宮城県庁 様

配属後の新卒社員の状況把握が格段に向上!各地域事業会社との情報共有によって、
社内全体が人材育成をバックアップする姿勢に

概要

宮城県庁

職員数 約5,000人

エンゲージメント研修 受講者数20人(対象の課より募集)

導入の目的
  • 職員の生産性向上
  • ルールだけでなく自主性を育む
  • 本格的に働き方を見直す

MotifyHRがもたらした主な効果
  • 自己開示や他者理解の重要性を理解し、コミュニケーションが活性化
  • ナレッジマネジメントによるスキル向上と一体感や信頼関係の構築
  • ルールだけでなく、自主性の創造を大切にする

日本が少子社会となって20年以上。少子高齢化は進み、労働力の不足や介護問題、社会的扶養の必要性など、さまざまな分野に影響しています。人口と所得の減少は税収にも影響し、行政サービスも厳しい状況となっていきます。さらに、ワークスタイルの多様化、家庭やプライベートとのバランスなど、働き方への見直しが改めて必要という全国的な流れは、民間のみならず地方公共団体においても同様なのです。

今回お話を伺ったのは、宮城県庁。11年前の東日本大震災によって甚大な被害を受けた東北エリアの中心地でもあります。宮城県庁では、社会的な背景と未だ続く復興活動のなか、これまでの行政サービスを維持し、より高めていくためには、職員の生産性向上が必要と、新たな取り組みを実施しました。それは、職員のエンゲージメントを高めるための研修の実施です。

生産性向上とエンゲージメント、そのつながりに気づいたきっかけや研修前後の変化、今後の取り組みについて、宮城県庁で働き方改革に取り組む 行政経営推進課働き方改革推進班の伊豆勇紀(いず ゆうき)氏にお聞きしました。

働き方改革を実施しつつ、生産性向上を目指す。
そのなかで見つけた新たなキーワード

一冊の本で出会った「エンゲージメント」という言葉――――

宮城県庁では、テレワークの導入やデジタル化など、さまざまな取り組みによって全庁の働き方改革を実施してきました。そして、さらなる組織の活性化、生産性の向上を目指していた時に出会ったのが「エンゲージメント」について書かれた本です。組織の活性化や個々のモチベーション向上のカギとなるキーワードという内容に惹かれ、読み進めました。そこに書かれていたのは、エンゲージメントの本質とそれを高めることで得られる効果。これは私だけが学ぶのではなく、他の職員とも共有するべきものだと思いました。

目標を掲げるだけでは変わらない。本格的に見直しが必要な時期に――――

目指す姿を掲げつつも、震災後11年経っても続く復興活動や対応が続く新型コロナウイルスの蔓延など、行政が行うサポートが減ることはなく、業務負担は日々増加。長時間勤務がなかなか減らない状況が続き、加えて育児や介護による勤務時間の調整が必要だったり、メンタルサポートが必要になったりと、職員の働き方について改めて見直さなくてはならない時期が訪れていました。

外部講師による研修を初めて実施――――

最初はエンゲージメントという言葉の意味も知りませんでしたが、アメリカで生まれたこの概念が、個人と組織の間に信頼関係を構築し、互いの成長に貢献し合う関係ということを学びました。そして、エンゲージメントを高められれば優秀な人材が定着し、モチベーションや生産性の向上につながっていくということを、この本を通して学んだのです。その書籍「エンゲージメント カンパニー」の執筆者である株式会社アックスコンサルティングの広瀬元義氏は、長く士業コンサルティングの会社を経営し、HR業界にも参入。企業の人事課題を解決するためにさまざまなツールやセミナー、研修を行ってサポートしていることを知りました。そこで、庁内の働き方改革に関わる職員を対象としたエンゲージメント研修を依頼したのです。1回目はエンゲージメントの基本、2回目はディスカッションなどを交えたワークショップとして実施していただきました。

研修をきっかけに意識が変わった
互いを知ろうとする大切さ

エンゲージメントという言葉のなかに見つけたさまざまなポイント――――

研修では、エンゲージメントという言葉の意味を知らずに参加した職員がほとんどでした。だからこそ、さまざまなことに学びや驚きを感じたようです。対話の大切さ、相手の話を聞く姿勢など、互いにコミュニケーションを取ることがいかに重要かということを感じるとても貴重な機会になりました。通常であれば、親睦会や行事などで自然と職員同士のつながりを深められますが、この2年ほどはコロナ禍でそれも難しい状況が続いています。そして、だんだんと会話を交わさない状況に慣れてしまっていたのではないでしょうか。

研修後に芽生えた意識変化――――

宮城県庁では一般企業と異なり、3年くらいで課を異動します。だからこそ、顔や名前を知ってはいるものの、実はお互いを深く知らないという相手も多いもの。しかし研修によって、同じ課の同僚をより深く知ろう、テレワークが多くなっている今こそ普段の何気ない雑談を大切にしようという意識が芽生えたと思います。特に研修で行った「同僚との親密度チェック」では、「思っていたよりも同僚のことを知らなかった」「互いを知るきっかけになった」という声も多く、受講前とは明らかに意識が変わったと思いました。

意識が変われば、自ずと行動にも影響していく――――

研修を受けたのと同時期に、職員用のポータルサイトを更新したのですが、自己開示から他者理解、相互理解となるよう課内のチャットグループ上に自己開示の場を設定しました。研修を受けていたせいか、積極的な利用が見られ、コミュニケーションの活性化にも効果を発揮しています。日頃の考えや気になるニュースをチャットに掲載するなど、意識的な行動が増えていると感じています。もしも研修を受けていなければ、これほど活用されなかったかもしれません。オンラインとオフライン、両方でコミュニケーションを取ることで、業務もスムーズに遂行されています。

ルールに従い義務感で動くのではなく、
自主性を高めていけるような働き方を

よりよい組織づくりのために必要となる体制とは――――

これからは予測不能のVUCA時代と言われています。公的な立場にいる私たちであっても、その流れを読み、必要に応じて変わっていく必要があるでしょう。ルールを守り、義務感を持って業務にあたることはもちろん、アイデアを生み出す力や個々の強みを活かしてチームとして対応できる体制が重要になってくると思います。そのためにもMITの元教授であるダニエル・キム氏が提唱する成功循環モデルのように、「関係」「思考」「行動」「結果」の4つの質を高められる体制を目指していきたいです。これらは地域の方々のためだけでなく、職員のやりがいや働きやすさにもつながっていくでしょう。

エンゲージメント向上を目標にした取り組みや施策も――――

今回の研修をきっかけに、いくつかの新たな施策も始動しています。すでにスタートしているのは、ナレッジマネジメントへの取り組みです。職員用ポータルサイト上に個人のノウハウや使っているツールを掲載して共有できるような場を設けました。これによって生産性を高めるだけでなく、自発性・自主性を促し、個々が業務改善について考えるきっかけやヒントにもなっています。そして来年度には、オフィスの改革も実施予定。空間を整えることは仲間意識をつなぐことにもなります。こういった環境的な改革もエンゲージメントの向上には必要だと考えています。

研修がもたらした新たなる展望――――

書籍をきっかけに実施した研修は、知識を得るだけではなく私たちの意識をも変えてくれました。これを契機に、今後もエンゲージメントについての研修を継続していきたいと思っています。そして、これまで行ってきた働き方改革によるテレワークやデジタル化の推進、生産性の向上に加え、時代に合わせた新たな働き方の創出にも積極的に取り組んでいきたいです。