽な退職を防ぐためにできることはないか――――
もちろん、すべての離職を止めることはできません。家庭の事情やスキルアップの考え方など、個人的に理解できる理由なら、なおのことそうでしょう。しかし、離職を考えるきっかけがお互いの誤解から生じるものであれば、第三者が介入することで解決することもあります。そうした本来なら解決できたはずの理不尽な離職を止めるために、従業員、特に離れた場所で働く新入社員をフォローできるような仕組みをつくる必要があると考えていました。そんな時に参加したのが、2020年9月に幕張メッセで開催された「HR EXPO」です。
エンゲージメントという言葉をきっかけに、MotifyHRと出会った――――
そのイベントで知ったのが「MotifyHR」というHRシステムです。会場ではシステムの詳しい説明に加えて、代表の広瀬元義氏の著書「エンゲージメントカンパニー」もいただきました。最近HRの業界では話題となっているエンゲージメントという言葉ですが、いち早く重要性に気づき、執筆されていたこと、そして本の内容にも共感できる部分が多く、ぜひこの会社のシステムを試してみたいとデモンストレーションを依頼したのです。
多くの機能を持つ「MotifyHR」
そのなかから自社に必要な部分を積極的に活用
なかでも重点的に活用しているパルスサーベイ――――
人材育成に有効なオンボーディング、コミュニケーションやコンディションチェック、目標管理に使用するOKRなど、「MotifyHR」には多くの機能があります。そのなかでも弊社で主に使っているのは、パルスサーベイ※の機能。簡単なアンケートを定期的に配信することで、リアルタイムで従業員の状況を知ることができ、エンゲージメントを可視化することが可能です。自動でレポートも作成してくれるため、現場の負担が増えることもありません。
「やらされている」と感じさせない指導が重要――――
新たな仕組みを取り入れるのは重要なことです。しかし、時に取り入れることで誰かの負担が増えてしまうこともあります。新しいものに拒否反応を示す人もいるでしょう。だからこそ、実際に使う従業員が「やらされている」「仕方なく取り組んでいる」と感じないよう、配慮しつつ指導するようにしています。また、新しいシステムも時間がたつと入力が遅くなったり、おざなりになったりすることもありますが、それを指摘する時も互いの接点の一つだと思っています。
接点を持ち続けることでコミュニケーションが生まれ、
エンゲージメントによい影響を与える
スムーズなコミュニケーションを実感――――
お話ししたように、弊社は全国に事業所を展開しています。そのため、配属後の新入社員の状況を細かく知るのは難しく、大きな課題となっていました。しかしMotifyHR導入後は定期的なパルスサーベイによって状況を知ることができ、様子が気になった時には積極的に声をかけることもできるようになりました。日常的に接点を持つきっかけができたのです。
不安や孤独を排除し、心理的安心性を高められる――――
つながりが希薄だと、人は不安や孤独を感じてしまうものです。新入社員であれば、それはさらに強いでしょう。「この会社に必要とされているのだろうか」「相談できる相手がいない」などの気持ちが強まると、退職という道を考え始めてしまうこともあります。そういう時こそ、MotifyHRのように必要な時に人とつながりを持てるシステムを活用することで、心理的安全性を高めることができると思います。
エンゲージメント向上に取り組むことで
今後の課題と展望も見えてくる
MotifyHR導入後に見えてきた新たな課題――――
現在はトライアル期間としており、MotifyHRのデータは従業員の上長にも個人が特定できる内容を知らせていません。今後は、それを公開していくかどうかも含め、よりよい活用方法についても検討していきます。また、これまでは基本的に新入社員に対してMotifyHRを使用してきましたが、中途採用を始めたこともあり、対象範囲を広げていくことを考えています。加えて、2〜3年目以降は必須ではなく必要に応じて使うようにするなど、長期的かつ効果的な利用のために、随時検討と見直しをしていくつもりです。
時代に合わせ柔軟に新しいものを受け入れていく――――
今後、人材育成や人材開発は、企業にとってもさらに重要な役割となっていきます。同時に、遠隔での育成やコミュニケーションも増えていくでしょう。この二つは相反するもので、両立させるのは難しいと思いがちですが、私たちが取り入れたように、専用のシステムを使えば、決して叶えられないことではありません。今の時代、そして自社に適した方法は、必ずあると思います。
個々を認め成長させることが、会社の成長につながる――――
時代によって変わるのはシステムだけではありません。人も同様です。今、人事の業務に関わっている人たちは、近年の働き方の変革や新入社員や若い中途社員の自己成長や帰属意識に対する価値観の違いに困惑することもあるでしょう。しかし、今は個を大切にする時代。従業員一人ひとりの個性を認め、活かしていけるような人材育成を進めていくことが、会社の成長にもつながると考えています。
※パルスサーベイ:簡易的な質問を繰り返し実施し、従業員の満足度や健康度合いを確認する調査。週1~月1など、短期間に反複して行われるのが一般的